探すのをやめたら物事はやってくる
物事が「カチッとはまる」ときを、魔法の瞬間と呼ぶ人もいます。夢にまで見た、探し続けた、あるいは不安になりながら待ち続けたことが突然起こる瞬間のことです。角を曲がったとき、突然メールが届き、暖かい腕であなたを包んでくれるような気持になります。探すのをやめたとき、運命は思いもよらぬギフトをあなたに送ります。
世界は予想外で、時々無秩序です。出口のない迷路のように感じます。でも、実はあなたが気付いているよりたくさんの魔法のような瞬間があります。
これを幸運の「科学」と関連付ける人もいます。この議題の専門家は、「でたらめの」発生に関する真実をもっとよく理解しています。あなたの夢が現実にになるとき、チャンスの魔法の杖がわたしたちに触れます。このような瞬間の裏には、ちょっとした科学と、たくさんの心理学的面が隠れています…
「幸運は準備ができているこころを好む。」
-ルイ・パスツール-
この例は興味深い本の中に見つけられます。フランス・ヨハンソン著の『アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方(原題:The Medici Effect)』 では、成功するにはその分野の専門家であることが十分ではない場合があるということを説明しています。
すべての努力、時間、エネルギーを一つの目標に注ぐことで、100%成功が保証されるわけではありません。時に、そこから少し離れることも必要です。
他の見方をして、直線的な考えから少しそれて、クリエイティブに考えなくてはいけません。柔軟で、忍耐強く、オリジナルな見方です。
そして、それと同じくらい重要な忘れてはいけないものがあります。時に、予期せぬ行動は潜在意識によって起こります。
意識的で、厳格で、時にしつこくて、いつも分析的な精神から少し距離を置くことで第六感が動き出し、信じにくいかもしれませんが間違いをおかすことはなくなります。
ちょっと考えてみてください。
探すのをやめても脳はまだ受容的
アンドレアは、全くうまくいっていない小さなビジネスを経営しています。自分のケーキ屋があまり利益を生み出していないことがわかっています。数か月以内に店をたたまなくてはいけません。何をすべきか考えています。
家族のビジネスを閉めることに対するプレッシャー、不安、悲しみのはざまで、突然涙が流れ出てきました。彼女は疲弊しています。
しかし、次の日にはもっと落ち着いた心持ちで目覚めました。自分自身に語り掛けます。『問題ない。これらか起こることは避けられないのだから、何が起こっても向き合おう。』
シャワーを浴びて、心地よい落ち着きと精神的な平安を感じていました。シャワーを浴びている最中、ソーシャルメディアのネットワークからお知らせを受信したようです。
携帯電話を手にしたとき、アンドレアにインスピレーションが沸き上がってきました。ケーキ屋をオンライン化し、ソーシャルメディアに情報をのせ、パーティーやイベント用に特別なペストリーをつくってはどうだろうか。
プレッシャーをかけることをやめたとき、脳がどのように働くかを表したシンプルな例です。恐怖の霧から出たとき、もっと脳の反応がよくなるのがわかったかと思います。
魔法の瞬間を見ていく過程で、ほかにも集合思考という興味深い分野に出くわします。
集合思考
人として、わたしたちには共通の習慣があります。わたしたちが特定のことをしたりしなかったりすることで起こりえるすべてを予想しようとすることです。
わたしたちは思考の中で表を作り出します。新しいコラムを増やし、事実を分析し、変数を相互に関連させ、徹底的で宿命論的な予想を立てます。
直線的で分析的な左脳を使うのではなく、集合思考を適用するほうがもっと便利です。
- 何の関係もなく思われる情報と刺激の間に関連性を作り出せるようになる。
- 集合思考ができる人は、無秩序の中でも平穏を見つけることができる。
- このバランスと平和のなかで、オープンで、受容的で、興味深々な集合思考を使うひとは、自分の周りにあるすべてを関連付けることができる。得たすべての情報で「遊び」、テストし、放り投げたり、生み出したり、変化させたり…
さらに、このようなタイプの人は問題へのひとつの解決策をみつけることにとらわれません。ほとんどの場合、環境に身を任せます。そして、予期せぬこと、アクシデントを受け入れます…
幸運というのはチャンスを逃さないこと
人生でラッキーでいるには、時に都合の良い環境が整っていなくてはいけません。しかし、このような環境が自分の前に現れるためには、脳が他の人が閉ざされた道だと思うところにチャンスを見いだせるようでなくてはいけません。
「最高の幸運は、自分自身で作り出した幸運です。」
-ダグラス・マッカーサー-
ひとつはっきりしておきたいことがあります。幸運は魔法ではありません。偶然というものは存在しますが、特別で素晴らしい脳によってもたらされた「偶然」です。
わたしがもっと信頼しなければいけない偶然です。わたしたちが不安、制限的なふるまい、恐怖、強迫観念から精神を開放するとき、わたしたちの脳は広がり変化します。100%機能し始めます。
こうすることでわたしたちの反応がよくなります。本当のチャンスへ導いてくれる内面的な思慮深い声に耳を傾ける機会を得ることができます。
だから、求める具体的なものを躍起になって探すのはやめましょう。もっと受容的になりましょう。もっと大きな全体像を見るためにです。
イメージ:Ben Giles作