「パキータ・サラス」:エンターテイメントと懐かしさ

2019年6月27日
世界、現実や過去を笑うことができる、純粋なエンターテイメントのスペースがまだ残されているということを、パキータ・サラスは思い出させてくれます。このドラマは非常に愉快で、人々に愛されているのです。

ドラマは今や、テレビで見るものがない時に見る質の低い番組ではなくなっています。その反対で、現在皆に楽しまれています。中には映画を見劣りさせるものまであります。視聴者は、邪魔な宣伝や特定の時間まで番組を待つ必要がなくなりました。そんな中、過去の懐かしさを思い起こさせ私達を笑顔にするのが、パキータ・サラスです

現在ドラマの質はとても高くなっています。映画より長続きするので登場人物が成長することが可能で、視聴者はその人をより良く知ることができます。ところが、これはコメディを後退させました。ここ数年人気があるドラマを考えると、様々なジャンルがあることに気づくでしょう。世界に配信されるものにはさらなる笑いが必要とされています。

コメディがなくなっているということではありません。テレビ業界が大きく発展したため、コメディの世界は再開発されました。現在、視聴者は小さな間違いにも気づき、それを許しません。それは製作者の大きなプレッシャーになっています。幅広い選択肢を持つ視聴者は、より多くを要求するようになっています。新たなプラットフォームではオリジナルの内容が思いつきやすいスぺースが作られました。

ロス・ハビス、ブライス・エフェ、アンナ・キャスティロによって作られたパキータ・サラスは初めインスタグラムの動画で、それがFlooxerで配信され、後にネットフリックスのシリーズになりました。

ネットフリックスと提携してから予算は大きく増えたので、質が高まり、当然人気も上がっていきました。パキータ・サラスは成功したドラマだと言えるでしょう。シーズン3の制作も決定しています。なぜ、こんなに成功したのでしょうか?

 

パキータ・サラス:必要な逃避

1話約20~25分で、全10話で1シリーズになっています。パキータ・サラスは、面白くすぐに飲み込め、短時間で楽しめます。視聴者に良い時間を過ごしてもらうことが目的なのです。

パキータ・サラスは、全く複雑ではありません。このドラマは一時間画面を見続ける必要がなく、また理解するのに精神的労力もいりません。視聴者にスペースを与え、リラックスし、楽しめるコメディーです。ここで言っておくべきことは、1990~2000年代のスペインのテレビ文化の知識があると、より理解しやすいということです。

当時、¡Ala…Dina!、A las once en casa、Ana y Los Sieteなどが人気でした。これらのドラマを、私達は少し距離を置き、懐かしさや恥を感じながら見ることができます。当時スクリーンで多くみられた面々は、ポップカルチャーから姿を消したか、他の作品で無関係な役を演じました。成功したものが次に失敗に終わることもあります。時代は変化し、人のテイストも変わります

これを、ドラマの中でパキータ・サラスが体験します。パキータ・サラスはマネージャーとして輝かしい数年を過ごしたことがありますが、残念なことに今は時代遅れです。古風な服装からフライドポークリブが大好きなところまで、彼女のすべてが独特です。基本的に21世紀に適応していないようです。栄光の日々に思いをはせ、すべての変化に満足していないのです。

世界、現実や過去を笑うことができる、純粋なエンターテイメントのスペースがまだ残されているということを、パキータ・サラスは思い出させてくれます。このドラマは非常に愉快で、人々に愛されているのです。

「パキータ・サラス」:エンターテイメントと懐かしさ

 

敗者の世界

「敗者」という言葉はとても軽蔑的です。人を敗者と呼ぶことは、無礼で失礼です。しかしパキータ・サラスではこの言葉がよく出てきます。ドラマの中で、非常に成功したスター達が頭の中で過去の栄光の日々を生きているからです。

1990~2000年代、パキータは名声をなくしたリンダ・サン・ホセなどの重要なテレビ俳優を支えました。しかし今は古いタレントエージェントになってしまったため、現在のまたは人気のあるスター達は彼女に支えてほしがりません。そんな状況でも、彼女はビジネスを継続するために全力を尽くします。

このドラマの素晴らしい点は、有名な面々(前にも言ったリディア・サン・ホセやアナ・オブレゴンなど)が登場することです。多くの有名な俳優がパキータ・サラスに出演することを決めたのは、ロス・ハビスのおかげです

パキータは、スペインのゲームショー Pasapalabraに出演した彼女のタレントの数で成功を測ります。それは、テレビ番組が小さな映画やテレビの役より給料が多いことが多いためです。このように構成された市場では目立ち、一番でいることが必要で、それはパキータの競争力ともなり、失墜の原因にもなりました。パキータ・サラスは新旧のショービジネスの両方をうまく説明しており、この世界が変わったこと、名声は成功や美のように弱く儚いものだと気づかせてくれます。

 

壁を破る

残念なことに、映画の世界は人の体格にあまりに似すぎています。太った人はいつも可笑しく、それは、どこかパキータにも当てはまります。(パキータを演じる)ブライス・エフェは、フェロス賞で、これについて言及しています。スピーチの中で見た目と演技の関係により、どう見えるかにとらわれるのは悪いことだと私達に思い出させてくれたと言っています。

映画やテレビは、身体的見た目よりも演技の質を考えるべきです。現実の世界を描きたいのであれば、届きづらい審美的規範に焦点を当てるのは止めるべきです。パキータは太っていて面白いですが、実は彼女は自分でもそれを分かっていて痩せようとはしないのです。

女性を演じる男性、成功の役をもらえなかったテレビの顔、俳優、女優など…パキータ・サラスは壁を破り、エンタテイメントの世界でえぐさやひどさを隠すことのない独自のドラマを作っても良いということを示しています。

「パキータ・サラス」:エンターテイメントと懐かしさ

何事も初めは誰にとっても簡単ではありませんが、エンターテイメントの世界に入り成功することはやったかいでお金がかかります。オーディションは楽しく遊びのように見えるかもしれませんが、それほど簡単なものではありません。実際、製作者がプロジェクトを認めたり、俳優が役をもらうことは非常に難しいものです。

パキータ・サラスでは、エンターテイメントの世界に存在する壁や競争心、始まりがうまく表現されています。さらに、それを破り独自の道を開こうとします。ブライス・エフェは、パキータ・サラスに出るまで知られていませんでした。ところが私達は男性がパキータに扮していることを忘れるくらい、彼は才能を発揮しています。

実はシーズン3ヘ向けて、役者が募集されています。誰でも挑戦できます。パキータのように、皆、新しく面白い俳優を求めています。

低予算で始まったドラマの小さな冒険が、スペインのスタンダードになりました。パキータ・サラスは単なるコメディではありません。サメに囲まれながら、できる限り泳ごうとする敗者の世界を表現することに成功したのです。