精神解剖とは?

2020年7月10日
精神解剖は、司法調査の一部として行われます。自殺の原因を探ることが目的で、また本当に自殺であれば、どのような精神的パターンが見られたかを探ります。

精神解剖とは、自殺の原因の特定や確定を目的とする法医学上のテクニックです。また、本当に自殺で亡くなったかを確証づけるために使われる場合もあります。比較的新しい分野で、体系的に行われ始めたのは21世紀になってからです。

精神解剖という言葉は、シュナイドマンとファーベローによって、1950年代に造られました。エドウィン・S・シュナイドマンは、アメリカの臨床心理学者で、自殺や死亡学を専門としました。そして、ノーマン・ファーベローとロバート・リットマンと共に、1958年、ロサンゼルス自殺予防センターを設立しました。

精神解剖の概念は、1920年代頃アメリカでささやかれてはいました。その後の世界恐慌後、アメリカは自殺の波に襲われます。このエピデミックに注目し、多くの学者が共通の原因を探ろうと努めました。そして最終的に精神解剖の概念を確立したのが、シュナイドマンとファーベローなのです。

精神解剖

精神解剖

精神解剖において専門家は、亡くなった人の性格や生活の非直接的で遡及的な調査を行います。その人が自殺をすることになった状況や理由を決定しようとする調査的プロセスのことです。

一般的には、主に2つの目的があります。まず、ひとつは法医学的目的です。そしてもうひとつは、疫学的目的です。精神解剖は犯罪調査の一環として命じられ、法医学的解剖の補完として行われます。そのため、死因に疑いがある時にはほぼ必ず適応されます。

また、疫学的観点からいうと、行動、状況、動機などのサインを決定づけるための関連性のある情報収集の目的があります。これらの情報収集は、一般的なリスクファクターの構築、自殺の予防や回避が目的です。

また、書類のサインなど、死の前に行われた行動の法的有効性を測る目的で行われるケースも少なからずあります。

その他、医学的あるいは精神的治療を受けていた人においては、実地に問題があったかを測ったり、精神学的プロファイルの作成、犯罪学的カテゴリーの構築などのために、精神解剖が行われます。

調査ツール

このタイプの解剖には、主に3つのツールが使われます。犯罪現場の調査、精神的指紋の収集、死者に近しい人との接見の3つです。

  • 犯罪現場の調査では、ケースの全容に関する重要な手がかりが得られます。使われた方法、体の周りにある物の配置などの要素が有効な情報になります。
  • 精神的指紋の収集には、手紙、メール、日記、その他死者の心理学的プロファイルの構築や死の状況の確証につながる書類や情報の収集があります。
  • 死者に近しい人との接見は、自殺の動機や人格に関する情報の収集に役立ちます。自殺の裏にある様々な要因を決定するのは非常に難しく、精神解剖においてこれがもっとも論争を巻き起こしやすい調査です。
精神解剖

プロトコル

精神解剖を行うにあたって、従うべきプロトコルがいくつかあります。中でも最も一般的なのは、Teresita García Pérezが作ったMAPIモデルです。彼女はキューバ人の医師で、彼女のメソッドは実践的で機能的であると実証されています。MAPIとは、専門家が調査する次の4つの基礎的側面を表します。

  • M(Mental)-精神:判断、認知、知性、記憶、注意などのスキルや認知能力を分析します。
  • A(Affective)-愛着うつ病など愛着障害のサインを探ります
  • P(Psychosocial)-心理社会性:死者の人生における人間関係の輪を調査します。
  • I(Interpersonal)-対人関係:親しい人とどのように関係を築いたかを探ります。

このプロトコルで最初に行われるのは、死の現場の調査です。精神的指紋、兆候、自殺にまつわる環境の表出などを見ます。

そして、死者に近かった3人の人に60もの異なる見地や要因を用い、構造化された聴取が行われます。この調査には、死後1~6か月がかけられます。

さいごに、心理学者、医師、少なくともひとりの犯罪学者を含む学際的な分析があります。そして、専門家は、確率論的な性質のある報告書を完成させます。この報告書では、NASHコードに基づき死因を確定します。NASHコードとは、自然(Natural)、事故(Accidental)、自殺(Suicide)、他殺(Homicide)を表し、これにより考えられる死因が記録されます。

Terroba-Garza, G., & Saltijeral, M. T. (2014). La autopsia psicológica como método para el estudio del suicidio. Salud Pública de México, 25(3), 285-293.