トコフォビア:妊娠・出産への不合理な恐怖心

21 1月, 2020
今回は、あまり知られていない恐怖症であるトコフォビア(出産恐怖症)についてお話ししていきます。トコフォビアを抱える人々は、妊娠や出産への不合理な恐怖心を抱いてしまいます。男性も女性もこの症状に苦しむ可能性があり、自身の、あるいは他者のトラウマ的経験が発端となります。

妊娠と出産は、一部の女性たちの人生においては重要なイベントです。この経験は多くの女性にとって喜ばしいものとなる一方で、極度の不安を引き起こすことにもつながります。ごく少数の人々が、出産だけでなく妊娠することに対しても不合理な恐怖心を抱いています。これが、トコフォビア(妊娠恐怖症/出産恐怖症)としても知られているものです。

この病的な恐怖心により、子どもを持つという選択を避ける女性たちもいます。彼女たちは、「妊娠や出産を乗り越えなければならない」という考えに恐れを抱いているのです。だからと言って母親になりたくないというわけではなく、反対にトコフォビアの女性のほとんどが実は母になることを願っています。しかし、彼女たちは普通分娩を避け、帝王切開を選択するのです。

出産恐怖症の症状

トコフォビアは不安障害に分類されます。最もよく見られる症状は、睡眠障害、パニック発作、回避行動、不安感、そして抑うつ状態などです。

出産への恐怖心は、出産自体を超えてネガティブな影響をもたらします。そして選択的帝王切開は、出産へのトラウマを増大させ、母と子の間の絆にも悪影響を与えてしまいます。

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トコフォビアの二つのタイプ

専門家たちは、トコフォビアには二つのタイプがあることを特定しています。一つ目の第一トコフォビアは、初めての出産を控える女性がかかる恐怖症で、妊娠の前または後で症状が現れ始めます。

この出産への根深い恐怖心は、女性や十代の若者、そして性的虐待の被害者により多く見られます。妊娠中に行われる定期的な検診が、恐怖の元であるトラウマをフラッシュバックさせることもあります。

一方、第二トコフォビアはすでに母となっている女性、あるいは過去に妊娠したことのある女性を苦しめます。トラウマ的な出産経験や不妊治療の失敗、流産、死産などによって引き起こされることがあります。

原因

専門家たちは、トコフォビアには様々な原因が存在すると見ています。そのうちの一つが、苦痛に満ちた出産や難産を経験した他の女性の証言を聞くことです。また、以前に不安障害やうつ病にかかっていたことも原因となります。

全般的に、トコフォビアには痛みへ対処できない、自制心を失う、医療関係者を信頼することができない、あるいは母と子としての人生へ過度な恐怖心を抱く、といった症状が含まれます。

また、社会的なサポートが無いこともトコフォビアからくる不安定さを悪化させます。この恐怖症に苦しむ多くの女性たちは、一人きりで妊娠や出産と向き合っています。その人数は正確にはわかりませんが、研究者たちは2〜15%の女性がトコフォビアを抱えている、と考えています。

驚くべきことに、この恐怖症の影響を受けるのは女性たちだけではありません。多くの男性たちもまた、トコフォビアに苦しんでいます。彼らはパートナーの妊娠という不確かな状況について深く苦しんでしまうのです。子どもが生まれることに怯え、パートナーや生まれてくる子どもの未来に何が起こり得るかを考えて怖くなってしまいます。

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治療介入

この種の不安障害を治療するには、心理療法や認知行動療法が効果的だと考えられます。認知行動療法では、特定の症状に重点的に対処するので、短期間で良い結果を得ることができます。

残念ながら、これらの治療法の効果を証明するような研究はそれほど多くは行われていません。しかし、わかっている限りでは、これらの治療を経験した患者たちは出産前後の恐怖心を和らげることに成功すると見られています。専門家たちは、心理学的なサポートや産婦人科医のサポートを含む学際的なアプローチを勧めています。

私たちが手に入れたデータでは、最大でも80%の女性たちが妊娠や出産についてある程度の不安や恐怖心を抱いていることがわかります。しかしこれは極めて正常なことであり、このタイプの恐怖心は障害として治療すべきものではありません。

トコフォビアを患うのはもっと少数の人々であり、そうなると、将来親となる人々が子育てを始める上で抱く正常範囲の不安を通り越してしまいます。

しかしながら、もしトコフォビアの影響で不合理な恐怖心を抱いているのであれば、ためらわずに専門家に助けを求めてください。症状をコントロールしたり、妊娠および出産の間、健全でポジティブな経験ができるようにするために必要な手段を彼らが提供してくれるはずです。

Bhatia, M. S., & Jhanjee, A. (2012). Tokophobia: A dread of pregnancy. Industrial psychiatry journal, 21(2), 158–159. doi:10.4103/0972-6748.119649

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