『猫いじめに断固NO!』ネット上の虐待犯を追う

2020年5月23日
この記事では、実際の事件に基づいたある不穏なストーリーについてお話しします(ネタバレあり)。このドキュメンタリーシリーズは、精神が錯乱したある猫殺し犯についての話です。インターネット上で彼の動向を観察して調査していた人々がいたのです。

『猫いじめに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』というのは、このドキュメンタリーシリーズにまさにふさわしいタイトルです。過去に、猫を虐待した非常に不快な動画が、ネットで騒がれたことがありました。そこで、このような卑劣な行動の裏に誰がいるのかを探るため、ある人々が協力して自発的に調査を開始したのです。実際、警察よりも多くの情報を入手したのではないでしょうか。

これは実話です。カナダ人殺人犯のルカ・マグノッタを追い、ネットユーザーのグループがどのようにその活動を展開していったかが描かれます。

「人間性を本当に試すもの、その基盤を明らかにするテストというのは、私たちの慈悲を受けるべき存在に対する態度に現れます。つまり、動物に対してです。この点で、人類はもっとも基本的な部分で過ちを犯しています。あまりに基本であるために、全ての問題がそこから派生しているような過ちです。」

-ミラン・クンデラ-

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ネット殺人犯―ルカ・マグノッタとは何者か

マグノッタ、本名エリック・カーク・ニューマンは、トロントでティーンエージャーの二人の間にできた子供でした。その後両親は離婚しますが、マグノッタの幼少時代の話には異なるバージョンが色々存在し、はっきりとはしていません。

ルカの母親アナ・ヨアキンは、ルカの父親を「尊大なナチ」であり、暴力的な夫だと表現しています。息子の裁判で証人として証言した父親は、自らが統合失調症であると証言し、ルカの母親に家庭暴力の責任があると言っています。

不健康な家庭といじめ

ルカの母親は再婚しましたが、再婚相手についても暴力的だったと証言しています。ホームスクーリングで育ったルカは、一旦学校へ行き始めると嫌がらせを受けるようになります。結局、彼は高校を終える前に学校をやめてしまいます。更に、精神病院やグループホームに入所することまでありました。

10代の頃に病院にかかった際には、幻聴・幻覚の症状を訴えていました。そのため医師たちは妄想型統合失調症であるという診断を下しています。

彼の前科の一つが、2004年に有罪となった詐欺でした。友人のクレジットカードを盗んで、1万7千ドルを使ったのです。俳優兼モデル、ストリッパー、ボディーガード、ポルノ男優として仕事をしたこともありますが、成功はしませんでした。

『猫いじめに断固NO!』

このドキュメンタリー・シリーズで驚きなのは、実際のスリラー作品のように話が展開することです。予想だにもしないひねりがあったり、インターネットのヒーローたちの機転には圧巻させられます。また、ある殺人者の正体に、あなたも開いた口が塞がらなくなるはずです。

一人の子供と二匹の猫

全てはインターネットマニアでラスベガスのカジノデータアナリストであるディアナ・トンプソンさんから始まりました。2010年に、「一人の少年、二匹の子猫」と題されたビデオを発見します。その動画には、フードをかぶった若い男が二匹の子猫を袋に入れて密封して殺す様子が映されていました。

その動画を見てショックを受け、ネット上で抗議活動を開始し、残酷な猫殺し犯を見つけるためのグループを作り上げました。このフェイスブック上のグループのおかげで、ロスアンゼルスの男性で同じくこの動画に憤慨していたジョン・グリーンさんと知り合います。

猫嫌い

この若い男は、ビデオを一つ公開するにとどまりませんでした。二つ目のビデオでは、無防備な猫をヘビに食べさせるところが映されていました。その後、自らが生まれたばかりの子猫を溺死させるビデオが公開されました。ディアナさんとジョンさんは、彼が次の犯行に移る前に逮捕しなければならないと確信していました。次は人間が被害者になるかもしれないと思ったのです。

グーグルマップや写真に含まれていたGPSデータ等を利用して、彼らはついに名前と場所を突き止めます。その男は、カナダのトロントに住むあのルカ・マグノッタでした。しかし、これは時間との戦いでした。彼が次の犯行に及ぶ準備が出来ていたにもかかわらず、警察は多くのネットユーザーから届いた苦情にあまり注意を払わなかったのです。

ネット殺人犯―狂人とアイスピック

2012年、ルカ・マグノッタは、中国人留学生で工学を勉強していた林俊(リン・ジュン)さんをモントリオールのアパートに連れ込みました。そこで彼に性的暴行を働いた後、彼を何度も刺して殺害し、遺体をバラバラにしたのです。さらに、カメラの前で遺体の一部を食べることまでしました。そしてそのビデオをインターネットに公開したのです。

その後、警察が林俊さんの遺体や犯行の証拠を発見します。しかしそれだけではなく、マグノッタは切り取った被害者の手と足を、モントリオールの保守政党の事務所に郵送することまでしていました。

どうやって彼を最終的に突き止めることが出来たのかが、このシリーズ最大のひねりなので、ここではこれ以上言及しないことにします。インターネットユーザーたちの多大な勇気と知恵がキーとなった、とだけ言っておきましょう。

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ルカ・マグノッタは今どこに?

マグノッタは自分は被害者であると主張し、マニーと言う男が全ての裏にいると証言しました。しかし調査の結果この男の存在は確認されず、マグノッタが全ての責任を負っていると結論付けられました。2014年の12月、彼は第一級殺人が確定し、裁判所は彼に終身刑を言い渡しました。

現在マグノッタは、ケベック州のポール・カルティエ刑務所に服役しています。2017年に、別の殺人者で同じ刑務所に服役している受刑者と結婚しています。

ネットフリックスのシリーズでは、警察やアマチュアのネット探偵たちが、マグノッタが連続殺人犯や『氷の微笑』、『アメリカン・サイコ』といった映画のファンだったと考えています。その全ての根底にあるのは、注目と名声を求めるマグノッタの歪んだ欲求だったのです。