脳由来神経栄養因子:健康的な脳組織のためのプロテイン

2019年9月6日

脳由来神経栄養因子(BDNF)は、脳細胞の生成を刺激して、すでにある組織を強化する重要なタンパク質です。もっと明確に言うと、BDNFが分泌されることによって、新しい組織や脳の回路を作り出す遺伝子を活性化させるということです。BDNF値が高いことで、より早く学び、より素早く記憶を引き出し、老化を遅くし、素早く脳の回路がつながります。この記事ではこれらのメリットを享受するために、BDNFを増加させる方法を見ていきます。

つい最近まで、人間は特定の数の脳細胞をもって生まれ、新しいものを作り出すことは出来ない、と誤って信じられていました。しかし、1980年に、新しい脳細胞の成長を活性化させるタンパク質を発見・抽出することに成功します。研究者は、脳由来神経栄養因子またはBDNFと呼ぶことにしました。しかし、BDNFは新しい脳細胞の成長を促すだけにはとどまりません。

BDNFは、そのメカニズムを通じて、すでにある脳細胞をより健康に保ちます。脳の可塑性を高め、炎症を抑えて、天然の抗うつ薬として機能し、脳におけるストレスのネガティブな効果を抑制し、 神経変性疾患から脳を守ります。寿命までコントロールが可能であるという証拠も出てきています。

BDNF値が低い理由

低いBDNF値は、たくさんの脳関連の病気と関係しています。不安障害、うつ、強迫性障害、拒食症、燃え尽き症候群、統合失調症、痴呆、ハンチントン病、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、自殺未遂傾向などです。BDNF値が低いことでこのような病気になるのか、病気の副作用で値が低くなるのかは分かっていません。

しかし、不健康な生活様式はBDNF値にネガティブな影響を起こすことがわかっています。砂糖と脂肪が豊富な加工食品の多い食生活は、BDNF値を下げるのです。

BDNF2

ストレスもBDNFと密接に関係してます。ストレスはBDNF値を下げることで体に影響を及ぼします。研究によれば、ストレスホルモンのコルチゾールがBDNFの生産をとめてしまい、結果脳細胞の形成も減少します。

どんな刺激によってストレスが引き起こされるかに関わらず、どんなストレスでもBDNFの分泌を減少させます。慢性的な日々のストレス、時たまの急なストレス、睡眠不足のストレスや疲労もBDNF値の減少につながります。

さらに、老化の際の他の変化に加え、BDNF値も年齢と共に下がります。

自然にBDNFを増加させる方法

BDNFを増加させるには、自然な方法でなくてはいけません。薬や注射の開発も進んでいますが、 このように体内に取り込まれたBDNFは、血液脳関門を突破することができません。

BDNFを増加させるための最も良い方法は、健康な食生活と運動を取り入れた生活様式の改善です。BDNF値を高める助けとなる食べ物やサプリも存在します。しかし、一番良いのが運動です。

BDNF値を高める運動

運動でBDNF値を上げると、脳が酸化ストレス、ケガ、病気に強くなります。BDNFと運動の関係は長らく知られていましたが、運動することで、より多くのBDNFを作るように脳へ信号を送る遺伝子が活性化されることが最近わかったのです。

さらに、睡眠不足の場合、睡眠不足がBDNF値に及ぼすネガティブな影響の一部を、運動が相殺してくれることもわかっています。

様々なタイプの運動がBDNFを高めてくれますが、その中でも特におすすめなものがあります。ハーバード医学大学の精神分析学者であり、脳の健康と運動の関係の研究を牽引する人物のひとりであるジョン・J. レイティ教授は、10分の運動でも脳にポジティブな影響がみられると述べています。レイティ教授によれば、運動のルーティーンを変えたり、スプリントしたりすることで、認知的なメリットを最大限にできるそうです。

BDNF値を高める別の運動で言えば、ヨガ、ダンス、持久力トレーニング、ハイインパクトランニングなども効果的です。

BDNFを高める活動

運動に加えて、ほかにもBDNF値を高める活動が存在します。見てみましょう。

  • 外で太陽の光を浴びる。太陽にさらされることで、ビタミンDサプリの摂取では見られないBDNFの増加がある。また、季節性情動障害に苦しむ人のBDNF値は低い可能性がある。
  • 音楽を聞く。音楽を聞くこともBDNFの生産を高める。
  • 良い時間を他人と過ごす。社交的な関係で、BDNF値が高まり脳の健康が改善。

音楽
食生活を改善してBDNF増加

地中海式の食事は、BDNF値を高めることがわかりました。食事法や食べ方を比べてみたとき、地中海式がいちばんお勧めです。最も健康的な食べ方だと考えられています。

BDNFを最大限引き出すには、健康的な食事であっても食べすぎないことが重要です。カロリーを制限することでBDNF値が高まることも証明されています。資質が高く炭水化物が少ないケトン食療法もBDNF値を高めるのに効果的です。

いずれにしても、砂糖と飽和脂肪酸の多い食生活は、BDNFの値を下げてしまいます。

いくつかの特定の食材もBDNFを高めるとされています。これらにはひとつ共通していることがあります。フラボノイドが豊富であることです。フラボノイドは植物に自然に含まれており、認知的・身体的メリットがあります。フラボノイドは、強力な抗酸化物質で反炎症作用があります。BDNFの分泌も促してくれます。

フラボノイドが豊富に含まれているため、クランベリー、チョコレート、緑茶、オリーブオイル、スパイス、コショウ、ターメリックなどもBDNF値を高めます。プレバイオティクス食品も、同じ効果があります。興味深いプレバイオティクス食品と言えば、アスパラガス、タケノコ、バナナ、大麦、チョコレート、セイヨウネギ、ニンニク、ヒカマ、レンズマメ、カラシナ、たまねぎ、トマトなどが挙げられます。