社交恐怖:不安と恐怖が人間関係を支配する時

公共の場や大勢の人と一緒にいるときに恐怖を感じたことはありませんか? 人混みや人前で話すのが苦手ですか? もしかしたら、それは社交不安症の症状かもしれません。
社交恐怖:不安と恐怖が人間関係を支配する時
Bernardo Peña Herrera

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Bernardo Peña Herrera.

最後の更新: 09 12月, 2023

恐怖は大変大きな力であり、時には必要な力でもあります。身の周りに敵対するものが存在する時、私たちに反応するように伝える感情です。捕食者に後をつけられていても怖くないシマウマは生存の確率が見込めないシマウマです。

ですが、恐怖が障害となる時があります。これは、恐怖を発動させるメカニズムが上手く機能していない時です。不安はその一つです。実際には脅威ではない刺激が火をつけてしまって、恐怖や心配を激しく感じます。恐怖症はこの良い例と言えます。

クモ、ヘビ、狭所、高所・・・。不合理な恐怖でもって反応してしまう刺激は際限なくあります。人によっては、他人との人間関係でさえもこうした恐怖を呼び起こしてしまうことがあります。社交恐怖と呼ばれるものです。ここでは社交恐怖について更にお話しましょう。

「私が最も恐れるものは恐怖である。」

―ミシェル・ド・モンテーニュ―

社交恐怖とは

社交恐怖、あるいは社交不安障害とは、社交が生じる状況に置かれた時に激しい不安症状を覚えることです。批判されたり、屈辱を受けたり、からかわれたりするのではないかという不合理な恐怖を抱きます。

社交恐怖症の人は、他人と社交することができません。あるいは、グループで活動することを難しく感じます。職場であれ、パーティーであれ、スポーツであれ関係ありません。そして、他人の前で何かしなければいけない場合、苦しみを覚えます。これには電話で人と話したリ、お勘定を頼んだり、食べたりすることが当てはまります。

社交恐怖症の人は、他人と社交することに著しい恐怖を抱いています。

人への恐怖

多くの人は社交恐怖のことを人見知りの一種だと思っていますが、実のところ、社交恐怖は独自のものです。 人見知りでシャイな人は恥ずかしさを感じ、時に怖いとさえ感じることはあっても、かなり軽度のものです。事実、ほとんどの人にとってある程度シャイに感じることは普通です。しかし、社交恐怖で苦しむ人は、不安と恐怖の症状がもっと激しく、感覚が麻痺するくらいにもなります。

社交恐怖の症状とは?

社交恐怖の身体症状には、赤面、過剰な汗、めまい、震え、あるいは吐き気、胃腸の不具合、頻脈、不安発作にまで及びます。そして、こうした症状は社交している時だけに起こるのではありません。この障害の特徴の一つは、社交することを予期しては不安が膨らみ、何週間も前から不安を感じる状態を過ごすことです。

問題は、他の恐怖症と同様に、不安が、こうした恐怖を感じる状況を避けるように私たちを押し進めることです。そうして、主目的が「他人との社交を避ける」という悪循環に陥るのです。

社交恐怖に苦しむと、人生がより一層辛いものとなります。仕事や友人、パートナーを探したり、その他の体験をすることが難しくなります。そして、不安が噴き出す状況を避けることによって、恐怖を更に強くしてしまうのです。恐怖を乗り越える唯一の方法は、恐怖と向き合うことです。

社交恐怖の悪循環から抜け出すことはできるのか?

社交恐怖を乗り越えることは可能ですが、他の不安症と同じように、その道は長く、強さと真剣さが必要になります。「社交恐怖を抱いている」ということを認め、受け入れることが第一歩ですが、ほとんどの場合、この障害を乗り越えるには専門家の助けを求めることが必要不可欠となります。

以下は、社交恐怖症に対峙し、コントロールするのに役立つ重要なポイントです。

問題を認識する

自分に何が起こっているのかを知る事が、まず恐怖症を乗り越えるにあたって踏める第一ステップです。また、あなた自身が問題なのではなくて、ただ問題を抱えているだけだということを知っておくことも大切です。私達はみな、勝利の時もあれば、不調の時もあり、強さを持っていれば、弱さも持ち合わせています。また、緊張し、失敗する権利があります。大事なことは、回復への軌道に乗ることです。

社交恐怖を乗り越えるには、自尊心や自己許容を高めることが欠かせません。なぜなら、そうすることで自分の本質とつながることができ、自分自身をもっと良く知ることができるからです。そして、そうなれば、自分に起きている出来事を受け入れることがずっと楽になります。

海に流される人

恐怖には少しずつ向き合う

行動に移すこともまた欠かせないステップです。恐怖症を乗り越えるにあたって大事なことは、怖いものに立ち向かうことです。ですが、少しずつしなければいけません。家族同士の集まりや、友達と、あるいは小さなグループといったより安全な環境で練習することから始めると良いでしょう。

もう一つの前へ進む方法は、自分にとっての課題を理解することです。もし公共の場で食べるのが怖いのであれば、まずはお弁当を作って、少しずつ公園に座って食べられるように挑戦してみましょう。クラスでの授業に参加するのが怖いのであれば、参加者が少ないことが分かっている活動を選んで、ちょっとでもいいので社交してみましょう。怖い物が他人の意見に対峙することであれば、家族の中でもフレンドリーな人と何かについて討論することから始めると良いでしょう。

肝心なのは、少しずつ始めて、一番強い不安を感じる状況へと移行していくことです。自分の進歩を記録しておくと、実に良いモチベーションになります。

会話する2人

不安を処理することを学ぶ

自分なりに不安を処理する方法を見つけることも大きな助けになります。例えば、運動したり、瞑想したり、リラクゼーションのためのテクニックを学んだり・・・。感じる不安が弱まれば弱まるほど、辛い時に不安に対処することが楽になります。

「恐れてはならない。恐怖は心を殺す。恐怖は完全な破滅をもたらす失神状態である。私は己の恐怖に向き合おう。恐怖が私の側を通りかかり、通り過ぎていくのを許そう。そして、過ぎ去ってしまったら、内なる目を恐怖が辿った道へと向けよう。恐怖が去ったなら、そこには何もないだろう。ただ、私のみが残っているだろう。」

―フランク・ハーバート―

専門家の助けを求める

自分一人では前へ進めないと感じたら、あるいは、外部からのサポートが必要だと感じたら、迷わず専門家の助けを求めましょう。社交スキルや不安をコントロールする方法を身に付けると共に、認知行動療法も社交恐怖を乗り越えるのに役立つことが証明されています。

ご覧のように、社交恐怖は人間関係を弱めてしまう制限性の高い問題です。ですが、努力すれば、少しずつ乗り越えることができます。何よりも、勇気を振り絞って、挑戦してみましょう!


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。