キャッテルの16個のパーソナリティモデル

キャッテルの16個のパーソナリティモデル
Gema Sánchez Cuevas

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

最後の更新: 01 5月, 2019

間違いなく、キャッテルのパーソナリティモデルは最も有名なモデルの1つです。人格を記述化しようとした彼の試みは、彼自身が考案した16パーソナリティ因子質問紙という有名なテストを通して多くの人に広まりました。現代では、キャッテルが作ったオリジナルモデルを使うことはありませんが、それでも彼のテストの核心部分は依然として利用されています。

そのほかにも、彼は流動性知能と結晶性知能という2つの知能を提案した人物としても知られています。流動性知能とは、現代で使われている知能の概念に近いものです。例えば、この種の知能は論理的な問題を解決することに使われます。ここにおいて、人の個人的経験はそこまで大切ではなく、問題自体に取り組むその人の専門的知識が重要になります。一方で結晶性知能は、個人的経験の結晶と言えます。そのため、記憶に本質的に纏わる質問や問題を答えるのに役立ちます。

このように、知能に関するトピックは、キャッテルが発展させたモデルと同様に非常に興味深いものなのです。この記事では、彼の興味深いパーソナリティモデルと、16パーソナリティ因子質問紙で使用された質問に着目していきたいと思います。

カバンを持つ人

キャッテルと16パーソナリティ因子質問紙

心理学の分野において、パーソナリティ研究は議論の的となっています。人格という環境と遺伝子に左右される人の性質に関して、その覇権を巡って多くの理論が提唱されてきました。

パーソナリティの起源(遺伝子か環境か)に関する議論だけではなく、パーソナリティがどこまで人の行動を変化させ、影響を与えるか、という点も広く議論されています。また、パーソナリティに関するもう一つの興味深い議論は、その区分、分割、力学などに関係しています。

ここでキャッテルは、基礎的な精神とパーソナリティ研究の分野における、アメリカとイギリスの研究者たちの成果をまとめた人物であると考えることができます。彼は、知能の科学的研究のみならず、人格研究においても、とても強力な方法論を活用したのです。そして彼の目的は、様々な主要因を理解することでした。

彼は自身の研究において、3つの材料をデータ収集技術として用いりました。

  • Q(質問紙)。
  • L(評価もしくはインタビュー)。
  • T(客観式テスト)。

キャッテルのモデルの3つのステージ

方法論的に考えると、彼は対象者がリストアップした3つの材料をもとに、信頼性や安定感、信ぴょう性のあるモデルを正確かつ真剣に分析、作成しようとしました。以下の3つのステージを理解することで、彼が示したモデルの進展も理解することができます。

  • 1つ目のステージ:これが、171個のパーソナリティ特性に他なりません。当時、キャッテルは彼の数年前にオールポートとオドバードによって作られていたより長いリストから、これらのすべての特性を見つけ出しました。このリストでは、この2人の研究者は、当時主に使われていた2つの英語辞典に載っているパーソナリティー関連のすべての用語を反映させていました。
  • 2つ目のステージ:ここでは、評価とインタービューで得られた情報に焦点を当てることで、これらの要因に対して理論的内容を与えようとしました。
  • 3つ目のステージ:ここで彼は、質問紙(Q)と客観式テスト(T)で収集した情報を使用しました。すべての内容と数学的分析の後、キャッテルは、人には16個のパーソナリティ要因があると結論づけました。これら要因によって、人々を何らかの形で分類できようになります。数学的には、これらは一次要因分析の論理的結果です。そして、これらは両極的に示されます。
  1. 情感(高-低)
  2. 知能(高-低)
  3. 衝動性(情緒不安定-情緒安定)
  4. 支配性(支配-服従)
  5. 躍動(慎重-軽率)
  6. 規則(自我が強い-自我が弱い)
  7. 大胆(物怖じする-物怖じしない)
  8. 感度(精神的に強い-精神的に弱い)
  9. 警戒(信じやすい-疑い深い)
  10. 抽象性(現実的-空想的)
  11. 隔絶(無技巧-利口)
  12. 懸念(ある-ない)
  13. 変革(革新的-保守的)
  14. 自立(個人充足-集団依存)
  15. 完璧(自律的-放縦的)
  16. 緊張(緊張-リラックス)

16パーソナリティ因子質問紙における2次要因分析

上記したパーソナリティの要因は独立していません(直交的)。代わりに、正と負の相関を示し、他の基礎的な要素(2次要素)を引き起こします。

  • QS1.内向的 vs 外向的
  • QS2.不安的 vs 安定的
  • QS3.感受的 vs 執拗的
  • QS4.独立的 vs 依存的

この1次と2次の要因に基づいて、キャッテルは当時、最も有名で広く使用されていた質問紙の1つを作成しました。さらに、彼は2つの側面に基づきながら、これのパーソナリティの特性を分類しました。

  • 起源:遺伝的 vs 環境的
  • 内容:気質、動機、関心

このように当時、キャッテルはすでに現在のパーソナリティ研究者に受け入れられているアイディアを主張していたのです。またこの考えは、人のパーソナリティがその人の遺伝と、その人が育った環境の産物であるということを表しています。

4つのスケール:例外の制御

16パーソナリティ因子質問紙は、答えの中にある異常性を制御するために4つのスケールを使用します。応答スタイルのスケール(信頼性、妥当性)、映像操作(社会的期待を操作するため)、黙諾性(質問に限らず同じ答えをする傾向の制御)、希少性指標または可能性指標(無造作に答えらえた質問の発見とそれの無効化。それぞれの要因の答えの一貫性を確かめる)。

気球の頭

キャッテルの功績

キャッテルの功績は主に2つの分野に分けることができ、それらは非常に密接に結び付けられています。1つ目は、モデルを正確に測定したり数学的形状を与えようとした点です。ここにおけるモデルとはパーソナリティであり、それらのものは間接的にしか測定出来ないので、キャッテルが行なった作業はとても難しかったと言って間違いないでしょう。

さらに、パーソナリティの測定には不純な変数がつきものです。なぜなら、ほとんどの質問紙や心理テスト(16 PFなど、十分な妥当性と信頼性が伴ったテスト)において、質問の答えを出すのは、回答者本人だからです。自己認識と現実の関係性はほとんどないということを忘れないでおきましょう。

皮肉としてではなく、それが人間であるのと同じくらい明確であるという例を用いてこのことを説明してみましょう。道を歩いている時、2人の女性が自分自身の特性を認識せずに、相手のことを頑固者だと繰り返し言い合っている様子を見たことがありますか。この記憶はあきらかに矛盾しています。これと同じことが、多くのパーソナリティテストを答える時にも起こるのです。

キャッテルの2つ目の功績は、彼のモデルの明瞭さと直接的な関係があります。歴史は時に間違っていることもあるとはいえ、人間にとって手詰まりな状況を生み出す馬鹿げた考えや不必要な出来事を避ける良いフィルターになります。キャッテルのモデルにおいてはこのようなことは起きていません。だからこそ、この記事を彼に捧げたいと思ったのです。


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