睡眠や食事の際にオレキシンが果たす役割
オレキシンはヒポクレチンとしても知られており、その役割は科学者たちの間ではよく知られています。発見されたのは1998年です。これら2つの神経ペプチドホルモンはほぼ全ての哺乳類に見られ、プレプロオレキシンと呼ばれる共通の前駆体タンパク質から生成されます:
- オレキシンAあるいはヒポクレチン1。33のアミノ酸と2つのジスルフィド架橋から形成されます。
- オレキシンBあるいはヒポクレチン2。28のアミノ酸から形成されます。
これらの主な機能は、脳へ腸内反応を送ることです。これらは両方とも視床下部やニューロン、腸内細胞、胃の細胞、そして膵臓の細胞で分泌されます。したがって、栄養摂取や水の摂取、そして食欲コントロールへ大きな影響が出ます。また、これは脳腸軸としても科学者たちに知られています。
しかし、研究者たちはオレキシンは例えば睡眠・覚醒サイクルの調整や、生殖プロセスにさえも関わっていることを明らかにしました。オレキシンについてさらに詳しく見ていきましょう。
オレキシンはどのように働くのか?
オレキシンの受容体には、オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)の2つがあります。オレキシンAには両方の受容体に結びつく能力があり、一方オレキシンBは主にオレキシン2受容体に結びつきます。
オレキシンニューロンは視床下部の特定の領域にしか存在していませんが、これらは脳全体への非常に長い投影効果を持っています。例えば、大脳辺縁系や細胞内皮系などです。したがって、オレキシンニューロンは様々な情緒機能、動機付け機能、そして報酬機能において重要な役割を担っているということになります。
睡眠・覚醒サイクルにおいてオレキシンが果たす役割
睡眠・覚醒サイクルのなかでオレキシンが持つ影響力は、この神経ペプチドが発見された際、メインの機能とされていました。このオレキシン/ヒポクレチンシステムは覚醒中多くの活動を行なっていますが、睡眠中、特にレム睡眠時には活動は減少します。
実際に、研究者たちはナルコレプシーがこのホルモンや受容体の欠如と関連していることにも気づいています。したがって、この疾患を抱える人々の睡眠は乱れて断片的になり、レム睡眠のエピソードが覚醒プロセス中に現れてしまいます。
現在、研究者たちはこのタイプの睡眠阻害に対する効果的な薬品を見つけるべく、この分野で研究を進めています。例えば、スボレキサントはオレキシン受容体への睡眠拮抗薬であり、一部の国々で使用可能となっています。
飲食や食欲におけるオレキシンの役割
食物の摂取に関しては、オレキシンには食欲を増加させる働きがあります。研究者たちはオレキシン/ヒポクレチンシステムが実際に脳と消化系との間のやり取りに密接に関連していることに気づいており、そのためこれは脳腸軸とも呼ばれます。
前述の通り、オレキシンは視床下部レベルで分泌されるだけでなく、腸内や胃の中でも分泌されます。したがって、特に胃の運動性調節や膵臓でのホルモン分泌の調整などの役割を果たしています。
そのため、これらの神経ペプチドホルモンには、食欲の調整、特に短期的な調整のために腸内感覚を脳に伝えている可能性があります。例えば、絶食や低血糖といった状態になると、腸内のオレキシンが増加し、栄養が不足しているという情報や食物の必要性といった情報を脳に伝えるのです。
その他のオレキシンの役割
前述の通り、これらのニューロンと大脳辺縁系との結びつきを踏まえると、オレキシンは気分や情緒にも関わっていると言えるでしょう。また、記憶処理や学習プロセスへの影響力も認められています。
最近では、オレキシンが視床下部-下垂体-性腺軸にも影響を及ぼすことが明らかになりました。この研究によると、これらの神経ペプチドは生殖プロセスの調節においても重要な役割を担っており、その中でも影響力を発揮する機能が以下のようなものです:
- 性ホルモン分泌の調整
- 排卵
- 睾丸や卵巣の機能の調整
- 性的行為の調整
ご覧の通り、オレキシンは有機体の様々な機能に影響を与えており、重大な潜在能力を秘めています。したがって、この分野の研究は幅広いタイプの疾患の治療に役立つ可能性があるので、今後も続けられていかねばなりません。
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