ジグムント・バウマン:ソーシャルメディアの罠

2019年6月13日
ジグムント・バウマンは、ソーシャルメディアを罠として見ています。これが「液状化する文化」に決定的な影響を及ぼすものであると考えています。

ジグムント・バウマンは、自信の著書『リキッド・モダニティ―液状化する社会』で有名になった、ポーランド人の社会学者です。この本の中で彼は、ポストモダンが「固定化」の崩壊を招いたと非難しています。もはや、何も固定的ではありません。すべてが一時的で、はかなく、変化します。彼の最も有名な非難が、ソーシャルメディアに対するものでした。

ジグムント・バウマンにとって、子ども時代は容易ではありませんでした。ナチスに迫害され、自身の国を逃れざるを得なくなります。最終的にイスラエルへと行きつき、70年代には発表した論文で世界を沸かせます。いくつかの賞を受賞することにもなりました。2010年には、有名なアストゥリアス皇太子賞も受賞しています。

ジグムント・バウマンは、 現代社会の厳しい分析を行いました。彼の最大の思想は、ネットやソーシャルメディアに関するものです。バウマンは、これらのものに徳を見出すことができませんでした。人々が喜んで落ちている現代社会の罠であると定義しています。

 

ジグムント・バウマン:ソーシャルメディアの罠
ジグムント・バウマンとフェイスブック

ジグムント・バウマンの衝撃の言葉をご紹介しましょう。「フェイスブックの創始者である、マーク・ザッカーバーグは、人間の孤独に付け込んで、自身の会社で500億ドルを生み出した。それこそが、フェイスブックだ。」彼が話しているのは、フェイスブックだけではありません。すべてのソーシャルメディアを批判しているのです。

この社会学者は、マーク・ザッカーバーグのような天才は、どれだけの人が孤独になることを恐れているかに気づいていた、と強調しています。ソーシャルメディア上では、孤独は存在していないかのように見えます。インターネット上には、不安に関する投稿を読んでくれて、支援的な「いいね」で賞賛してくれる誰かが、いつも「そこ」にいます。 

「つながっているため」に、人はつまらない会話に参加することも厭わないようです。他の人達のそばにいて過ごす日々は終わりました。私たちの忠実な相棒は、コンピューターまたは携帯電話です。

会話の欠落とコミュニティー

バウマンは、社会学者として新しい技術への依存を取り扱っていました。彼にとって、これらは恐ろしい取り返しのつかない力だったのです。新しい技術は驚くべき程の「コミュニティー」の力です。歴史上、このようなことはかつてありませんでした。ジグムント・バウマンは、これによって現実的な会話も実りもないコミュニケーションが交わされていると考えています。

ジグムント・バウマンは、フェイスブックやその他のソーシャルメディア上で人々が行うことは、「反響」であると述べています。人は、自分が聞きたいことだけを聞くのです。彼にとって、ソーシャルメディアは人々が出会う巨大な鏡の家であり、しかしそこでは会話は存在しません。

ジグムント・バウマン:ソーシャルメディアの罠

ソーシャルメディア上で連絡を取り合うことは簡単です。現実世界では、そのように簡単にはいかないものなのです。実際には、自分が行うことを真正面から見据えなくてはいけません。しかしネット上ではそのような必要がありません。メッセージの交換はあっても、会話はありません。意見の違いはあっても、本物の建設的な議論はありません。本当はそうではないのに、他人とつながっているような幻想を抱いてしまいます。

「公の自分」という領域

ソーシャルメディアは、自分達を宣伝し、どんな人間であるかを見せる場です。もちろん、人は他人に最も見せられるような部分を選びます。自分の思い通りに管理できる、小さなコミュニティーを形成するのです。人はアカウントと言う帝国の小さな独裁者になります。誰がそこにいてもよくて、あるいはいてはいけないのかを決めるのは、あなた自身です。誰かを「友達」から外しても、特に問題はありません。

ソーシャルメディアで最も大事なことは、エゴです。フェイスブック上でどう映るかに、人はかなり依存しています。特定の方法で認められたいと思い、それが現実にならないといらだちを感じます。

ジグムント・バウマンは、ソーシャルメディアを罠として見ています。これが「液状化する文化」に決定的な影響を及ぼすものであると考えています。このような文化では、不安定な人間関係しかありません。そこにある愛は、顔もコミットメントも存在しない愛です。今日はあっても明日にはなくなっている、感情や思考の波です。人を楽しませますが、同時に制御もしてきます。それにどれだけ政治的・経済的力があるか、私たちは意識できていないだけなのです。

フェイスブック中毒 ソーシャルメディア 罠

ジグムント・バウマンによれば、展望は好ましくありません。たくさんの情報が飛び交っていますが、私たちはきちんと情報を得ることができていませんし、何を信じるべきかなど、分かったものではありません。コミュニケーションは本当のコミュニケーションではなく、独白化しています。グローバリゼーションが広まりすぎたために、個人主義がますます高まっています。それらすべての「自由」によって、人々は、私たちに生き方を押し付ける人の思うままにさせてしまっているのです。