なぜ世の中にはひとりごとを言う人々がいるの?

人はよく、正気を保つためにひとりごとを言います。この行為は狂気の現れというわけではなく、むしろ健全な戦略です。自分自身に向けた発話は、自らのニーズを掘り下げ、それを満たすために役立ってくれます。
なぜ世の中にはひとりごとを言う人々がいるの?

最後の更新: 24 12月, 2020

世の中にはなぜ、ひとりごとを言う人々がいるのでしょう?こういった人の精神状態は異常なのでしょうか?ご存知の通り、聞き手もいないのにしゃべっている誰かを見ると私たちはよくそれを面白がってしまいます。しかし、ひとりごとは時に、実践する価値のある健康的な習慣になり得るのです。

アインシュタインやニュートンは、自分自身との間で深くて複雑な対話を行なっていたと言われています。また、コナン・ドイルもかの有名キャラクター、シャーロック・ホームズを生み出した際、ひとりごとを言うという設定をためらうことなくこの探偵に与えました。ドイルは、風変わりな癖があることだけでなく、独自の推論の仕方を持っていることも熟練の頭脳の現れである、と示そうとしたのです。

したがって、大抵の人があまりにも騒々しい世界の中で暮らしており、休息の際には静寂を選び取ることが多いとは言え、折に触れて自分自身との豊かな会話を楽しむことも良いアイディアだと言えるでしょう。

なぜなら、そうすることで好ましい話し相手を持ち続けられるだけでなく、注目しなければならない多くの物事を自分自身で考慮できるようになるからです。さらに、ひとりごとは情緒面の健康にも好影響を与えてくれます。

“今度また私の注意を引くために自分自身を傷つけようとするのなら、ちょっとした優しい会話が素晴らしい結果を生むはずだということを思い出してみて”

-カサンドラ・クレア-

なぜ世の中にはひとりごとを言う人々がいるの?

なぜ一部の人々はひとりごとを言うのか?メリットと興味深い点

年齢が上の方の人々がひとりごとを言うのだ、という意見や、絶望からの慰めを求める孤独な人々にありがちだ、などという意見が聞かれますが、これは真実ではありません。特定のグループの人々についてのこういった迷信のことは忘れ去りましょう。あなたは、ご自身がなぜひとりごとを言うのか疑問に思ったことはありますか?実はその理由はシンプルで、これが人間にとって正常なことだからなのです。

おそらくあなたも、自分に対して「どうしてお前はそれほどぼんやりしているのだ?お前はまたカギをなくしたぞ。今日はツイてない。もう成り行きに任せよう」などと口に出して言っている自分自身に驚いたことがあるかもしれません。

こういった突然の言語化は非常に多く起きることですし、自分自身に向けられた発話(例えば、ひとりごとが始まり、あるテーマに深く入り込んでいく時など)もまた同様です。

自己中心語:子どもたちは常にひとりごとを言っている

その尽きることのない好奇心と実験や発見への、そして今この瞬間を楽しむことへの意欲に加えて、子どもたちからは学ぶべきことがたくさんあります。その一つが、彼らの自己中心語です。少なくともレフ・ヴィゴツキーがそうするよう推奨しています。彼は、子どもがまだ自身の言葉を内在化できていない幼児期段階のことを熟知していたのです。

子どもたちはよく、一人でしゃべりながら自分自身の世界に浸っています。この行為は、オモチャに対してしか行われないわけではありません。実は、自身に向けた発話が後に内在化されていくことが一般的なのです。

人がひとりごとを言うのは、頭脳を最大限に活用するため

あなたには、十字路のど真ん中で迷っている自分に気づいた経験があるかもしれません。何か問題があって、しかしその解決策が見つからないのです。そして心の中で対話を開始します。しかしそれが役に立たず、声に出して自分自身へ話しかけ始めるのです。

  • この行為は健全な特質であるだけでなく、知性的でもあります。少なくとも、ウィスコンシン大学マディソン校で行われた研究によりそう示されているのです。心の声が発声を伴うひとりごとへと移ると、脳のギアが切り替わります。
  • この研究の実施者たちは、自分自身との意思疎通ができている時、人は知覚や記憶、そして問題解決能力を改善できるのだ、と主張しています。
  • 何と言っても人間にはコミュニケーション能力というものがあり、それが常に地球上のその他の生物に対する大きなアドバンテージとなってきました。その能力を自分自身を相手にした時にも活用することが非常に効果的なのです。
  • 神経学者アレクサンドル・ルリヤ(1980年)は、言語は単なる社会的機能以上の役割を果たしているのだ、と指摘しました。言語が直接的な認知処理にも関わっていると彼は考えています。

自分で自分に最高の叱咤激励を与えることができる

なぜ外部から応援してもらうのを待つのでしょう?あることを行うにあたり、他人から後押ししてもらうことが本当に必要なのでしょうか?自分自身でそれができれば、外部の力は必要ありません。実は、頭脳を上手く使えば自分で自分のチアリーダーになることが可能なのです。したがって、なぜ一部の人々はひとりごとを言うのかという疑問への答えは、「脳が自分自身の中から励みになるものを見つけたいから」なのかもしれません。そのために、脳は以下のような言葉を求めているのです。

「私はあなたを誇りに思うよ。自分の進歩に気づいている?」「あの過ちについては心配するな。今のお前にはもう、すべきでないことがわかっているのだから、価値ある教訓を得てもう一度やり直そう。今こそ前に進むべき時なんだ。お前なら正しい道を歩めるはずだ」

この人物が自分へ投げかけた言葉は好ましく、健全だと言えます。なぜなら、自らの外部スピーカーをオンにすることが、個人的成長に素晴らしい影響をもたらしてくれるからです。

さらに、ひとりごとにはもう一つ注目に値する利点があります。それは、目標や本当に重要なものに集中しやすくしてくれるという点です。

ひとりごとを言う人

人は、自らの感情とつながるためにひとりごとを言う

声に出して言葉を発することは、自己制御において大きな力を発揮します。その効果は、認知プロセスを高めて問題解決を容易にしてくれるだけではありません。実はさらに、物事に対する意識を高めることにもつながりますし、自分自身の感情を検知して明確にし、マネジメントすることでより深く自らの心と結びつくことにもつながるのです。

そのため、自分が何を感じているのか、なぜそう感じているのか、そしてその感情を前にして自分には何ができるのかについて自分自身に問いかけることで、大きなカタルシス効果を得られる可能性があります。

最後に、ひとりごとが作り出してくれる心理的距離を活用することは、どんな時でも健康的だと言えるでしょう。生活に調和やバランス、そしてウェルビーイングを取り入れる必要がある時には、ぜひこのテクニックを使ってみてください。

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