向社会的行動:人助けは他人のため?それとも自分のため?

誰かがストレスを抱えているのを見ると、気分が下がるでしょう。そこで、その人に手を差し伸べようとします。これは社会的連帯への思いと関係するのでしょうか?読み進め、学びましょう。
向社会的行動:人助けは他人のため?それとも自分のため?
Elena Sanz

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz.

最後の更新: 21 12月, 2022

向社会的行動(家族、友人、見ず知らずの人に手を差し伸べる行為)をとることで、自分が利他的で親切だと感じることもあるでしょう。助けを必要としている人に手を差し伸べると、自分は高い価値観と道徳心を持った良い人間だと感じるかもしれません。反対に人助けを拒否すると、自分は自己中心的だと感じることも珍しくありません。ところで、この人助けという行為は完全に私心の無い行為ではないのではないかと、立ち止まって考えてみたことはありますか?

手を差し伸べたいという思いや人に親切でありたいという思いの裏に隠れた動機について、考えたことはありますか?これは感情の理解や共感による行為だと言い切れますか?人の幸せに貢献したいという気持ちが、社会的連帯のためではなかったらどうでしょう?このようなアプローチを研究した調査で、興味深い結論が出ています。

人に手を差し伸べるのは思いやりから?それとも不安から?

人間の向社会的行動に関しては、何十年も前から研究がなされてきました。なぜ私達は人に手を差し伸べるのでしょう?誰もがこのような性格を持って生まれてくるのでしょうか?それとも、文化的学習によるものでしょうか?この疑問やその他の質問に関し、多数の学者が議論を進めてきました。

一例を見てみましょう。悩んでる人を見た時、人の脳は痛みのプロセスを含む同様の神経ネットワークを活発化することが証明されています。言い換えると、ほとんどの人が、人の痛みを自分の痛みのように感じることができるということです。あなたもその一人かもしれません。

向社会的行動 思いやり 不安

このような状況で、私達は正確にはどのように感じるのでしょうか。より経験的な支持を得ているであろう仮説によると、誰かが助けを必要としてる状況で示される反応には二つあります。

  • 苦悩、嫌悪感、困惑、恐れといった反応が一つです。
  • もう一つは、思いやりと理解です。真に心が動かされることもあります。

様々な要因により、一方が他方より優勢になります。これはまず、個人の悩みの詳細な状況に依存します。次に、それを見る人の個人的立ち位置によります。同じ状況で、人は様々な反応を示します。二つの異なる状況において、同じ人が違う反応を示す可能性もあります。

あなたの動機は?

このような状況に対して苦痛を感じる人も、思いやりを抱く人も、助けを必要としている人におそらく手を差し伸べるのではないでしょうか。しかし、その動機はそれぞれの状況で異なるかもしれません。

基本的に、警戒、苦悩、心配を感じる場合、人は自己中心的な行動パターンをとる傾向にあります。つまり、悩んでいる人を見ることにより自分の中に生まれる不快感を解消するために、人を助けるのです。反対に、心が動かされる場合、利他的動機で行動します。自分ではなく、人の苦しみに焦点を当てます。

大学生が行った研究により、この事実が明るみに出ました。これらの研究において、手を差し伸べる行動パターンは、感じた感情に依存することが分かっています。基本的に、不安を覚える人は、それを解消することが動機になっています。一方で、思いやりにより行動する人は、相手のニーズを解消することが目的です。

自分の中で活発化する反応を単純に選ぶことはできません。そのため、倫理面で、一つのグループがもう一方よりどこか支援的であると確定することはできません。さらに、ある研究で、興味深い事実が判明しました。手を差し伸べるという行為に大きな個人的代償が伴う場合、本当に共感する傾向のある人は、自己中心的な行動パターンを示すことが分かったのです。個人の代償が、最初の利他的な衝動を無効にしてしまうようです。

人を助ける 理由

誰もが向社会的行動をとるもの?

このような結果により、どのような人が本当に思いやりがあり、利他的で優しいのかという疑問へのあいまいさは増大します。お気づきかと思いますが、多くの場合、手を差し伸べることで人は喜びを得ることができます。また、これにより自分の不快感も回避するのに役立つことがお分かりいただけたでしょう。

このように、手を差し伸べる人の感情により行動が決まります。そこで、人を心配する思いが動機になっていると確定づけることは可能でしょうか?いずれにせよ、潜在的動機にかかわらず、向社会的行動は良いものです。周りの人に手を差し伸べることで、幸福感が増すことは間違いありません。また、より満足度の高い社会的共存を実現するためには、このような行動の促進を続けることが重要です。


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