なぜ親は赤ちゃんを左側に抱くの?

我が子を抱いた聖母マリアの絵477枚を分析したところ、そのうち373枚で彼女は子どもを左側に抱いていた、という面白い事実があります。これは、今でもよく目にする、「赤ちゃんは左側で抱かれた方が落ち着きやすい」という事実と一致しているようです。だからこそ80%の母親がこのような抱き方をするのです。
なぜ親は赤ちゃんを左側に抱くの?

最後の更新: 07 4月, 2020

シンプルですが少し奇妙な事実があります。それは、赤ちゃんは左側で抱かれると落ち着きやすいことに多くの母親が気づいているということです。人間は産まれたばかりの時に最も脆弱で、自力で生きていけるようになるまでかなりの時間を要する生き物です。

そして人間の母親は、赤ちゃんが生後数ヶ月の間の養育過程では他の動物の母親よりも積極的に世話をしなければなりません。例えば人間の赤ちゃんは自力では乳首に吸い付くことができないことがあるので、母親が手助けしてやる必要があります。

アメリカ合衆国で行われた研究やデズモンド・モリスによる著書『裸のサル』での発表などによると、赤ちゃんは左側で抱かれると落ち着くという事実が明らかにされています。そして80%以上の母親が無意識的にこのような抱き方をしているのです。しかし、なぜなのでしょう?

“赤ちゃんは生命の若芽であり、みずみずしい花々のように咲き誇って人類に新たな光をもたらすべく準備をしているのだ”

-デバシシュ・ムリダ-

 

赤ちゃん 左側に抱く

赤ちゃんを左側で抱くこと

アメリカで行われた研究では、母親たちは赤ちゃんを左側で抱くことで体を左側に傾けて、右手を自由に使えるようにするのだと結論づけられています。ほとんどの母親が右利きであるが故、研究者たちはそれが赤ちゃんが左側で抱かれる理由だと考えたのです。

しかし左利きの母親たちと行なった別の研究では、彼女たちが赤ちゃんを右側で抱くかどうかを検証しようとしましたが、結果的に78%の左利きの母親が赤ちゃんを左側で抱いていました。これは前者の仮説を覆す結果です。

その後、これが単なる仕草の問題ではなく、赤ちゃん自身にも影響のある行為だということが明らかになりました。ある研究で、赤ちゃんは左側で抱かれた時の方が早く落ち着くことが示されたのです。これはかなり興味深い結論でした。

赤ちゃん 左側に抱く

なぜ赤ちゃんはこの位置だとより早く落ち着けるのか?

研究は進み、研究者たちはある面白い仮説を導き出します。子宮内にいる時の赤ちゃんは母親の心臓の鼓動に執着しているということが多くの証拠からわかったのです。

命が始まって以来胎児にわかっているのは子宮内のことだけであり、母親の心音は胎児にとってその世界の一部なのです。しかし母親の体外へと産み出されると、次はまた別の世界へ順応しなければなりません。赤ちゃんにとって外の世界の刺激全てが驚くべきものであり、同時に不愉快なものでもあります。彼らにとって母親の子宮ほど静かで安全な場所はないのです。

外の世界の何らかの側面が赤ちゃんたちに子宮を思い出させる可能性はありますが、母親の心音に勝るものはないでしょう。母親が我が子を左側で抱くと、赤ちゃんは再びあの心音を聞くことができます。これは赤ちゃんにとって安心感を得られるような親しみのある音なのです。これが、赤ちゃんがこの位置で抱かれた方が落ち着きやすい理由です。

赤ちゃん 左側に抱く

これらの研究についての興味深い事実

モリスによって発表された研究は、赤ちゃんは親の体の左側で抱かれた時の方が早く落ち着く、という仮説を裏付けるものとなりました。

ある病院の小児病棟で、赤ちゃんたちが各9人の2グループに分けられました。そして一方のグループにだけ録音された人間の心音を聞かせます。

すると無音だったグループの赤ちゃんは最大60%が安らぎを得られなかった一方で、心音を聞かせたグループでは落ち着けなかった赤ちゃんは38%のみでした。さらにこちらのグループでは体重の増加も見られました。同じような実験で、心音を聞かせた赤ちゃんは聞かせない赤ちゃんよりも早く眠りにつくことも明らかになっています。

私たちの気持ちの出どころを脳ではなく心臓の位置だと捉えてしまう傾向は、こういった原始的な感情から来ていると考える専門家もいます。

また、心拍と似たリズムの音楽も大人の心を安らげてくれることがあります。感情の中には、生まれた時からずっと変わらず残り続けるものがあるのです。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Maldonado, M., Lecannelier, F., & Lartigue, T. (2008). Aspectos evolutivos de la relación madre-bebé. Perinatología y reproducción humana, 22(1), 15-25.


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。