トリパノフォビア、針への不合理な恐怖心

あなたは、トリパノフォビアあるいは針への不合理な恐怖心についてご存知ですか?今回の記事では、その最も頻繁に現れる症状や、セラピーにおいて用いられることが多い治療法についてお話ししていきます。
トリパノフォビア、針への不合理な恐怖心

最後の更新: 03 1月, 2021

トリパノフォビア(針恐怖症)、あるいは針への不合理な恐怖心は非常によく見られるフォビア(恐怖症)で、ベロネフォビア(先端恐怖症)などその他の名称が用いられることもあります。ただ、実は研究者たちの中にはこの針への不合理な恐怖をベロネフォビアあるいはトリパノフォビアなどと呼ぶ代わりに、もっと具体的に「注射への恐怖」と呼びたがる人もいるようです。今回の記事では、針および注射への恐怖という意味でのトリパノフォビアの概念を扱います。

そもそもこの恐怖の正体とは何なのでしょう?これによってもたらされる症状や、考えられる原因は何なのでしょうか?本日はこういった疑問にお答えすることに加えて、トリパノフォビアなどの極限性恐怖症を治療するのに効果的な心理療法を二つ紹介します。

トリパノフォビア、あるいは針への不合理な恐怖

トリパノフォビアは、極限性恐怖症と呼ばれるタイプの恐怖症(不安障害)です。針や注射への過度で強烈かつ不合理な恐怖心があるというのが主な特徴として見られます。

確かに針は、不適切な使い方をすれば人を傷つける恐れがありますが、実際にはこのフォビアによる恐怖心はその危険性の低さとは不釣り合いなほど過剰なのです。

お分かりのように、フォビアの兆候の一つとして、個人の日常生活に何らかの形で支障が出てしまうということが挙げられます。これに加えて、針への不合理な恐怖はこのフォビアに苦しむ人々に大きな不快感を抱かせるのです。

この病的な恐怖を生む刺激はどこから来るのか?

全ての極限性恐怖症に関して言えることですが、病的な恐怖を生み出す刺激は不安感や強い恐怖心を引き起こします。トリパノフォビアの場合、恐怖の対象は主に針ですが、注射器やワクチン接種を受ける可能性があることまでもが刺激になる場合があります。また、このフォビアを抱える人は針あるいは注射器に関わりがある何らかの要素を恐れるケースがあることも覚えておくべきでしょう。例えば、病院に漂っているのと似た匂いやストレッチャー、手術用器具などがそれに当てはまります。

症状

DSM-5(2014年)の診断基準によれば、トリパノフォビアの症状には以下のようなものがあります。

  • 針や注射への強烈で不合理な恐怖。
  • これらの物品が登場する状況を回避する(あるいは大きな不快感とともに抵抗する)。
  • 臨床的に重大な不快感あるいは日常生活に支障が出ていること。

このフォビアの症状はさらに明示化し、三つのカテゴリーにグループ分けすることが可能です。

  • 身体症状。息切れ、吐き気、嘔吐、めまい、腹痛など。
  • 認知症状。針に関連する破壊的で不合理な思考、死についての思考、混乱など。
  • 行動症状。恐怖を引き起こす刺激の回避(前述の通り)。

しかし、これらの症状はいつ現れるのでしょうか?基本的には、針について考えた時や思い浮かべた時、あるいは触れた時です。また、診療所に行った時に症状が出る場合もあります。簡潔に言うと、針が関連するシチュエーションを経験する時にはいつでも上記のような症状が発現し得るということです。

フォビアの重症度により、症状が特定の状況下で現れるか否かは変わってきます。例えば、一部の人にはただ針のことを考えることだけで症状が出てしまいますが、針との実際の接触がないとそうはならない人もいます。

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トリパノフォビアの原因

トリパノフォビア、あるいは針への不合理な恐怖心の説明となり得る原因は様々です。中でも特に多いのは針にまつわるトラウマ体験でしょう。例えば、採血中にケガをしたなどの体験です。

さらに、実は連合学習(古典的条件付け)によってこのフォビアを説明することも可能で、この場合、脳が何らかの刺激をネガティブな反応に連想づけるよう学習してしまったことが原因となります。アメリカ人心理学者のジョン・ワトソンは、この種の行動の研究におけるキーパーソンの一人です。彼は、1920年代にアルバートという少年を対象に条件付けを行い、白いネズミを途轍もないほど恐れさせることに成功しています。

ただし、その他のあらゆる恐怖症と同じく、トリパノフォビアも種々多様な条件付けによって獲得される恐れがあります。例えばトリパノフォビアを抱える親類がいて、その人の苦しみを間近で見ていたことで自身もこのフォビアになってしまう人がいるのです。そして、人類は生物学的に特定のタイプの恐怖症(特に先祖たちの生存を助けてきたようなもの)を発現させるようプログラミングされている(あるいは恐怖症になりやすくなっている)のだ、と主張する研究者たちもいます。

彼らの理論によれば、私たちは戦うか逃げるか反応を引き出すために特定のタイプの恐怖症を発現させるのだそうです。そしてその反応が種としての人類を守ります。事実、恐怖心は脳の中でも非常に原始的な領域(原始脳)に潜んでいるのです。

針に対する不合理な恐怖の治療

臨床心理学の観点から言うと、そしてPérezら(2010年)の『Guide to Effective Psychological Treatments』およびCaballo(2002年)によると、以下の二つが極限性恐怖症の治療として望ましい(最も効果的である)ようです。

曝露療法

患者を、段階的に恐怖を引き起こす刺激に曝露させていく治療法です。これを行う間は、セラピストが立ち会います。

針への不合理な恐怖心を治療する場合、患者は該当の恐怖の対象に曝露されていくこととなります。針について考えることから始め、次に図やビデオを見ることへと進み、さらに次はもっと踏み込んだ曝露を行うことで少しずつ針に触れられるようにしていきます。そして例えば注射を受けられるようになることを目指すのです。最終的なゴールは、不安を感じることなくその状況に立ち向かえるようになることです。

認知療法

認知療法、具体的には認知再構成法を通じて、患者がフォビアに関連して見せる不合理で破壊的な思考を修正することを目指します。トリパノフォビアの場合は、例えば「私は針の痛みに耐えられないだろう」あるいは「針は私を傷つけるはずだ」などがその思考の例です。認知再構成法では、これらの思考をもっと現実的で機能的なものに置き換えていきます。

トリパノフォビア、針への不合理な恐怖心

針やそれに関連する対象物への恐怖

針への不合理な恐怖は、ヘマトフォビア(血液恐怖症)やアイクモフォビア(先鋭恐怖症)などの別の恐怖症と結びついていることもよくあります。つまり、その関連性は非常にシンプルであるがゆえ、トリパノフォビアに苦しむ人にはこういった他の恐怖までもが現れる可能性があるということです。

ヘマトフォビアやアイクモフォビアの場合もトリパノフォビアを治療する際と同じ心理療法が用いられますが、内容はこの特定の恐怖症向けに改良されたものとなります。

一方、認知療法や曝露療法がこの種の病気に対する最も効果的な治療法であるということが証明されているとはいえ、心理教育やマインドフルネス、認知行動療法などの代替的な選択肢からも効果が得られる可能性があります。

ご自身の抱えるフォビアのせいで日常生活に支障が出ていると感じる場合は、それを専門に扱うプロ(理想的なのは臨床心理士)に助けを求めることが最良です。ぜひ心に留めておいてください。

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状況に対する恐怖や嫌悪感で身動きがとれなくなってしまうようになると、それは恐怖症になります。例えば 針 に対する 恐怖 「 トリパノフォビア 」は、人々の日常生活を脅します。彼らは必要な医学的介入を受けることを拒否するため、多くの制限が出てきます。



  • American Psychiatric Association –APA- (2014). DSM-5. Manual diagnóstico y estadístico de los trastornos mentales. Madrid: Panamericana.
  • Caballo (2002). Manual para el tratamiento cognitivo-conductual de los trastornos psicológicos. Vol. 1 y 2. Madrid. Siglo XXI (Capítulos 1-8, 16-18).
  • Pérez, M., Fernández, J.R., Fernández, C. y Amigo, I. (2010). Guía de tratamientos psicológicos eficaces I y II:. Madrid: Pirámide.