シェアレンティング:子供をソーシャルメディアに載せるリスク

ソーシャルメディアに投稿するのに適切な時を知ることは、親としての責務の一つです。子供をソーシャルメディアに載せるリスクについて学びましょう。
シェアレンティング:子供をソーシャルメディアに載せるリスク
María Alejandra Castro Arbeláez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Alejandra Castro Arbeláez.

最後の更新: 22 12月, 2022

新しいテクノロジーはコミュニケーションの仕方に新しい変化をもたらします。誰とでもつながることができるので、素晴らしいツールです。距離に関係なく、いつでも身近につながれる方法です。でも、気をつけなければいけません。シェアレンティングと呼ばれる現象は、自分が一番愛する人を危険に晒してしまう可能性があります。

シェアレンティングは、新しいコミュニケーション、そして共有の方法として登場しました。今では画像や投稿を通して、自分の気持ちを表現し、友人との日々の出来事をシェアすることができるようになりました。

ですが、少しの内省と熟考は誰の害にもなりませんから、ソーシャルメディアを使う際には自分の引く境界線というものを意識しましょうあなたは自分の子供の生活をどれだけオンラインにシェアしていますか?そうしているのはなぜですか?誰とシェアしていますか?

「私達は実のところ、孤独と沈黙とプライバシーに飢えた世界に暮らしている。だから、瞑想と真の友情に飢えているのだ。」

―C・S・ルイス―

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シェアレンティングとは

もう予想がついているかもしれませんが、シェアレンティングとは、共有を意味する「シェア」という語と親としての育児を意味する「ペアレンティング」という語を合わせたものです。通常、子供に起きた出来事をソーシャルメディアに投稿する親のことを指します。シェアレンティングで最も人気のあるプラットフォームはフェイスブックとインスタグラムです。

コリンズ・ディクショナリーによると、シェアレンティングとは「自分の子供のニュースや画像などを習慣的にソーシャルメディアで共有する行い」を指します。

最近ではより一層、一般的になってきています。実際、今日の世代ほど幼少期がメディア投稿や画像で溢れ返っている世代もありません。ですが、一般的で広く行われているという事実とはいえ、物議を醸さないわけではありません。未成年をインターネットに過剰に露出させることによる結果というのは場合によっては非常に心配の種となるものです。

シェアレンティングにおいては、3つのタイプの親が存在します。

  • 保護的な親はプライバシーのことで心配します。もちろん、自分の子供のことを自慢したくないわけではありませんが、オンラインに投稿する時には気をつけています。
  • 自慢げな親は、友人に自分の子供がいかに素晴らしいかを見てもらうのが好きで、ソーシャルメディアに画像を投稿し、子供のすることなすことを説明します。
  • 過敏な親は、他の人が子供のことをオンラインに投稿することを嫌います。

シェアレンティングのリスク

シェアレンティングは以下のような理由から有害となることがあります。

  • プライバシーの欠如:子供のことを投稿してデジタル形式で足跡を残してしまうことは、ある意味、子供のプライバシーを奪っていることになります。
  • ネット上でのいじめ:自分の生活をネット上で過剰に共有してしまうことで、自身をいじめやストーカーの目に晒すことになりかねません。自分の情報だけでなく、子供の情報までアクセスを許してしまっています。
  • 詐欺:子供の全情報やデータがウェブ上に存在するため、子供が詐欺のターゲットとなったりします。
  • チャイルド・グルーミング:子供の生活を過剰に共有することで、未成年を襲う犯罪者にそういった情報にアクセスする余地を与えてしまいかねません。
  • 性的な目的でのコンテンツの使用:無垢な写真を投稿しただけだと思っていても、小児愛者(ペドファイル)は親が投稿したものを性的なコンテンツとして使用する可能性があります

また、シェアレンティングは子供の感情に影響を及ぼしかねません。親が子供について投稿する時、子供がその投稿が好きかどうかを子供にいちいち尋ねたりしません。そのため倫理規範を破っているだけでなく、将来的に子供を傷つけることになってしまうかもしれません。

子供が育ち、もっと意識が芽生えるようになると、親が自分についてした投稿を好きじゃなくなったり、あるいは悲しくなったり、惨めになったりすらするかもしれません。子供の反応がいつもネガティブなものではないかもしれませんが、子供が好きとは言えないものになる可能性が高いです。

更に、過剰共有は子供にとって危険なだけではありません。事実、子供のプライバシーの権利を侵しているため、それが自分に牙を向くかもしれません。また、ソーシャルメディアに常に共有することで、親がその行為に依存的になるリスクもあります

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ソーシャルメディアを安全に使う方法

シェアレンティングは深刻な結果を招きかねません。ソーシャルメディアにおける子供の露出を管理するためにできることを見ていきましょう。

  • プライバシーポリシーに注意を払う:各ソーシャルネットワークにはそれぞれプライバシーポリシーがあります。子供のプライバシーを守る方法を知るためにはポリシーを注意して読むことが大切です。
  • 子供にとってソーシャルメディアを使い始めて良い年齢を学ぶ:各プラットフォームは使用するのにある年齢に達していることをユーザーに求めています。子供がとても幼いようであれば、子供のプラットフォームの使用を監督しなければいけないかもしれません。子供が見ているコンテンツ、投稿しているコンテンツに注意を払うことが重要です。
  • 子供の意見を尋ねる:自分が子供について投稿したコンテンツに対して子供が意見を持ち始めている可能性があるなら、可能な限り子供の意見を尋ねることが最善です。それが無垢な写真であっても、子供がその写真について言いたいことをいつでも聞いてあげましょう。
  • 子供の裸の写真は共有しない:これはネットでのいじめや性的な内容のメッセージを携帯電話などに送信する行為であるセクスティング、子供を児童ポルノなどに誘い込むために巧みに子供の心に取り入ろうとするチャイルド・グルーミングを助長してしまいます。
  • 「子供が将来これを見たらどう思うだろうか?」と自身に問いかける:投稿する時にそうすることでより良い決断をするのに役立つかもしれません。
  • グーグルアラートを使う:グーグルはサーチエンジンに子供の名前が引っかかった場合に通知を送る機能を提供しています。この機能を使うことができれば、何か悪いことがあった時や安全を脅かすようなことが起きた時にタイムリーに知ることができたりします。
  • 特定のデータを共有する時は注意する:位置情報などは特にそうです。位置情報を共有するとストーカーにより容易く位置を割り出させてしまうことになりかねません。

賛否両論のシェアレンティング

時には状況が自分の手に負えなくなってしまうこともあるかもしれません。自分の投稿したものの数をどうにも管理できなくなってきていて自分の生活で問題になってきていると感じるのであれば、あるいはもっとアサーティブになってより良い人間になりたいと思うのであれば、いつだって専門家に話すというオプションがあります。

一方で、ソーシャルプラットフォームの悪用はとてもよくあることですが、だからと言って、害が薄れるわけではありません。ある研究では、2歳未満の子供の92%がソーシャルメディアに登場しており、そのうち3分の1が1歳の誕生日を迎える前に最初の写真が公開されていることを提唱しています。

その他にも多くの研究がこの問題について振り返り考えるように促しています。その例が最近(2019年)ガエル・オウヴレインによって公開された完全ガイド、「Sharenting: Parental adoration or public humiliation?([意訳]シェアレンティング:親の愛か、それとも公開処刑か?)」です。

この調査はこの問題の現実、つまり親が子供のアイデンティティや自己像を親である自分がした投稿内容で決めつけてしまっていることを曝露しています。また、子供に関する情報を共有することで、特に子供が10代早期であったりする場合、子供にフラストレーションを抱かせてしまうことがあることを示しています。更に、このガイドは子供と関係のある投稿はどんなものであっても投稿する前に子供に許可を取ることを推奨しています。

とは言え、もちろんソーシャルメディアに投稿するという行為全てが悪いわけではありません。自分の生活の極一部をアップすることで、自分の大切な人と身近な感覚を抱けるものです。大事なことは、自分が何を世間に公表しているのかを把握していることです。

次のことを自身に問いかけましょう。これはどこに投稿したらよいだろうか?このプラットフォームのプライバシーポリシーは何だろうか?自分のコンテンツを見ることができるのは誰なのか?自分は子供の権利を考慮しているだろうか?

気をつけていれば、うまくバランスを見つけて、ソーシャルメディアに子供の生活を過剰共有する危険な現象が生む被害者にならずにすみます。全ては自分のさじ加減であるということを忘れないで下さい。


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  • Otero, P. (2017). Sharenting…¿la vida de los niños debe ser compartida en las redes coaiales? Archivos generales de pediatría, 115(5), 412-413. doi:http://dx.doi.org/10.5546/aap.2017.412
  • Ouvrein, O., & Karen, V. (2019). Sharenting: Parental adoration or public humilliation? A focus group study on adolescents’ experiences with sjarenting against the background of their own impression management. Children and Youth Servicces Review, 99, 319-327. doi:https://doi.org/10.1016/j.childyouth.2019.02.011

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