ポストモダンの孤独と愛についての神話

ポストモダンの孤独と愛についての神話

最後の更新: 08 10月, 2018

ポストモダンの孤独は、今や長い間とても重要視されてきた個人主義という概念の産物です。社会は二つの矛盾した考えを私たちに押し付けてきました。一つは誰もが皆自分の道を作らなければならないというもの。そしてもう一つが孤独でいるということはとても悪いことだというものです。

また、ポストモダンの孤独はお互いのことを恐れることが普通になってきたことで、さら力を得ています。ご近所さんという概念はほとんど完全になくなってしまいました。私たちの世界では、あなたの環境にいる人は他人なのです。その人たちについて知りたいとは思いません。他人は何か恐ろしい感じがするからです。

その結果、この社会は人々がどんどん孤独になりつつも、その孤独と闘うのに苦戦しているものになりました。コミュニティの中で生きられないのに、孤独にもなれないという世界を作り出してしまったのです。孤独も人と一緒にいることも両方が問題になっています。

孤独、それは問題化している概念

ロマン主義までは、孤独というテーマはそれほど重要ではありませんでした。それまでは、孤独とは深く考えるものでもなければ、存在に関わるような問題でもありませんでした。人は一人で生まれ一人で死ぬという事実を受け入れていたのです。

以前は問題ではなかった孤独

個人主義も、あまり思考を支配するものではありませんでした。人々は基本的にコミュニティの中で暮らしていました。家族全員が同じ家に住むことが普通で、おじいちゃんおばあちゃん、子ども、孫、近い親戚が同じ空間を共有していたのです。また、ご近所さんとの関係もとても強固でした。人々はお互いのことを知っていて、近い距離で暮らしていたのです。

同時に、かつては集団的な儀式があり、それには基本的に全員が参加していました。集団礼拝や日曜礼拝、地元のパーティなどです。すべての人がコミュニティの一員であるという明確な概念が存在したのです。

これはロマン主義と共に変わってしまいました。夫婦がすべてになってしまったのです。孤立し、自分たちの世界でくらす夫婦が理想像になりました。するとだんだん社会も、夫婦や社会が作り出した核家族を中心に機能するようになり始めました。同時に、孤独が重要性を増すようになり、それは望まれないものになっていったのです。

ポストモダンの孤独

大家族やコミュニティから夫婦の社会へと移行してから、新しい現実が新しい技術と共にやってきました。ポストモダンの孤独の正式な到来です。今、ここに基本的な矛盾が生まれました。私たちは全世界とつながっていると同時に、かつてないほどに孤独になったのです。

世界とつながっているのに孤独

自分のソーシャルメディアでいいね!がもらえないと、落ち込んでしまうというくらい孤独を感じている人もいます。実際、孤独感が強すぎるために、人々はSNSに依存してしまうのです。なにも言ってはくれませんが、メッセージを受け取ったり送ったりしているという事実に病みつきになっているのです。

また、ポストモダンの孤独の枠組みでは、夫婦が不相応な意味合いを得てしまいました。まるで世界はカップルでしか成り立っていないかのように、パートナーがいないということは孤独なんだと人々が思うようになったのです。そして破局すると私たちはみじめさという混沌に投げ入れられたかのようになり、カップルだけが幸せの源であるかのように考えられているのです。

愛と孤独の神話に疑問を投げかけること

この孤独と愛についての神話に疑問を投げかける時がおそらく来たのではないでしょうか。ポストモダンの孤独が、何かがおかしいという証拠です。この文化は、このままでは平和や満足感、幸せに私たちを導いてはくれません。その反対のことが起こっているのです。感情のトラブルと心理的問題がどんどん起こりやすくなっています。

私たち皆が知っていることを思い出すことから始めてみましょう。私たちは皆愛を必要としているということです。どんなにロマンチックでも、恋愛は愛の表現の一つでしかありません。家族への愛、友達への愛、思想への愛、主義主張への愛、人類への愛、そしてもちろん自分自身への愛もあります。パートナーへの愛だけに絞ってしまうことは、私たちの心を貧困にし、私たちをより弱くしてしまうのです。

様々な愛の形がある

同じように、ポストモダンの孤独の内容にも疑問を投げかける価値があります。いつ私たちは孤独を拒絶するようになったのでしょうか。これは逃れることのできない現実です。私たちは一人で生まれ、一人で死ぬのです。それ以外のものは一生の中の借り物でしかありません。自分自身と孤独について理解を深めれば深めるほど、生きることにも死ぬことに対しても心の準備ができるのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。