親権の種類と、それぞれの形が子どもに及ぼす影響

離婚する親は、共同親権を望まないこともあるでしょう。しかし、共同親権やその他の親権について科学はどんなことを明らかにしているのでしょうか?
親権の種類と、それぞれの形が子どもに及ぼす影響

最後の更新: 18 3月, 2021

離婚は非常に感情的なものになり得る、多種多様な感情を生み出す可能性のある事象です。そのため、司法心理学では離婚の過程および子どもたちへの影響の及ぼされ方に特別注意が払われています。夫婦が離婚すると、子どもはどちらの親と共に生活することになるのか、一緒に暮らさない方の親とはいつ会わせるのかなど、子どもに関するたくさんの疑問が生じてくるはずです。要するに、「子の保護監督をどのように行えばいいのか」を、いくつかの選択肢の中から選ばねばなりません。

共同親権もしくは単独親権を選ぶことに関しても、「共同親権は本当にベストな選択肢なのか」という問題があります。また、単独親権が子どもに及ぼす影響は無いのでしょうか?二つの選択肢の間に、幸福度の違いはあるのでしょうか?こういった疑問に心理学者なら答えを出せるかもしれません。

親権の種類 子ども 影響

親権の種類:共同親権 or 単独親権

TejeiroとGómez(2011年)は、「Divorcio, cutodia y bienestar del menor; una revisión de las investigaciones en Psicología(離婚、親権、および子のウェルビーイング:心理学的調査の批評、の意)」と題された研究を実施しました。彼らの研究により、共同親権下と単独親権下では子どものウェルビーイングに差異があることが明らかになっています。

両研究者たちは、Bauserman(2002年)が最高のパラメーター属性を持つ33の研究を選出したのちに主張した、「共同親権下の子どもたちの方が単独親権下の子どもたちよりも適応力が高い」という意見と全く同じ結論を出しています。Bausermanは、共同親権下の子どもたちと、まだ婚姻関係にある両親のもとにいる子どもたちの暮らしを比較しました。

共同親権と単独親権の間には、以下のような違いが見られました。

  • 共同親権の方が、親たちの育児参加が増えます。
  • 共同親権の方が、家庭内の抑うつ状態が抑えられていました。
  • 単独親権下で暮らす子どもたちの方が情緒的問題を多く抱えていました。
  • 共同親権家庭の方が兄弟間の競争が少なく、子どもたちがより高い自尊心を持っていました。
  • 単独親権下の子どもたちは、保護者から拒絶されたという感覚を持っていました。
  • 共同親権下にいる子どもたちの方が健全な自己概念を持っており、感情の所在がより明確で、親たちとの関係性も良好でした。

ただし、別の研究ではどちらの親権の形を選んだとしても、子どもたちの心の健康に影響が及ぼされることが明らかになっています。

親権 子どもに及ぼす影響

共同親権が家族に与える影響

共同親権は子どもにとってのみならず、離婚する親たちにとっても最善の選択肢である、というのがMarín Rullán(2015年)の意見です。この研究者は、単独親権の親たちと比べた場合、共同親権を選んだ家族の不和の少なさやコミュニケーションの多さが親との関係性の良さにも関わっており、このおかげで両方の親がより高い満足感を抱けるということを発見しました。

両親間の対立は、子どもに対してさらにネガティブな影響を及ぼします。そのため、子どもたちの幸福度は親同士の仲に左右されるのです。共同親権が子どもにとっては最善だと頭では分かっていても、この親権の形を選ぶということは、関係性が悪化した親同士のコンタクトが多くなるという意味でもあります。しかし、TejeiroとGómezはこの点に関しても調査を行なっており、その結果共同親権により親同士の対立が少なくなるということが明らかにされたのです。

共同親権に関してはもう一つ、親たちが強制的に時折互いに顔を合わせねばならなくなり、まだ開いたままの傷口を癒やせなくなってしまうのではないか、という懸念事項があります。研究によって示されているのは、これが根拠のない不安であるということです。PearsonとThoennes(1990年)の調査によれば、親同士の距離は親権のタイプに関わらず離婚から2年後に増していく傾向があるそうです。

両親が離婚した家族の12年後

これは、Emery、Laumann、Waldron、SbarraおよびDillon(2001年)が、共同親権または単独親権を選択した家族に何が起こるのか調査しようとしたものです。その結果、後者を選んだ親にはより多くの対立が見られました。この調査により様々な結論が導き出されましたが、その中でも一番興味深いのは、単独親権を選んだ親は互いの生活に関心を持っていなかった、というものでしょう。

また、これらの研究者たちは共同親権を選んだ親の方が自身の生活に、さらには子どもたちの生活に多くの変更を加えていたことも発見しましたが、これは親同士の争いが多かったという意味ではありません。この発見は、柔軟性や協調といった側面と関連していたのです。

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子どもの生活への適応力に及ぼされる影響

Bausermanは、自身の行なったメタ分析「Child Adjustment in Joint-Custody Versus Sole-Custody Arrangements: A Meta-Analytic Review(共同親権および単独親権における子どもの適応:メタ分析レビュー、の意)」の中で、それぞれの親権タイプにおける子どもたちの適応度合いを計測しています。ここで言う適応とは、以下に示す内容です。

共同親権下の子どもの方が単独親権下の子どもよりも上記全てのカテゴリーが優れていたという事実は、共同親権の方が子どもの生活に良いインパクトを与えてくれるという説を支持しています。

共同親権は有益だが複雑さも

辛く胸の痛むような過程を経た後、親は何が一番良い選択肢なのか悩み始めます。そしてたとえ一番の関心ごとが我が子に普通の暮らしを与えてあげることだったとしても、親たちにはどうすれば共同親権の下での子育てをこなしていけるのかが分かっていません。

このような状況に関しては、Marín Rullánが非常にはっきりとした主張を持っています。それは、以下に挙げる4つの要因が共同親権の成功を左右するというものです。

  • 裁判所の指示を超えた、子育てへの深い関与と献身。
  • 元パートナーをサポートすること。我が子と元パートナーとの間の絆を尊重すること。
  • 義務や責任を柔軟に分担し合うこと。
  • 心理的特性。協調性は、共感力が高くて打たれ強く、ポジティブな育児姿勢を見せる人々の特性です。

最後に、親と子が実際に何を経験するかを考慮に入れれば、問題はどのような親権の形を選ぶかではないということがわかります。重要なのは、理想的な共同親権を実現するために必要なスキルを、親たちがどのように獲得するかという点なのです。


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  • Bauserman, R. (2002) Child Adjustment in Joint-Custody Versus Sole-Custody Arrangements: A Meta-Analytic Review. Journal of Family Psychology, 16(1), 91-102.
  • Emery, R., Laumann, L., Waldron, M., Sbarra, D. & Dillon, P. (2001). Child Custody Mediation and Litigation: Custody, Contact, and Coparenting 12 Years After Initial Dispute Resolution. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 69(2), 323-332.
  • Marín Rullán, M. (2015). La influencia de las actitudes parentales sobre el bienestar del menor y la elección preferente de la custodia compartida: una disertación. Psicopatología Clínica, Legal y Forense, 15, 73-89.
  • Tejeiro, R. y Gómez, J. (2011) Divorcio, custodia y bienestar del menor: una revisión de las investigaciones en Psicología. Apuntes de Psicología, 29(3), 425-434.

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