睡眠不足とその影響
睡眠不足は大人やティーンエイジャーによく見られます。瞬時の喜び、過剰な刺激、忍耐不足がはびこる世の中で、睡眠などの基本的ニーズは後回しにされがちになっています。
また、コンスタントに変化する労働時間や様々な人工照明、そこら中にあるテクノロジーなど、すべてが睡眠を妨げる原因になっています。
そしてこのような変化の影響が、認知、感情、身体など様々なレベルで表れています。睡眠不足症候群という新たな定義ができるほどです。現代社会では様々なものに優先が置かれていますが、睡眠はその中には入っていないのです。
「…睡眠の剥奪は、ジュネーブ条約や国際法廷で取り締まられている違法な拷問だが、私達の多くがそれを自分で自分に対行っている」
-Ryan Hurd-
睡眠プロセス
睡眠は、人間に必要不可欠な生理的状態です。寝ている間に脳の活動の統合や生理的プロセスの調整のため、意識や警戒が抑えられます。また、概日リズムにより、覚醒と睡眠の状態が交互に繰り返されます。
睡眠には主に2つのフェーズがあり、同じ順番で繰り返されることも知っておきましょう。
- 最初のフェーズはノンレム睡眠で、急速眼球運動はありません。さらに4つのフェーズに細分化されます。
- ノンレム1:眠りが浅く、すぐに目覚めることができる状態で、内的刺激および外的刺激を感じることができます。
- ノンレム2:体内で感覚受容の阻害が起こり、筋緊張や心拍が下がります。また脳波が下がり始め、脳の活動は調整されます。
- ノンレム3:脳波が下がり続け、感覚の阻害が大きくなります。一方で成長ホルモンの生成は増加します。
- ノンレム4:このフェーズとこの前のフェーズでは、睡眠が最も深く、デルタ波が優勢になります。
- 二つめのフェーズは、レム睡眠です。主な特徴は、急速眼球運動です。
このフェーズでは筋緊張が高まり、呼吸や心拍は不規則になります。睡眠中最も脳が活発で、伝導性のある明晰夢を見るのがこのフェーズです。
脳活動と睡眠不足
睡眠時間が少ないと、脳活動が全体的に減ることが脳画像診断により分かっています。
脳活動は、前頭前野や頭頂葉で大きく減少すると専門家は言います。特に言語活動においてこれが顕著で、専門家はこれを人が覚醒し、警戒しようとする時に起こる脳の活動の結果によるものだと考えます。
睡眠不足は認知機能に影響を及ぼす?
現在、日中の正常な認知機能の発達に睡眠が欠かせないことが明らかになっています。週1.3時間の睡眠時間の減少で、警戒度は32%下がります。さらにこれは身体的活動と認知的活動の両方に影響するのです。
記憶と学習
記憶と学習は、適切な睡眠と関係するプロセスです。睡眠中に日中に得られた情報が統合されます。また睡眠は学習にも欠かせません。
日々の睡眠時間の短縮がこれらの機能に影響を及ぼします。記憶にはいくつかの面があり、それぞれ上でご紹介した様々な睡眠のフェーズと関係します。
例えば、記憶の統合や新たな情報の符号化は、レム睡眠やノンレム2のフェーズで起こります。そのため、このすべてのフェーズが行われなければ記憶の統合に問題が生じます。これは例えば学校の成績の低下などにもつながるのです。
また、新たな情報の学習と睡眠も関連しています。睡眠不足は記憶の符号化に関わる構造、海馬の活動を低下させます。さらに、情報の保持の障害にもなります。
注意力
睡眠不足は、人の注意力を直接阻害する日中の眠気と関係していることが研究により分かっています。観察力が低下し、活動の遂行に必要な要素が失われる、あるいは省略されます。
また、長時間同じ活動に集中しづらくなります。これに反応時間が長くなることを加えると、信号の見落としやテストで赤点をとるなどの問題につながります。
反応時間
睡眠不足だと、一般的に反応時間は顕著に長くなります。また、活動時にミスをしやすくなります。物事を行うのに時間がかかり、適切に遂行することが難しくなるのです。
出された課題を理解したり、適切に行うことができないため、学校の成績が低下するなど生活の様々な面で影響が出ます。また、運転など自動的に行うような活動にも問題がみられるようになります。これは睡眠不足により日常生活で素早く反応ができなくなるためです。
睡眠不足は感情にも影響を及ぼす?
感情は、睡眠不足が大きく影響をもたらすももう一つの面です。睡眠不足は落ち込みや不安の感情を作り、一時的な気分の変化をもたらすことが分かっています。
また、睡眠が足りないと、感情知能や建設的思考にも影響が及びます。この影響は一つではありません。まず個人的機能に影響します。睡眠不足により、主張性、独立性、個人の成長が阻害されます。
次に、相互関係の機能への影響です。人に対する共感がうすれ、人間関係の平等性が失われます。これに関して科学者は、喜びと怒りに関係する感情的表現の認識が難しくなることを認めています。その結果、人との関係に大きな影響が出ます。
最後が適切なストレスマネジメントへの影響です。睡眠不足の人は、衝動をコントロールすることが難しくなります。また、満足感と関係するシステムの活性化が遅れるため、ストレスが大きくなります。
睡眠不足と生理的活動の関係
睡眠と生理的活動には深い関係があり、認知・感情・身体活動の調整で非常に重要になります。次に、その主な機能を示します。
- 免疫系:睡眠不足により免疫が下がり、臓器がうまく働かなくなり、病気のリスクが高まります。
- 心臓血管系:睡眠障害を抱える人は、高血圧、心臓病、心不全のリスクが高まります。
- 内分泌系:睡眠不足は、コルチゾール値を高め、甲状腺ホルモン値を下げます。これにより、肥満、糖尿病、慢性疲労のリスクが高まります。
睡眠不足症候群
睡眠不足症候群の人は、夜間眠れず、日中警戒状態にあります。これはもともと持っていた問題ではなく、外的要因によるものです。遊びや遅くまで仕事をするなどの理由により、動機づけられた自発的な睡眠制限が主な原因なのです。
ティーンエイジャーや大学生によく見られる状態で、その多くが日中疲れています。また、遅刻しないように朝誰かに起こしてもらわなければ起きられません。
睡眠不足と関連性のある要因
- 思春期の変化
- 電子機器の使用
- 予定や学校の宿題の量
- 刺激物の使用
- 精神的問題やストレス
まとめ
必要な分だけ睡眠をとらなければならないのだとうことを強調しておきます。そうしなければ、認知的、感情的、生理的影響が現われます。睡眠は身体的だけでなく、精神的にも様々な面で活動に欠かせないものです。
お分かりいただけたように、睡眠不足に伴うリスクを考える必要があります。どんな活動よりも、睡眠を優先しましょう。睡眠の優先を長く続けると、体に変化を感じ、気持ちが高まるのに気づくはずですよ。
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