好奇心と空腹には、脳の同じ領域が関わっている!?

好奇心、つまり知識を得たい、学びたい、発見したいという欲求は、食べ物への欲求である空腹とよく似ています。それゆえに、好奇心と空腹とは同じ脳領域とプロセスを共有しているのです。
好奇心と空腹には、脳の同じ領域が関わっている!?

最後の更新: 30 1月, 2021

好奇心と空腹には、共通の脳領域が関わっています。人間の欲求の中でも基本中の基本と言える、そして私たちの生存を保証してくれるこれらの現象を、同じ領域が司っているというのは興味深いですよね。空腹は食べるものを見つけるための原動力であり、好奇心の方は困難な状況に適応しやすくなったり成長するために必要な知識の獲得に関連しています。

アルベルト・アインシュタインが言ったように、好奇心が存在するのには理由があります。周囲にあるもの全てに疑問を抱くことほど重要なことなどほとんどありません。見た目だけで判断せずに疑問を投げかけ、探究し、そして熱意と関心と子どものようなお茶目な無邪気さを持ったまま世界を眺めることは、とてつもなく崇高な行為なのです。

お分かりのように、人間にも動物にも詮索好きな性質が備わっているのは偶然ではありません。物事を発見しようとする衝動は、空腹を感じる必要性と同じくらい重要なのです。実は、空腹も好奇心も、行動を導き出し、生存を確かなものとし、そして複雑さを増していく環境の中でも進化し続けることを可能にする推進力として働いてくれます。

食べるものを見つけたいという生理学的欲求が存在しなかったら、人類はどうなってしまうのでしょう?きっと人間という種は存在できません。そしてこれは、鍵穴の中を覗き込みたいという衝動(好奇心)が存在しなかった場合でも同様です。例を挙げると、どうすれば病気の治療法を研究できるだろう、という疑問を抱かせる好奇心は人類にとって必要不可欠ですよね。

“一般大衆は、全てのことを知りたいと願う尽きることのない好奇心を持っている。ただし、本当に知る価値のあるものには関心がない”

-オスカー・ワイルド-

好奇心 空腹 脳

好奇心と空腹が同じ脳領域を共有しているのはなぜ?

これは最近の発見です。レディング大学(イギリス)の神経学者チームが、2018年に行われた研究を通して好奇心と空腹がまさに共通の脳領域を使用していることを明らかにしています。

ただ、この二つが動機付けのための主要な原動力なのではないか、という推測は以前からすでになされていました。空腹は人間を、それを満たそうとするあまり非常に極端な状況に追いやりかねない力を持っているのだ、という意見がよく聞かれます。そして信じ難いかもしれませんが、好奇心も同様に、知識を集めたり、新たなシナリオを発見したり、地球上で最も進歩した生き物としての自分の立場を知るためにはどんなことでもやりかねないという状態へと、人を導く衝動なのです。

これは単なる偶然なのでしょうか?どうやらそうではないようです。空腹と好奇心には生存という共通の目的があるので、両者が同じメカニズムから生まれているとしても不思議ではありません。要するに、好奇心は動作や行為の原動力となっていますし、そして何より、コンフォートゾーンを飛び出してその外側に何があるのかを知るために必要なものなのです。

人間が探検家になることができ、新たな領域に踏み込んで生存と繁栄のためのより良い資源を見つける能力を持てているのがこういった力のおかげであることは明らかです。例えば、先史時代の人類の移住者たちについて、そしてその移住が人間性にとってどんな意味を持つのかについて考えてみてください。

認知神経科学者ジョニー・キング・ラウと彼のチームによるこの発見は、多くの人々が以前から予想していたことの正しさを確証したに過ぎないのです。

側坐核

好奇心と空腹は同じ脳領域を共有しているものの、後者の方が少しだけ複雑であることがわかっています。お腹が空いたという感覚は、血中のホルモン値や栄養分の値が変化したことを脳が検知した時に活性化する強力な本能です。

しかし、この研究を主導したレディング大学の科学者チームは、MRIを利用して興味深い現象を観察することに成功しました。好奇心のスイッチが入る時と、お腹を空かせている人物の脳が空腹アラートを受け取る時とでは、同じ脳領域が活性化していたのです。それが、側坐核(そくざかく)という領域です。さらに、左右両側の尾状核と腹側被蓋野の活動も増していました。

では、これらの脳領域は具体的にどんな働きをしているのでしょうか?実は、これらの領域は報酬の処理に向かうタイプの行動を調整しています。つまり、行動を起こすように人間を駆り立て、報酬につながる事物を受け取れるようにしているということです。

空腹の場合、行動の結果の報酬として受け取るものは栄養や美味しい食事を味わう快感などです。そして好奇心に関しては、行動の見返りとして知識を得ることができたり新たな発見をすることができたり、さらには多様な方法で自身のウェルビーイングを満たすという新たな手段を見つけることができます。

好奇心 空腹 脳

好奇心と空腹は、人を動機付けるために同じ脳領域を共有する

好奇心、そして知識を得たいという欲望は、ウィリアム・ジェームズやイワン・パブロフ、フレデリック・スキナーなどの名だたる心理学者たちの関心を引きつけてきた心理現象です。

好奇心と空腹とが同じ脳領域を共有しているのは主として、これらがモチベーションに関連するものだからです。前者(好奇心)は知性や理性を象徴するもののように、そして後者(空腹)は原始的本能のように思えるかもしれません。しかし、どちらも人間の生存には欠かせないものなのです。

事実、好奇心の欠如とうつ病や病気による空腹感の欠如とは関連している場合がよくあります。どちらが欠けても、人間は健康でいられません。ウィリアム・ジョーンズが正しく言い当てたように、「未知のものを理解したいという欲望が私たちを生かしているのだ、なぜなら、好奇心もまた、生命に必要不可欠な栄養分の一形態だから」なのです。

そのため、この衝動を保持するよう努めてください。つまり、心身の健康を維持するために、そして制約や試練を乗り越えて前進する希望を持つために、毎日好奇心を養いましょう。好奇心と空腹はほぼ全ての生物にとって基本となる本能なのです。

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  • Johnny King L LauHiroki OzonoKei KuratomiAsuka KomiyaKou Murayama. Hunger for Knowledge: How the Irresistible Lure of Curiosity is Generated in the Brain
  • Kidd, Celeste (2015) The psychology and neuroscience of curiosity, Neuron. 2015 Nov 4; 88(3): 449–460.
    doi: 10.1016/j.neuron.2015.09.01