物事を先延ばしにするのがやめられないのはなぜ?

先延ばしという行為の背後にあるのが、常に怠惰や責任の回避といった要因だとは限りません。やらねばならないことの先延ばしが止められない日々の中には、非常に具体的な心理的事情が隠されています。
物事を先延ばしにするのがやめられないのはなぜ?

最後の更新: 13 1月, 2021

「やり始めなくちゃ。明日あのレポートを提出しなくちゃいけないのに私はまだパソコンを開いてすらいない」「何週間も先延ばしにし続けた問題をあと2日で解決しなければならないのに、まだそんな気分になれない」なぜ人は物事を先延ばしにするのをやめられないのでしょう?私たちは怠け者になる運命になっているのでしょうか?なぜ頭脳は本当に優先すべきことだけに集中できないのでしょうか?

言ってしまえば、この世に生きる人全員が先延ばしの悪循環に陥り、その結果罪悪感を抱いてしまった経験を持っているはずです。結局、責任を取ることを後回しにするのは怠惰の現れですよね?少なくとも多くの人々がそう信じているわけですが、これを続けても状況は悪化するだけです。実は、先延ばし行為をさらに強化する要因はネガティブで自虐的な心の声であり、それ以外にはほとんど存在しません。

少し考えてみましょう。本当に怠惰でのらくらしていて無頓着な人物なら、良心の咎めを感じることはないはずですよね。気にかけるべきことを無視しておくための言い訳を見つけることだけが重要なのです。しかし対照的に、何かを後回しにするとそれに対して悪い気分を感じる人の方が多いでしょう。

したがって、このせいで生活が左右されてしまわないように、この先延ばし行為の背後にはどんな原因が隠されているのかを理解することが必須です。では、さっそく説明していきます。

なぜ先延ばしをやめられないのか?

先延ばしというと、私たちは若い学生を思い浮かべがちですが、どんな年齢の人でもこの行為をしています。例えば、面倒な料理を作らなければならない時やガレージで何かを修理しなければならない時、また、仕事の面で言えば請求書を仕上げたりプロジェクトの細かな点を完成させねばならない時に先延ばしが行われがちです。やらねばならないことだと分かっていても、着手する気が起きません。

物事を後回しにするのがやめられないと感じている時、私たちが抱いているのは実は停滞感や進展が無いという感覚です。こういった感覚が人を不安にさせるのは間違いありません。さらにこの時、私たちは以下のような二つの事柄を経験しています。

  • まず、先延ばしにはそれなりの結果が伴います。例えば職を失う危険がありますし、テストに落第したり、あるいはチャンスを逃してしまう可能性もあります。
  • 次に、自分自身のことを悪く捉え始める恐れがあります。自分は非効率的で無能で、全体として酷い人間だと感じるのです。さらに悪いことに、それを自らの手では変えられないと思い込みます。最終的に仕事に取り掛かるという決意をできたとしてもそれは関係ありません。常に仕事から気を逸らさせるようなことが起きてしまうのです。

この振る舞いの背後にはどんな論法が潜んでいるのでしょうか?

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先延ばしは時間管理の問題ではなく、気持ちの問題

「なぜ私は物事を先延ばしにするのがやめられないのだろう?」と悩む人はよく、問題は時間管理が上手くできていないことだ、という考えに至ります。時間管理のマニュアル本を購入する人が多くいるのはそれが理由で、プランナーを雇う人もいるほどです。しかしそのようなことをしてもほとんどの場合、先延ばし行為は変わらずに残り続けます。

何ヶ月も何かを先延ばししている人に対して「もっと計画的になれ」と言うのは、うつ病の人に「幸せそうに振る舞え」と言うのと同じことです。現実には根本的な問題はその人の感情面に潜んでいるため、シンプルにそのような言葉は意味をなさないのです。不安や懸念、恐怖、そして上手くやらねばという自分自身へのプレッシャー、失敗することへの恐れなどがその行為の背後に潜んでいます。

これらは、対処の難しい感情です。そのため、人は戸惑い、気持ちが落ち着かなくなり、厄介かつ疲労につながる脱出ルートである先延ばし行為に頼ります。最悪なのはそういった状況が何ヶ月もずるずると続くことであり、この場合その人は診断されていないうつ病や不安障害に直面している可能性があります。

なぜ先延ばしをやめられないのか?背後にある恐怖心

「なぜ私は先延ばしをやめられないのだろう?」という疑問の背後にはかなりの恐怖心が潜んでいます。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、これはどういう意味なのでしょうか?人々は何を恐れているのでしょう?

ドイツのロイファナ大学で行われた研究は、先延ばし行為が基本的には望ましくない感情状態に対する機能不全反応であることを示しました。例えば、やらねばならないことがたくさんあると、人は怖くなったり落ち着かなくなります。そしてそのような感情状態にどう対処すべきかが分かっていない場合、私たちはそれと向き合うことを避けるのです。まさにこの時、先延ばしという選択肢が浮上します。

平均として、先延ばしの背後には以下のような恐怖心があるのです。

  • 失敗することへの恐怖、他人あるいは自分自身の期待に沿えないことへの恐怖。
  • 自分の手には負えないと感じる特定の状況に直面することで起きる苦悩。
  • また、理由は何であれ、シンプルに「やりたくない」と思うことをやらねばならないという事実への嫌悪感という場合も多くあります。
物事を先延ばしにするのがやめられないのはなぜ?

目標があるのなら、目標自体よりもまずは自分の感情に目を向けよう

自分のための短期的な目標を設定する、あるタスクを実行しなければならない、あるいは締め切りの日に何かを手渡さなければならない、などのシナリオについて考えてみてください。こういった場面で、人は普通小さなミスを犯します。それは、期限日に焦点を当てて計画を立てるというミスです。正確に言えばこれが悪いことだというわけではないのですが、プランニングは最優先事項ではありません。第一に重視すべきは感情なのです。

その仕事のせいで不安を抱いているとしたら、その人は前進することができません。まずは自身の感情状態の改善に取り組み、その後で目標について考える段階へと移る必要があります。ワクワクした気持ちで挑めない物事に対しては自身の強みを見つけられませんし、それに時間を割こうというモチベーションも湧いてきません。そういった感情を管理し、思考を再構成して恐怖心を和らげ、落ち着いた集中力のある精神状態を維持して生産性を上げる必要があるのです。

さらに、リーズ大学のSiroisとPychylの両博士(2013年)は、次のことを心に留めておくよう奨励しています。それは、この長期的な目標を見据えて動き出す前に、「自身の精神状態をケアする」という短期的な目標を緊急で設定しなければならない、ということです。

簡潔に言うと、精神的に余裕があるのならばどんなことにでも意識を向けられるのです。感情マネジメントこそ、常に最善のウェルネス戦略だと言えるでしょう。そのことをいつも覚えておきましょう!

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  • Eckert, M., Ebert, D. D., Lehr, D., Sieland, B., & Berking, M. (2016). Overcome procrastination: Enhancing emotion regulation skills reduce procrastination. Learning and Individual Differences52, 10–18. https://doi.org/10.1016/j.lindif.2016.10.001
  • Sirois, F. and Pychyl, T. (2013) Procrastination and the Priority of Short-Term Mood Regulation: Consequences for Future Self. Social and Personality Psychology Compass, 72). 115 – 127. ISSN 1751-9004 https://doi.org/10.1111/spc3.12011