友達がいなくても生きられる?

友達がいなくても生きていくことは可能でしょうか? 精神面に影響はあるのでしょうか? 現代社会で、信頼、接触、友人関係をもたず日常生活を送っている人は多くいます。詳しく見ていきましょう。
友達がいなくても生きられる?
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

友達がいなくても人は生きられるのでしょうか? 「もちろん、私はそうしてる!友達はいないけどちゃんと生きているよ」と答える人もいるでしょう。これは間違いではありません。

社会的繋がりがないからといって死ぬことはありません。これが理由で心臓が止まったり、自分が消えてなくなることはありません。では、友達がいない場合、どのようなクオリティオブライフがあるでしょうか? 幸福や健康を感じるのか、それとも虚無感でいっぱいになるのでしょうか?

一人も友達がいないからといって、命が失われないのは当然です。しかし多くの場合、悲しみ、失望、落胆を抱えることになります。孤独を感じるという理由でセラピーに行くという人は少なくありません。しっかりとした社会的絆を築くことができず、話し相手がおらず、一緒に笑ったり共に時間を過ごすことができないのです。

人間は社会的な生き物で、ポジティブな感情を抱き、自分の価値を感じ安心するためには、人との関係が必要です。

ここまでに指摘したように、進化論的心理学の観点から言うと、生存に友達は絶対不可欠ではありませんが、人生の質を高め、真の幸せを求めるのであれば、友達がその助けになるでしょう。

友達

友達がいなくても生きられる?

社会的関係の質は、家族内での経験により育まれるといわれがちです。しかし、これは完全に正解とは言えません。

虐待家庭や愛を知らない親によりトラウマになるような経験をした人も、友人との絆を基礎とした本当の「家族」を築くことができます。また、逆もありえます。愛のあふれた家庭で育ったからといって、安定した友人関係を築くことができるとは限りません。

一方で、良い友達が人生に彩りをもたらしてくれるという事実を否定できる人はいないでしょう。このような友人は気軽に見つかります。家族と違い、もともと与えられたものではありません。訳も分からないうちに、厳しい時を共に乗り越える予期せぬ宝物になるような友情、そして一生関係が続くものもあります。

すべての友人が一生の付き合いになるのではないというのも事実です。間違った友人関係も本物の関係もあり、どちらもどこか、人としての成長につながります。

中には、ソーシャルスキルに欠けるため、または失望して長い間友達がいないという人もいます。こういったときに、友達がいなくても生きられるのかが問題になります。

個人主義がますます進む中、友達がいなくても生きられる

友達がいなくても生きられるというのは事実です。実際、アリゾナ大学のMelika Demir博士とIngrid Davidson博士はある研究を行い、その意味について内省させられる、非常に興味深い結果を見出しています。

この研究では、友達が幸せを感じるのに役に立っていることが分かったのです。しかし、これは社会全体として最も重要なポイントではありません

最も大切なのは、基本的ニーズの充足や自分は有能であるという感覚です。自律し、食、仕事、家、パートナーなどの基礎的な面が満たされることがより要求されています。また、「流動的関係」もこれに加えることができます。

哲学者で社会学者のジグムント・バウマンは、社会はますます個人化していると示唆します。絆や繋がりが弱くなり、信頼性がなくなり、また、神出鬼没であるとさえ言えます。友達は移り行くもので、長く続くものはほとんどありません。これにより、充足されにくくなりますが、それに慣れている人もいます。

多くの人と関わっているから、友達はいらない

人は、少なくとも最も基本的で、日常的な社会的関係へのアクセスを必要とします。職場で同僚と話すことや、近所の人との会話、地元の店で店員と話すことなどがこれに当てはまります。

これだけで気分が良くなり、これよりも深くを求めない人もたくさんいます。真の友達になる安定した繋がりを求めることをしません

このような表面的な触れ合いで充分だという人がいます。こういった人は、友達がいなくても生きていけると言うことができるでしょう。

友達がいない

安定した友達がいないことは害になる?

ここまでで、友達がいなくても生きていけることが分かりました。様々な理由でこのような絆がないという人もたくさんいますが、こういうものだと受け入れています。では、精神面で問題はないのでしょうか

それについては人それぞれ異なります。家族やパートナーがいれば十分だという人もいれば、一人で満足だという人さえいます。

しかし、これは正常ではなく、またお勧めもできません。脆い関係であふれた個人主義の社会では、自殺がますます増えているという事実について考える必要があります。友達がいないからといって死ぬことはありませんが、人生がより厳しくなるのも事実です。

人は、感情を豊かにする環境を作ることができる、信頼できる質の高い友人関係を必要とします。友達は、存在をより豊かにし、存在に意味を与え、メンタルヘルスにポジティブなサポートをしてくれます。

この関係がなければ、虚無感や傷が生まれる要因となり、不満や孤独が現実を痛々しく変えていきます。友人関係から離れてはいけません。自分の思いを共有できる人を探しましょう。成長し、笑い、共に時間を過ごすことができる人を探しましょう。そこには、計り知れないほどのメリットがあるのです。


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  • Demir, M., & Davidson, I. (2013). Toward a better understanding of the relationship between friendship and happiness: Perceived responses to capitalization attempts, feelings of mattering, and satisfaction of basic psychological needs in same-sex best friendships as predictors of happiness. Journal of Happiness Studies, 14(2), 525-550

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