パニック障害の特徴と治療法について

パニック障害とはどんな病気なのでしょう?その原因は?そして効果が期待される治療法にはどのようなものがあるのでしょうか?
パニック障害の特徴と治療法について

最後の更新: 25 1月, 2021

DSM-5によれば、西欧諸国の人口のうち2〜3%の人がパニック障害を患ったことがある、もしくは今後経験することになるそうです。有病率は男性に比べて女性の方が2倍高く、患者の平均年齢は20〜24歳とされています。しかし、この障害は正確にはどんなものなのでしょうか?何が原因で発症するのでしょう?治療法は存在するのでしょうか?

まず、不安障害という病気にスポットライトを当てましょう。第一に、この病気は日常生活に支障をきたします。なぜなら、パニック発作を経験した人物は次の発作を恐れている場合が多いからです。

こういった障害は、抑うつ障害や薬物乱用に付随するものと並んで、かなり広く認められます。したがって、これらを白日の下に晒すことで、その重大さや影響についての意識を高めることができるはずです。

パニック障害 特徴 治療法

パニック障害の定義と症状

パニック障害は、不安障害の一種です。DSM-5(『精神障害の診断と統計マニュアル』)によれば、その主な特徴は突然かつ予想のつかないパニック発作が繰り返し起こること、とされています。つまり、発作が起きる直前まで患者は落ち着いていて、その瞬間を楽しく過ごせている場合が多いのです。また、パニック障害を抱えている人々は、次の発作が起こることへの恐怖心を抱えています。なぜなら、発作によって生活の重要な部分に支障が出てしまうためです。

しかし、パニック発作とは正確にはどんなものなのでしょう?実存的危機という言葉でも表現されることがありますが、この発作は、苦悩や不快感、そして強烈な恐怖心などの衝撃が突如襲ってくる、一時的なエピソード(症状の出現)です。発作の持続時間は個人差がありますが、概して約15分ほど続きます。また、発作が始まってから数分後に症状の強さがピークに達します。

パニック発作の最中に生じる症状は様々ですが、主なものは発汗、過呼吸、頻脈、震え、めまい、嘔吐、吐き気などです。これに加えて、気が狂うのではないか、自分を制御できなくなるのではないか、心臓発作が起きるのではないか、死ぬのではないか、といった恐怖心をはじめとする心理症状も起こり得ます。また、現実感消失(今起こっていることは現実ではないという感覚)や離人症(自分が自分の心や体から離れていくような感覚)などの解離書状が起こる場合もあります。

パニック障害の原因

パニック障害の原因がいつも明白であるとは限りません。例えば、最初のパニック発作が状況的要因のせいで生じる可能性があります。また、その時感じた身体感覚(不安とは関係ないもの)へのネガティブな印象や嫌悪感により、発作への恐怖が再度引き起こされることもあるのです。

そして特定の身体感覚を不安障害に関連したものとして解釈してしまうと、それらが恐怖や不安を強めたり新しく生み出し、またこれがパニック発作に繋がる恐れがあります。

パニック障害の病因には、遺伝が関係していることも考えられます。つまり、不安障害を患う親類がいる人の場合、その人自身もこれを発症してしまう可能性が高いのです。もう一つ、過去に不安障害特有の行動パターンを経験し、目の当たりにしたことがあることもパニック障害発症のきっかけとなり得ます。

パニック障害の治療:心理療法

Marino Perezによる『Guía de Tratamientos Psicológicos Eficaces(効果的な心理療法の手引き、の意)』(2010年)やM. A. Vallejoによる『Manual de Tearpia de Conducta(行動療法マニュアル、の意)』(2016年)で、パニック障害に効果的な心理療法がいくつか紹介されています。

多要素から成る認知行動プログラム

パニック障害の治療に極めて効果的なプログラムが二つあります。

  • Barlowのパニック・コントロール療法(2007年)
  • ClarkおよびSalkovskisの認知療法(1996年)

Barlowの療法では、内受容感覚への実際の曝露がその中心要素です。また、心理教育、内部感覚エクスポージャー、認知再構成、呼吸やリラクゼーションのトレーニングも構成要素に含まれます。

一方でClarkとSalkovskisの認知療法は、症状に対する誤った解釈を特定し、検証し、より現実的な解釈へと修正することを目的としています。このプログラムに含まれるのは、心理教育、認知再構成、患者が恐れている感覚を誘発することによる行動実験、安全確保行動を止めるための推奨事項などです。

呼吸トレーニング

これはChalkley(1983年)による、パニック発作が起きた時のための呼吸をゆっくりさせるトレーニングです。ゆっくりとした横隔膜呼吸の習得が必ず含まれます。しかし、このトレーニング単体で治療効果が得られるかどうかは現時点では疑問視されています(治療介入の一環としてこのようなトレーニングを取り入れるのが理想的です)。

応用リラクゼーション

主にパニック障害の治療に用いられることの多いÖst(1988年)による応用リラクゼーションは、漸進的筋弛緩法を教えて、患者が将来発作を経験した際に自分自身でこれを活用できるようにする、というものです。以下のような感覚に徐々に立ち向かえるようにしていきます:

  • まず、パニックの引き金となるような身体感覚。
  • 回避しがちな活動やシチュエーション。

現実エクスポージャー

最も効果的な治療法の一つが、WilliamsとFalbo(1996年)によるエクスポージャー療法(曝露療法)です。これは患者が恐れ、避けている状況への体系的な曝露で構成されます。

迷走神経刺激

SartoryとOlajide(1988年)によるパニック障害治療のための迷走神経刺激は、頚動脈のマッサージ法を習得させて患者が心拍数をコントロールできるようにすることを目指します。具体的には、息を吐き出しながら片方の目に圧力を加える、というものです。

感覚重視型集中療法(SFIT)

このパニック障害治療法はMorissette、SpiegelおよびHeinrichs(2005年)によるもので、身体感覚への恐怖心を完全に排除することを目的とした介入を8日間連続で行います。

この目的を達成するために、患者は徐々にではなく一番最初から最も恐れている感覚に直面させられます。また、エクスポージャーを強めたり、エクササイズによって身体感覚を誘発する、といった工程も含まれます。

アクセプタンス&コミットメントセラピー

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の一種である、LevittとKarekla(2005年)によるパニック障害のための認知行動療法というものが広く受け入れられるようになっています。

これは心理教育や曝露療法(恐れている状況への曝露および内受容エクスポージャー)、認知再構成を含むスタンダードな認知行動手順で構成される療法です。また、マインドフルネスや不安に直面した際に役立つ活動についてのディスカッションなど、その他の認知療法的要素も追加されます。

パニック障害の特徴と治療法について

パニック障害のための薬物療法

Marino Pérez(2010年)とM. Vallejo(2006年)が、パニック障害治療に用いられている正規の薬物療法が、抗うつ薬や抗不安薬を用いたものであることを説明しています。抗うつ薬としては選択式セロトニン再取り込み阻害薬が、そして抗不安薬としてはベンゾジアゼピンや精神安定剤が処方されるのが一般的です。

これらの薬剤は不安感を軽減するのに役立ちます。しかし、治療は心理療法と薬物療法を組み合わせて行うのがベストです。なぜなら、患者の心の奥底での変化は適切な精神的サポート(つまり、心理療法)無しには実現されないからです。また、薬物療法によって患者の気分は落ち着き、回復への土台を作ることができます。しかしながら、彼らの思い込みを修正したり、特定の状況や感覚を避けるのをやめさせるためには心理療法が欠かせません。


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  • American Psychiatric Association -APA- (2014). DSM-5. Manual diagnóstico y estadístico de los trastornos mentales. Madrid. Panamericana.
  • Caballo (2002). Manual para el tratamiento cognitivo-conductual de los trastornos psicológicos. Vol. 1 y 2. Madrid. Siglo XXI (Capítulos 1-8, 16-18).
  • Pérez, M., Fernández, J.R., Fernández, C. y Amigo, I. (2010). Guía de tratamientos psicológicos eficaces I y II:. Madrid: Pirámide.

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