セラピーがうまくいかない5つの理由
セラピーがうまくいかないのには様々な理由がありますが、その失敗にも必ず何らかの意味があります。プロセスを開始したという事実だけでもいいことなのです。より良くなりたいと思い、そうなることに興味を持つということは、自分を大切にし良くなりたいという意志の表れです。
見知らぬ人に、自分の内側をすべてさらけ出すことは簡単ではありません。相手はプロですが、だからと言って自分の感情を共有するには相手を知っておきたいという人のニーズは変わりません。セラピーを受けようと思うのは、助けが必要と感じる時ですが、それでもどこかうまくいかないこともあります。
しかし、うまくいかない原因がなんであれ、もう一度挑戦してみるべきです。この世の中で、100%計画通りに行くものなんて存在しません。重要なのは、より良くなりたいという決意です。また、なぜセラピーがうまくいかなかったのか、理由を考慮するといいでしょう。
「私の世代における偉大な発見は、人は自分の姿勢によって人生を変えることができると学んだことだ」
1.コミットメント不足
セラピーの主役は患者です。心理療法士の所に来た人にはある程度のコミットメントが必要です。何より、自分に対するコミットメントが重要になります。
セッションに遅れない、また、自分の問題を克服するためにできる限りのことをすることによって、コミットメントをしていると言えます。カギとなるのは、問題の原因を知りたい、そして乗り越えたいという思いです。しかし残念なことに、すべてのケースがいつもこうあるとは限りません。
2.セラピストへの過剰な期待
セラピーがうまくいかない理由でよくあるのが、セラピストに期待しすぎることです。自分の問題に対する答えを期待する人がいますが、事実や現実より先に進むことは不可能です。
セラピストは、マジシャンや精神的指導者、占い師ではありません。また、厳密に言うとガイド役でもありません。セラピストの役割は、私達に寄り添い、自分を良く知る手伝いをすることです。セラピストは助けを求める人に手を差し伸べるようなトレーニングを受けています。また、セラピーの目的は、より客観的になり、知的に解釈できるようになることです。厳しいようですが、セラピストは、人の人生を変える力は備えていません。
3.抵抗しすぎること
自分の悩みにとらわれ、間違った方法で解決しようとすることは異常なことではありません。どんな問題でも、それが深刻であっても、二次的なメリットのようなものが伴います。例えば、自己犠牲化は行動の欠如や変化へのためらいを正当化することもあります。ですので、悩みを手放すことは難しいのです。
これは「抵抗」と呼ばれ、多くの場合無意識の決断です。そして、これが臨界期に達すると、患者はセラピーを放棄することがあります。心理療法がうまくいかないのは、多くの場合、変化への抵抗を乗り越えられないことが原因になっています。
4.誤った動機
セラピーの場で、私達は自分の考え、感情や行動を内省することができます。自分を不快にする要因を特定することが目的です。また、セラピーは、実際の個人的物事を別の方向で知覚したり、より満たされる生活を作るのに役立ちます。
中には、これらの理由以外でセラピーに行く人もいます。例えば、特定の問題を解決したい人です。こういった人は、自分の内側を探索しようとは思いません。そうではなく、行き止まりを解決する公式を求めています。例を挙げると、自分のパートナーに変わってほしいと考え、その方法を求めてセラピーに行ったりするのです。このタイプの動機の場合、セラピーはうまくいきません。
5.心理療法士との関係
心理療法士との関係は、プロとの関係です。だからと言って、患者と心理療法士が2人の人間であることには変わりありません。そのため2人の馬が合うとは限りません。これが理由で、セラピーがうまくいかないケースもあります。
良いセラピーは、誰もが時に自分に贈ってあげるべきものです。しかし、それによってすべての問題が解決する、あるいは幸せが保証されるものではありません。実際、幸せが保証されている人はいません。セラピーは、考えを改め、気を新たにすることのできる場です。セラピーがうまくいかなかったとしても、それにより自分の内的世界を浄化し、物事を並べなおすことで、何かポジティブなものを残してくれます。
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https://www.redalyc.org/articulo.oa?id=265019673002