脳科学的な愛の仕組み

· 2017年10月21日

私たちは、皆、愛について独自の考えを持っています。誰でも一回は恋に落ちた時の感情の変化を体験したことがあると思います。でも、体の変化について考えたことはありますか? 科学は、この感情の変化をどのように捉えるのでしょうか? 近年、科学者たちの間では、恋に落ちる要因や脳内で起こる様々な過程についての研究が多く行われています。

愛は、私たちの生活に大きな影響を与えます。恋に落ちると、行動パターンや気分、思考が変わったりします。恋が原因で仕事がはかどらない、なんてこともあります。進化論的な観点から見ると、私たちの人生の最終的なゴールは子孫を残すことと生後数年間、自分の子供の成長を見守ることです。私たちが恋をする理由はこのゴールのためだと、科学者たちは言います。

脳科学における愛

あなたが恋に落ちる時、数多くの神経伝達物質が関わっています。脳化学が変化して、典型的な恋愛の症状を引き起こします。このプロセスに最も深く関わっている神経伝達物質は、ドーパミン、ノルアドレナリンそしてセロトニンです。

恋をすると、ドーパミンとノルアドレナリンのレベルは上がり、反対にセロトニンのレベルは下がります。ドーパミンとノルアドレナリンは、脳のドーパミン経路と関わり、あなたの全ての意識を恋に落ちた人に集中させます。そして、あなたのたった一つの目的は、好きな人の気を惹くこと、その人にも同じように自分を好きになってもらうことになります。

神経伝達物質

この「ケミカル爆弾」は、コカインが体に与える影響と非常によく似ています。ですから、恋に落ちた初めの段階は中毒症状とも言えるでしょう。ドーパミンは、相手のことを全て細かく記憶しようと働き、ノルアドレナリンは自身の中に起こる新しい刺激を記憶します。セロトニンが減ると、強迫観念を持つようになります。

脳のどの部分が関わっているの?

脳には、恋に落ちることで最も直接関係する二つの領域があります。第一は、腹側被蓋領域といって、ドーパミンを作り、幸福状態を高める場所です。これは、あなたが目標を達成した時に感じる幸福感と同じです。尾状核は情熱に関連し、脳の最も原始的な領域の一つです。

科学者たちは脳画像診断を通して、恋をしている人たちのこれらの領域がどのように活動しているのかを調べることに成功しました。これらの領域は、ドーパミン経路の一部を作り、何かを達成させるための努力に集中させます。この領域はチョコレートを食べる時にも同じように活性化することがわかりました。

愛の中毒性の特徴は、パートナーがこれらの行動の対象となり、強迫観念を引き起こすという点です。これは、感情的、肉体的な依存関係に発展し、個性や嗜好を変えることもあります。その人なしでは生きられないという感覚は、これらの脳領域におけるドーパミンの急増によるものです。

ハートの落ち葉と風に吹かれる木

欲望、愛、そして嫉妬

誰かを手に入れたいという欲望は、愛することと同じではありません。誰かを愛している時(特に最初の数年間)は、手に入れたいという欲望がもちろんありますが、それは本当の愛とは違います。欲望がある時は、ドーパミンとノルアドレナリンが刺激されテストステロンが大量に作られます。

その逆は? 欲望が愛を生むことはあるのでしょうか? 可能だと言えますが、それは確かではありません。テストステロンが増えると、愛に関わる神経伝達物質のレベルが高まり、そこから愛が生まれる可能性があります。しかし、欲望だけで動機づけられた関係を維持していると、その人が他の人と関係を持っていようが気にしなくなります。これは、その人を本当に愛していたら耐えられないことでしょう。

恋をすると、その相手に夢中になり、その人がしている全てのことを知っておきたいと思うでしょう。相手が自分のことをしっかり見てくれていないと感じると、不安になり嫉妬するようになります。嫉妬の仕方は男女で異なり、それは進化論に基づいています。女性は、子供を一緒に育てなければという恐れのために嫉妬を感じ、男性は、自分の子供以外も子供を育てることになるという恐れのために嫉妬を感じます。

愛が終わる時

恋人との別れは私たちに大きなダメージを与えますが、脳や神経伝達物質もこの段階に関わっています。関係が終わりそうだと勘づくと、さらに多くのドーパミンが作られます。これは、自分が大切だと思うもののために戦い、それを守ろうとする体からのサインです。それでも、関係が維持できなかった場合、扁桃体が活性化されて怒りの感情が生まれます。

怒り、別れの最初の段階は、愛と憎しみの間にはっきりとした線を引きます。脳は、怒りのようなネガティブなエネルギーをずっと溜めておくことを拒むので、第一段階が終わると第二段階に移ります。それは、諦めと悲しみです。この段階では、相手がもう自分を必要としていないという事実を受け入れることができます。

ドーパミン濃度が急激に下がり、悲しみや嫌悪感を引き起こします。これは、あなたがまたゼロから始める準備をするカタルシス脳メカニズムの一種です。悲しみは内的要因と外的要因に左右されて長引くこともありますが、脳化学は一定の時間がたてば、回復し、新しい恋愛相手を見つける準備が整ってきます。

ぎこちないカップル

愛には賞味期限があるの?

この質問には、はいといいえ、どちらとも答えることができます。科学は、可能な限りこの質問に答えられるように研究を重ねていますが未だにはっきりとした答えは出ていません。脳化学では、私たちの多くはパートナーとの一対一の関係を求めますが、恋愛感情が続くのは4年くらいだという結果も出ています。

もちろん、恋人と別れてまた新しい恋人と恋愛を始めるのは普通のことです。進化的そして適応的な観点からの恋愛の目的は、より多くの遺伝的多様性を作り、より多くの子孫を持ってDNAを広げることなのですから。

しかし、現代社会では人生のパートナーは一人だけと希望する人が多いようです。生物学的事実を見ると、なかなか難しいことですが、不可能ではありません。願望、愛、そして信頼を永遠にシェアして生きているカップルも多くいます。幸いなことに、私たちのしている恋愛は、ただの神経伝達物質レベルの変化というわけではないのです。