パラソーシャル関係とは一体どんなもの?

14 11月, 2020
パラソーシャル関係とは一体どんなものなのでしょうか?なぜこのような関係性が生まれ、それによって私たちはどんな影響を受けているのでしょう?この記事を読み進めて詳しく見ていきましょう!

パラソーシャル関係が一体どんなものなのかについては、多くの人々が考えを巡らせてきました。しかしこの疑問への回答をお伝えする前に、まずは次の質問に答えてみてください。あなたはこれまでに、メディアがご自身の行動に対してどのような影響を与えているのかについて考えてみたことはありますか?奇妙な質問だと思われるかもしれませんが、これこそがパラソーシャルな人間関係と関わっているのです。基本的には、パラソーシャル関係とは人がソーシャルメディアを通じて「知っている」相手との間に築く興味深い関係性のことを指しています。

これは、私たち全員が向き合わねばならない現実です。ソーシャルメディアには人々の態度や思考、そして行動に影響を与える力(ただし、様々な要因に左右されるため潜在的な力ではあります)があることに疑いの余地はありません。

多くの場合、マスメディアは人々に「自分は個人として重視されているのだ」と信じ込ませようとします。しかしそれは真実ではありません。実は彼らにとって、全ての聴衆は単なる同種の人間たちの集まりに過ぎないのです。例として、スパムメールを思い浮かべてみてください。こういったメールは何百万人もの人に送られますが、それぞれに私たちの名前が挿入されていますよね。

この記事では、パラソーシャル関係とは一体どういったものなのかやなぜこれが生まれるのかについて、この関係に関連する感情について、そしてそれがどう私たちの行動に影響するのかについてお話ししていきます。ぜひ読み進めてみてください!

パラソーシャル関係とは、正確にはどんなもの?

パラソーシャル関係とは、人々が有名人や芸能人、あるいはソーシャルメディア上のインフルエンサーとの間に築く関係性のことです。実際のところ、この関係性は実在する人物であろうと架空のキャラクターであろうと、あらゆるメディアキャラクターとの間に起こり得ます。漫画やアニメのキャラとの間にこの関係を築いている人もいるほどです。

もう少しわかりやすくするために、ここでちょっとした実験をやってみましょう。まずは、憧れの有名人とスーパーマーケットで遭遇する様子を想像してみてください。おそらくあなたはその人物に近づいて行き、サインを求め、一言二言会話しようと試みるでしょう。あなたはきっと、以前から相手と知り合いであるかのように振る舞うはずです。実際には一方的に相手を知っているだけにも関わらず。

このように、パラソーシャル関係とは偽の社会的関係のことを言っているのです。このような関係性は本物ではありません。これは、相手の人物に実生活で会ってみたいという願望から、あるいは相手に対する憧れから生まれます。ご承知の通り、頭脳というのは私たちを騙すのが非常に得意なのです!

パラソーシャル関係においては、実際には相手のことをよく知らないにも関わらず、その関係性が親密であると思い込んでしまう場合があります。しかし実際に見えているのは相手がソーシャルメディアに載せようと思った面だけなのです。さらに、専門家たちはこの関係性が相互的なのものではなく、擬似的な結びつきに過ぎない点についても確証しています。

パラソーシャル関係

この言葉の由来は?

ホートン・ドナルドおよびリチャード・ウォールの両研究者が世界で初めてパラソーシャル関係について発言したのは、1956年のことでした。具体的には、二人はこの概念を「メディア上の人物との非常に密接な関係性が無意識的に創り上げられたもの」と定義しています。

これに加えて彼らは、この種の関係性が一方的なもの(いずれの場合も相互的ではない)であることにも触れています。彼らによれば、そしてカーロが引用した通り(2015年)、パラソーシャル関係とは「メディアに登場する人物との間に相互関係があるという聴衆側の錯覚」を指しているのだそうです。

関連する感情

パラソーシャル関係の特徴的な部分は、個人が当該の有名人に対して非常に強い共鳴を感じる、という点です。その結果、彼らはその人物との関係性を本物であるかのように認識してしまいます。そしてもちろん、相手に対する強い共感を発達させて行きます。また、正反対の事態が起きることもあり、その場合に生まれるのは相手を拒絶したり嫌ったりする感情です。

この種の関係性の特徴として最も顕著なのは、ソーシャルメディアで見ているだけ、あるいはフォローしているだけの人物のことを本当に知っているかのように感じる感覚です。実際には完全なる一方的なものに過ぎないのですから、かなり独特な関係性ですよね。これが、先ほど擬似的な結びつきに触れた理由です。

一方でコミュニケーションの専門家イレアナ・カスキは、パラソーシャル関係とは、憧れの相手がそれについて話しているからという理由だけでその特定のメディアコンテンツに私たちの関心を向けさせるようなコミュニケーション上の現象である、と考えています。このような状況が生まれるのは、自分は単なる聴衆の一人以上の存在である、と私たちが信じ込んでいるためです。このことには実は脳が大きく関連しているのですが、それについてもお話ししていきますのでもう少し辛抱してくださいね。

パラソーシャル関係はどんな人物との間に生まれる?

ご覧いただいた通り、この種の関係性はあらゆる有名人(架空の人物の場合すらあり得ます)との間に育まれます。ここで言う有名人とは、テレビやラジオ、ソーシャルネットワーク、新聞などに登場する人々です。

これに加えて、ミュージシャンや俳優、スポーツ選手、司会者、政治家、テレビ番組のホストなどとの間にもパラソーシャル関係が築かれる可能性があります。そしてもちろん漫画の主人公(これは主に子どもたちに見られます)などの架空のキャラクターもこれに含まれるのです。

パラソーシャルな関係性はどれくらい続く?

パラソーシャル関係は不明瞭なものであるため、この問いに対しては具体的な回答がありません。正直なところ、関係性が続く期間はその有名人の存在が個人にとってどれくらいの期間重大あるいは重要だったかどうかに左右されるのです。また、相手の人物がどれくらいの間メディア上で活躍しているかによっても変わってきます。

パラソーシャル関係とは一体どんなもの?

パラソーシャル関係はなぜ生まれるの?

パラソーシャル関係のようなものが生まれてしまう事実には、ある意味で無意識が関わっています。これについてシンプルな例を一つ用いて説明していきますね。テレビで(あるいはラジオでやYouTubeなどで)有名人たちを見ている様子を想像してください。この時あなたの頭脳は、そのメディアコンテンツがあなたのためだけに作られたものであると無意識に「信じ込んで」しまいます。

言い換えると、数多くの視聴者たちの中で自分の存在など一粒の砂に過ぎない、と自分自身でわかっていながらも、頭脳が私たちを騙し、そのメディアコンテンツがあたかも何らかの形で自分専用になっているのだ、と信じ込ませるということです。このことが、特定の人物や文脈にこれほどまでに感情移入してしまう現象を説明しています。

ソーシャルメディアで活躍する人々の戦略

一方でこれらの人々、つまり私たちがパラソーシャル関係を育んでしまう相手側の人々の方も、この種の感情を強めるメカニズムをよく承知しています。その例として、カメラをまっすぐに見つめ、視聴者(私たち全員)に対して直接訴えかけるようなやり方が挙げられるでしょう。特にユーチューバーやテレビ番組のホストなどがこの技法を多用する傾向があります。

実は、目を直接覗き込まれたらそれを相手の人物が自分に関心を向けていることのサインとして解釈するように私たちの脳がプログラムされていることを、神経科学界も立証しています。

つまり、有名人たちに目を見られながら語りかけられると、私たちは彼らが自分に直接話しかけているかのように感じてしまうということです。その結果、私たちの頭脳は自分が大いに敬愛している人物がある程度は自分のことを知ってくれているのだ、と解釈してしまいます。

まとめると、ここまででお話した要素全てが、そして有名人たちが言葉や非言語のメッセージを通して呼び覚ます共感や関心といった感情が、パラソーシャル関係の出現を容易なものとしているということです。また、対象となる相手がどれくらい信頼できるのか、そしてどれくらい身体的・知能的魅力があるのか、といった点もパラソーシャル関係に大きく関わっています。

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