境界性パーソナリティ障害と危機的状況への対処法
境界性パーソナリティ障害(BPD)の人は、人間関係、自己像、感情において不安定なパターンがあります。多くの場合、このパターンは破壊的だとされます。ここでは、境界性パーソナリティ障害(BPD)を抱える人が危機に直面した時の対処法についてお話します。この障害を抱える人は、ある種のストレス因子や生物学的因子に対する反応として、人生を通して困難な危機に直面します。
年を重ねると、障害は勢いを失います。しかし、これは人格障害であり、本質的に慢性的であることを頭に入れておくことが重要です。そのため、それに上手く対処する方法を学ぶことが大切なのです。
境界性パーソナリティ障害が危機に直面すると、感情が津波のように訪れ、管理することは非常に難しいのです。衝動にかられ、恐怖心を抱き、希望を失い、見捨てられたような気がします。また、自分を傷つけたいというニーズにかられることさえあります。感情の津波に直面した時、これを止めるためにできることはあまりありません。
それはまるで誰かに操られているかのようです。危機が過去ると、境界性パーソナリティ障害の人は恥や罪悪感を覚えることがよくあります。それは、自分の行動を理解できないためです。
一方で、危機に直面した時周りにいる人は、本人が後で後悔することをしないよう、できる限りのことをしようとします。
患者の家族にはとても困難で痛みを伴う状況です。それは、身体的、言語的に攻撃性が現れるからではなく、家族は境界性パーソナリティ障害を抱える本人が一番苦しんでいることを分かっているためです。
BPDを抱える人が危機に直面した時
境界性パーソナリティ障害の人が危機に直面した時に、何を求めているか本人に尋ねると、もっとも重要なのは優しさ、理解、愛だという答えが返ってくるでしょう。
境界性パーソナリティ障害の人が危機に直面すると、感情のパズルの大事なパーツをなくしたような、激しい虚無感を感じます。この気持ちから、そのパーツを捕えようとします。しかし、その方法があまりよくありません。愛情や優しさを求めるために、言葉を使うのではなく、要求、怒りのこもった批判、不安定性、不快感をもって表現してしまいます。
危機に直面した人に初めて出会った時、人は、本人に注意を向け、説得しよう試みたりします。そして、それに効果がないことに気づくと、距離を置きます。この行為は、境界性パーソナリティ障害を抱える人がすでに恐れている見捨てられるという不安を助長し、不快感を高めるだけです。
危機に直面した時、パートナーや家族が批判することなく寄り添うことを専門家は推奨しています。詳しくみていきましょう。
BPDの人が危機に直面した時への対処
境界性パーソナリティ障害の人の多くが、誰も感情を大切にしてくれない環境で育っています。これは不認証環境と呼ばれます。さらに、生物学的気質がこの障害の発達に関わっています。
生物学をコントロールすることはできませんが、自分の環境はある程度コントロールできます。
繰り返しになりますが、境界性パーソナリティ障害の人が危機に直面した時にもっとも必要としているのは、批判しない人、無条件の受容、感情の容認です。この組み合わせが、感情の激しさや危機の長さを変えます。
境界性パーソナリティ障害の人が危機に直面した時に家族が使えるストラテジーはこちらです:
無条件の受容
境界性パーソナリティ障害の人は無条件に受け入れてもらいたいものです。人生における障害やカオスを受けいれ、危機が生じるという事実を受いれるということです。本人を愛してくれる人に、この危機が病気に関連した危機であると知ってもらうことを必要としています。
境界性パーソナリティ障害の人が危機に直面した時、説教をしてはいけません。防御的になったり、口論しようとしてはいけません。この危機は障害の一部であり、永遠に続くのではないということを頭に入れておきましょう。
愛し、愛情を注ごう
危機に直面した人は、愛、寄り添うこと、優しさ、共感を必要としています。批評することなく、側にいましょう。
失礼なことを言われても、自分を守ろうとしたり、反応しない方が良いです。何があっても側にいるよと伝えましょう。嫌なことを言われ、平静でいることは簡単ではありませんが、これが危機を沈める唯一の方法です。
口論しようとすると、危機は悪化し、悪い結末を迎えるでしょう。深呼吸し、気長に待ちましょう。いつか終わります。
自分が誰かを思い出させよう
障害が本人を決めるのではないということを伝えましょう。境界性パーソナリティ障害は、あらゆる病気と同じように、症状を引き起こしますが、それは単なる症状です。これにより、悪い人だとか、症状がその人自身だと決まるわけではありません。
このように伝えることで、本人は理解してもらい、支えられていると感じることができます。危機を終えた時、その時に起こったことに対する罪悪感を軽減することができます。
安全の確保
危機に直面している時、境界性パーソナリティ障害の人をひとりにしないことは重要です。それは、自傷行為により感情を調整しようとすることがあるためです。
愛する人に、自傷や自殺の危険があると思う時は、ナイフや薬など危険なものをすべて離した方が良いでしょう。
過保護にならない
愛し、愛情を注ぐことと、過保護になることは違います。感情を認め、カオスを受け入れることは必要ですが、あなたに依存したり、イネーブラーにならないように注意が必要です。できるだけいつもの日課をこなし、責任感や独立心をもたせることも重要です。愛情を注ぎ、忍耐強くいることは大切ですが、境界性パーソナリティ障害の人が普通に暮らすことも欠かせません。
まとめると、境界性パーソナリティ障害の人が直面する危機をコントロールするのは、簡単ではありません。本人や家族、友人が悩むことは間違いありません。感情の激しさからできるだけ遠くに離れたいと思うこともあるかもしれません。本人は自傷行為を通して、自らの危機から離れようとします。
逃げたいという思いに抵抗し、愛する人が必要とする時に側にいてくれることは、大きな違いを生みます。走り去るのではなく、包み込みましょう。それは不自然に感じるかもしれません、また、最初はそうしたくないかもしれません。それでも、そのハグが悪魔を沈め、愛する人が戻ってくることもあるのです。
今回ご紹介した対処法がお役に立てば、幸いです。
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