共感せずに話を聞くこと:感情的な分離

2019年4月6日
誰かに話をしていて、心からの反応が返ってこなかったときのことを想像してください。あるいは、誠実な反応を受けたと思い込んでいて、実際は、あなたの言っていることから感情的に断絶しているとわかったらどうでしょうか。これこそ、共感もなく話を聞くことです。

共感もせずに聞くことは、しっかり目で見ていないのと同じです。頭の中では自分の周りで起こっていることをまるで意識していないのに、うなずくようなものです。その場にいつつ、本当の意味ではそこにいないも同然です。コミュニケーションと、共感力を持って話を聞くことは、強く意味のある人間関係を構築するためには必要不可欠です。これによって、他人の感情とつながりを持つことができます。

数か月前、イエール大学の心理学者で認知科学の専門家ポール・ブルーム氏が、共感力に関して議論を引き起こすような発言をしました。彼は、これにはポジティブなことがないと言うのです。

ポール・ブルーム氏によれば、共感の裏には偽りが隠されています。例えば、本当は気にしていなくとも、相手が言っていることに共感することは出来ます。つまり、彼が言っていることは、どんな人も、ある程度他人の立場に立って考えられるという事実です。しかし、だからと言って、他人が経験してることを本当に気にしているとは限りません。これが、共感せずに話を聞くということです。

それゆえに、人が積極的な姿勢を見せないのであれば、共感力を持っていることは無意味だとブルーム氏は考えています。本当の意味で共感的でいるためには、目の前にいる人とその人の話に意識を向けなくてはいけません。 さらに、ブルーム氏が指摘しているように、共感的に見えて、他人を助けるために何もしない人もいます。こういった人は、自分の気分を良くするためだけに、共感を見せるのです。

そのため、そこにいるだけだったり、相手の現実を理解していると感じたりアピールするだけでもいけません。積極的に感情、相手と築いているつながりを出すべきです。

共感せずに聞くということ

人は日々のコミュニケーションを儀式化してしまい、他人との関係の中に存在する感情的なつながりの欠落を認識できなくなります。.

とても特徴的な例は、子どもが何かを説明しているときに、自動的に反応する父親や母親です。「上手にかけたね。」や「本当?それ面白そう。」と言ったフレーズが、無意味になるようなところまで来てしまいます。何度も何度も繰り返し口にしているからです。簡単な答えを与えて、自分のしていることに集中したいと思っていることを、子どもに気づかれないと思っている親もいます。しかし、子どもは気づいてしまうものなのです

心から子どもを愛していない、というわけではありません。忙しい生活が人間関係に介入している、ということです。多忙なスケジュールを持つ親は、自分の責任のことを常に考え、共感を示さずに話を聞いてしまいがちです。

うつむき
共感力のない反応によって阻害される感情的つながり

本当の意味でその場に「いない」人について話してきました。誰かと心からの会話をしたいときに、本当には話を聞いていなくて、ただ頷かれるとします。そこには感情的なつながりがなく、ただの空っぽの会話です。

全く役に立たない答えを返してくるときもあります。それらの答えの例を見てみましょう。

  • 助言的な返答:あなたは~すべき。
  • 共感的に見せかけた攻撃的な返答:ちょっと大げさじゃない?全く問題ではないよ!
  • 修正的な返答:あなたは間違っているよ。
  • 問いただすような返答:でも、何故そう思うの?したの?言ったの?
  • 回避的な返答:心配しているのはわかるけど、でも今は助けてあげられないの。理由があって…

お分かりいただけると思いますが、これらのタイプの反応は、私たちの気分を害してしまう、共感なく話を聞いていることの例です。

本当の共感力と積極的な姿勢の育て方

どんな人も共感的になることは出来ます。実際、キングス・カレッジ・ロンドン精神医学研究所のアンソニー・デイビット医師は、共感力を測ることは可能であるということを証明した研究を行っています。

これによって、人は共感を持つことが可能であると、世界に知れ渡りました。しかし、人は自分の社交能力を向上させるための意思を欠いてしまうことがあります。つまり、人は共感的ですが、本来そうするべきであるようには、効果的にそれを利用できていないということです。

その結果、共感力を持たずに話を聞くことが、かなり普通のことになってしまいます。人は、自分たちが包括的で忍耐強く思いやりのある人であると思いがちですが、実際は他人に共感を示せていないのです。

改善させるためには、次にご紹介する鍵を心にとめておきましょう。

怒る女性
共感力を効果的に使う方法

  • 共感力を育てるためには、慌てたり、言い訳をしたりせずに、その場に「居る」ことを学ばなくてはいけません。
  • アイコンタクトは鍵です。相手を非難することなく、目を見る必要があります。愛情を表現して、まなざしで理解を示す事を学びましょう。
  • 次に、反応の仕方を知らなくてはいけません。「私だったらこうする」、「違う風に行動すればよかったのに」というような批判、判断、フレーズは、全く役立ちません。
  • 特に、共感力には積極性がなくてはいけません。理解していると口にするのに、助けるために何もしないのは、他人に偽りの希望を与えます。相手に価値があることを伝えて、おざなりにするようなことがあっては、相手が傷ついてしまいます。

この分野に関して自分は専門家である、と思い込まないようにしましょう。改善するために、学ぶべきことはいくらでもあります。少しずつ、共感力を改善させて、より良い誠実な人間関係を作り上げていきましょう。

  • Shari M. Geller and Stephen W. Porges, “Therapeutic Presence: Neurophysiological Mechanisms Mediating Feeling Safe in Therapeutic Relationships” Journal of Psychotherapy Integration, 2014, Vol. 24, No. 3, 178–192.
  • Lawrence, EJ, Shaw, P., Baker, D., Baron-Cohen, S., y David, AS (2004). Medición de la empatía: fiabilidad y validez del cociente de empatía. Medicina psicológica , 34 (5), 911–919. https://doi.org/10.1017/S0033291703001624