境界性人格障害患者に対するペットの犬のセラピー効果

2019年11月21日
境界性人格障害(境界性パーソナリティー障害)を持つ人々にとって、ペットの犬との触れ合いにはセラピー効果があります。特に境界性人格障害患者が苦労する社会での自信を得るのをサポートする効果が期待できます。

境界性人格障害(境界性パーソナリティー障害)の人は、空虚感を感じる傾向があります。これは通常、一般的な子供時代を送らなかったという体験に起因しています。

患者の幼児期や子供時代の話を聞くと、多くの人に共通するテーマがあることに気づくでしょう。

  • 両親の不在
  • 感情的な怠慢さ
  • 心身面での愛情の欠如など

それでは、この病気に対してペットはどのようにサポートすることができるのでしょうか?今回の記事では、境界性人格障害を持つ人にとって、ペットがどのようなセラピー効果を発揮するのかについて説明します。

環境だけが境界性人格障害を発症する唯一の要因ではなく、遺伝的な要因も存在します。

境界性人格障害の患者は、必死に溺れないようにもがいているかのようであり、何かに迷ったり心が壊れます。誰かに捨てられるかもしれないという恐怖心が強い境界性人格障害の患者は、自己破滅へと向かう傾向が強くあります。

誰かが自分の元を去るのを恐れるあまり、愛する人を逆に追い払ってしまうため、最終的には「誰かが自分の元を去る」という恐怖は、自己実現的な予言となってしまいます。

また境界性人格障害の患者は非常に敏感であり、誰かが彼らに対してイライラしたり矛盾のある行動をすると、深い感情的な痛みを感じることを覚えておきましょう。

その点では、犬をはじめとするペットは人間を非難したり見捨てることはありません。そのため、ペットと過ごす時間は、心に痛みを感じることなく愛情を受け取ることができる素晴らしい方法だと言えます。

境界性人格障害に苦しむ患者の多くは、ペット、特に犬に愛情を注ぎます。これは、ペットとの触れ合いや一緒に過ごす時間が患者の空虚感を埋める効果があるからです。

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犬が境界性人格障害の患者に効果的である理由

感情面の有効性

対人関係では自分の感情が認められないこともあり、自分が感じている感情が本物または有効であることを否定されることがあります。

しかし動物との関係においては、動物は誰かの自分に対する感情を否定することはありません。

通常、境界性人格障害の患者は、家族や親しい友人との間にこのような感情面での問題を抱えています。

例えば「今飲み物を飲んだばかりだから、喉が渇いているはずがない」「必要なものは全て持っているのに、いつも泣いている意味がわからない」などと言われることです。

犬が人間に対してこのような対応をすることはないため、境界性人格障害の患者は完全に受け入れられていると感じるでしょう。

こちらもご参考に:境界性パーソナリティ障害を知っていますか?

犬は非難をしない

ペットは飼い主を非難したり批判しません。つまり、このような感情を表現する言語を持たない動物は、人間が持つ文化的そして社会的信念を持ちません。

人間の持つ文化的そして社会的な信念、ステレオタイプ、そして偏見は、多くの場合、他人を非難したり批判することから生まれます。

境界性人格障害の患者は、誰かに批判や非難をされると耐えられないほどの感情的な痛みを経験します。その結果、患者は誰かと人間関係を維持するのがとても難しくなるのです。

その点、犬をはじめとするペットは患者に安心感を与え、相手を非難したり批判しない関係を築くことができるでしょう。

こちらもご覧ください:境界性パーソナリティ障害と共に生きる

そばにいてくれる存在

犬は境界性人格障害の患者にとって素晴らしい仲間になります。

患者が心の痛みや辛さを経験している時、泣いている時、そして不安定さを感じている時には、犬は患者のそばで寄り添います

このような関係は、患者が精神面のバランスを保つのに必要であり、飼い主の感情を調節するサポートをしているともいえるでしょう。

無条件の愛

愛犬は、見返りを求めずひたすら飼い主を愛する存在です。境界性人格障害の患者の多くは、自尊心の低さに苦しむ傾向があるため、犬を飼うことで、自信を取り戻す効果が期待できます。

境界性人格障害の患者が引き起こす問題行動の多くは、愛情や理解を必要とすることに起因しますが、ここでの問題は、これらの行動がしばしば逆効果を生み出すという点です。

しかしペットの犬の場合は、患者が必要とする愛を無条件で提供する存在となります。

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境界性人格障害患者と愛犬との時間の欠点

境界性人格障害の患者が、ペットの犬との健全で特別な絆を築くことができるのはここまでで説明しましたが、この関係にはいくつかのマイナス点があります。

それは、犬の存在が患者の感情にとっての緩衝材となったり、何かあった時も包帯や絆創膏のような働きをして感情を覆うという点です。

患者が経験する痛みを伴う感情や機能不全となっている精神面を、犬の存在が覆い隠すことがあります。一見すると、患者が自ら感情をコントロールし、感情的に安定していると感じるのに役立つため、最初は問題ありません。

ここでの問題は、患者が愛犬に過度に依存するようになる可能性があることです。周りの人から自分を遮断して、感情面のニーズの全てをペットで満たそうとして、対人関係で起こりうる様々な状況や困難を回避する可能性があります。

メリットを最大限に活用するために

ペットの犬と触れ合うことによるセラピー効果を最大限に活用しながら、状況を悪化させないようにするためのバランスを見つけることが重要です。

患者が愛犬に感情面で依存することなく、愛犬との時間を活用することが大切です。また境界性人格障害の患者は、周囲の人々との関係を築く努力をするべきです。ストレスを感じるような状況も、喜んで受け入れるようになることが大切です。

毎日の生活の中では、ある時点で何らかの批判を誰かからされる可能性があるという事実を受け入れて、それを対処する方法を少しずつ学んでいくことが大切なのです。

境界性人格障害患者がペットの犬に愛情を注ぐことで起こるもう一つの欠点は、犬が人間よりもずっと先に死んでしまうという点です。

これは患者の精神状態に深刻な危機的状況をもたらす可能性があり、自傷行為だけでなく、衝動性、攻撃性そして激しい不快感へとつながる可能性があります。

愛犬と触れ合う時間は、中程度の境界性人格障害の患者にとってセラピー効果が期待できます。しかし、動物と過ごす時間が良い効果をもたらし、その関係が有害にならないように周りが特別な注意を払う必要があります。

また、犬との時間が治療の代替えになるものではないことも理解しておかなければなりません。

  • Frías, A. (2017). Vivir con trastorno límite de la personalidad. Una guía clínica para pacientes. Serendipity. Desvele de Brouwer.