境界性パーソナリティ障害を持つ人のサポート方法
境界性パーソナリティ障害(BPD)ほど、複雑で消耗させるパーソナリティ障害はあまりありません。治療、生物学、物理学の観点からみることはできますが、患者の心理社会的な環境も関係してきます。
よく、患者の家族や友人は、何をすべきか、何をしないべきか、どのように助けを差し伸べるべきか、どのようにケアすべきか悩みます。この記事で扱う疑問は、境界性パーソナリティ障害を持った人をどのようにサポートすべきかです。
精神的な病気や心理的障害について語る多くの場合、症状、原因、きっかけなどを見ていきます。しかし、それではカギとなる面を忘れています。
その障害を持った人の個人的・関連的世界を考慮することを忘れています。考えるのは容易ではありませんが、彼らはどうしたらいいかわからず、息が詰まったように、自分の思考に閉じ込められてしまったように感じているかもしれません。
「境界性パーソナリティ障害は、まだよく理解されていません。誤解されたり、いろんなセラピストにたらい回しにされたりして、さらに混乱してどうしようもなくなっている患者に出会ってきました。」
-Dolores Mosquera-
心理学の専門家は、パーソナリティ障害ほど判断と治療が難しいものはないと理解しています。症状の重複、たくさんの誤った陽性判断(悪い診断) 、膨大な精神病理学ラビリンスは、見過ごされがちです。
DSM-Vのようなマニュアルはいくつかの特徴を明らかにする助けにはなります。しかし、境界性パーソナリティ障害を持った人をサポートすることがどれだけ難しいかもわかります。
この障害を持つ人の家族は、患者がすること、苦しんでいることのすべてが本にのっているわけではないことを知っています。大抵、患者の一番そばにいる愛する人が、病気の不安定さ、思い込み、空虚感、二極性思考のターゲット・直接的な被害者になってしまいます。
だから、BPDを患うひとの家庭環境を考えることは重要です。
境界性パーソナリティ障害を持つ人の一般的な特徴
境界性パーソナリティ障害の患者は、人間関係と自尊心の不安定さに特徴づけられます。
彼らは…
- 感情の起伏が激しい。
- 後にその人を過小評価し辱めるためだけに愛する人を理想化する。
- 空虚感と自暴自棄を常に感じている。
- 誇大妄想を抱いている、あるいは、
- 自傷癖や自殺未遂傾向が見られる。
- 様々な防衛メカニズムを使用。否定と投影を共に含む。これらによって自分の病気に気づきにくくなり、自分に責任が持てなくなる。
他の多くの心理的病気同様、「魔法の治療」は境界性パーソナリティ障害には存在しないことを覚えておいてください。ムード、恐怖、空虚感のローラーコースターを止めてくれる完璧なセラピーはありません。
しかし、わたしたちに可能なのは、感情的な安定性を促進し、人間関係の質を改善させる治療です。これこそ、境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートする第一歩です。
わたしたちが無視することのできない、境界性パーソナリティ障害を持つ人のケアにおける重要な側面があります。家族のサポートです。これは精神病の最も基本的なツールです。個人的な環境における 適切な処理方法を提供し、彼らと共に生きサポートする方法を学ばなくてはいけません。
境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートする方法
患者のそばにいる人は、罪悪感を感じます。疑念を感じ、患者の浮き沈みや自傷行為で自分を責めます。もっとよくわかっているべきだった、早く何か言うべきだったと感じます。愛する人が境界性パーソナリティ障害持っている場合、次の3つのことを覚えておいてください:
- 病気を引き起こしたのはあなたではない。
- あなたは病気を治すことはできない。
- あなたは病気をコントロールできない。
これらのポイントが明確になったら、愛する人をサポートすることができます。いくつかの実践的なガイドラインを見てみましょう:
- 何が起こっていて、患者がなぜそのようにふるまっているかを理解することが一番大事。
- はじめに紹介したように、この病気は複雑で消耗が激しい。時に、病気と一緒に、鬱、双極性障害、不安障害、拒食/過食症、ドラッグ乱用などを併発する。
- すべての症状、特徴を知ることは必須。
- 境界性パーソナリティ障害は治療が可能だが、助けを得るのを避けたり、治療に行かなかったりする。
- セラピーと薬を続けるよう励ますことが必須。
境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートする方法: コミュニケーションを取る
境界性パーソナリティ障害を持つ人は、残忍で不合理なことを口にするかもしれません。捨てられることや仲間外れにされることを恐れ、発作的に怒りや言語的虐待を爆発させます。
- 専門家によれば、「聴覚難読症」状態。コンテキストなしに、無秩序な言葉として聞こえる。
- 言葉で暴力的な時、「今は話すのに適していない」を思うこと。患者に彼らがあなたにとって大事であり、リラックスできたときに話したいと思っていることを伝える。
- 患者が落ち着いたら、大事にされていると感じさせるために彼らの言葉ではなく感情にフォーカスする。
- 言っていることの意味が分からなかったり不合理でも問題なし。聞き入れられており、支援されていると感じさせるようにする。
- 攻撃的になったら、議論に持ち込むよりスペースを与えるのがベスト。
健全なリミットを設定する
境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートするために最も効果的な方法は、行動をコントロールする助けを差し伸べることです。そうするためには、リミットを設定し、そのリミットを守るようにお願いします。自分で制御し、治療を続けることの重要性を理解させます。
- すべての家族の一員が、リミットとルールに同意する。
- 何が許されて許されないのを、決定し共有する。
何が許されないのかをはっきり伝える必要がありますが、愛情を持つことが大事です。「あなたのことを愛しているから、治したい。そうするためには、こんな風にわたしたちに話したり、こんなことをしたら、わたしたちと自分自身を傷つけることになることを理解しなくはだめ。これらの行動は受け入れられないよ。みんなのために変わろう。」
境界性パーソナリティ障害を持つ人にしてはいけないこと
- 脅したり最後通告を出したりする
- 虐待的な行為を許す
- 治療をやめるのを許す
- 自殺の脅しを無視する
境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートするには自分のケアも重要
次の方法で自分のケアができます:
- 自分を隔離したり、境界性パーソナリティ障害を持つ人中心に自分の生活を構築したりしない。
- 自分の健康をネグレクトしない。
- 同じような境遇にいる人とサポートグループへ行く。
- ストレスを管理するテクニックを学ぶ。
最後に、患者、家族、専門家のコラボレーションは簡単ではありません。しかし、可能です。境界性パーソナリティ障害を持つ人をサポートすることは日々の挑戦です。衝動性を最小限に抑え、理性的な判断の種をまくのは、浮き沈みが激しいですがやりがいのある道です。
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Friedel, Robert (2004) “Borderline Personality Disorder Demystified: An Essential Guide for Understanding and Living” New York: Da Capo Press.
Mosquera, Dolores (2014) “Trastorno Límite De La Personalidad Y EMDR” Madrid: Pléyades.
T. Blokehead (2015) “Trastorno Límite de Personalidad. Una guía de autoayuda”. Babelcube.