わかりづらく、不明瞭な心理的虐待:4つの形態

不明瞭な形態の心理的虐待は、その本質ゆえにとても危険です。はじめのうちは見過ごされることが多く、被害者自身も、受けたダメージが大きく膨れ上がるまで、自分が虐待されているとは気づきません。お分かりのように、情報こそが予防のための一番の武器となります。
わかりづらく、不明瞭な心理的虐待:4つの形態

最後の更新: 01 2月, 2021

あからさまでない、不明瞭な形態の心理的虐待は多くの場合見つけ出すのが困難です。しかし、その一見無害そうに見える性質ゆえ、危険なものにもなり得ます。この種の振る舞いは被害者を徐々に傷つけていき、ネガティブな精神的影響を与えるのです。では、不明瞭な形の心理的虐待とはどんなものなのでしょうか?

本日の記事では、どんな人間関係においても起こり得る目立ちにくいタイプの虐待のうち、4つの形態を見ていきましょう。さらに、被害者に及ぼされる影響を注視しながら、こういった虐待を見つけ出すのに役立つサインについても紹介します。

目立ちにくい、不明瞭な形態の心理的虐待

心理的虐待というと、明白に虐待だと分かる形態のものが話題にされがちです。しかし、不明瞭な方の虐待はもっと密かでわかりづらい場合が多いため、周囲の人々は加害者の意図を寛大に解釈してしまう恐れがあります。結果として、加害者が助けを欲しているように見えてしまう場合が多いのです。

研究によれば、不明瞭な形態の虐待の方が、身体的虐待などのより明白な痕跡を残すタイプの虐待よりも、頻繁に起こっているそうです。そして、前者の方が長期的に見てより根深いダメージを生じさせます。

わかりづらく 不明瞭 心理的虐待

攻撃性を特定する難しさ、抑圧された感情、そして虐待被害者が声をあげないことから、その後他者が介入する展開になるまでにかなりの時間がかかります。だからこそその状況から抜け出すことも、あるいは加害者と被害者の関係性を元どおりにすることもさらに難しくなってしまうのです。

不明瞭な形態の虐待は、一見「無害そうな」コメントに潜んでいるかもしれません。または、存在を無視したり、恐喝のような行為をしたり、被害者を操ろうとするなどの形で現れます。このタイプの攻撃性は、恋人同士の間でも、親子間でも、友人同士などその他の関係性においても生じる可能性があります。

また、こういった不明瞭な形態の虐待の特徴の一つとして、被害者の心に特定の感情やセンセーションが生み出されてしまうという点が挙げられます。被害者たちは概して、自分は愛されるに値しない存在だと感じたり、あらゆる状況に対して罪悪感を覚えたり、自分自身の幸福に全く関心を抱かなくなったりするのです。

1. サイレント・トリートメント(無視)

相手を無視することは、不明瞭な形態の虐待です。この虐待行為には、被害者に話しかけない、まるで被害者が存在していないかのように振る舞う、といった方法で相手を無視するという意図があります。これはわかりづらい恐喝の一種であり、加害者は自らの要求に相手が屈するまでこの行為をやめません。

無視という虐待行為には、加害者の心の未熟さやコミュニケーション能力の低さが如実に表れています。そして被害者の方はかなりのダメージを受けかねません。なぜなら、無視されることで恐怖や悲しみ、怒り、そして何と言っても不安感が生まれてしまうからです。なぜ自分がそんな扱いを受けるのかを理解できていないまま、その現状に陥ったのは自分のせいだと信じ込んでしまうのです。

2. ガスライティング

『ガス燈』というハリウッド映画の中で描かれる心理的虐待も、ことさら不明瞭な類の虐待行為です。その主な特徴は、虐待者が被害者を操り、自らの判断に疑いを持つよう仕向けるという点で、特定の出来事に対する自身の捉え方や記憶にまで疑念を抱き始める被害者もいます。

この形態の恐喝では、加害者は二人が経験した何らかの状況が被害者の妄想だった、あるいは被害者が意識的に、あるいは無意識的に事実を誇張した結果だったかのようにほのめかします。そのため、「本当に自分の記憶通りのことが起こっていたのだろうか」という疑いを持ち始めると、被害者は口論における自らの立場を守ろうとしなくなるのです。大抵の場合、ガスライティングは何度も繰り返され、被害者の自信は深刻なダメージを受けます。そしてその結果、いとも簡単に加害者から傷つけられてしまう立場へと追い込まれるのです。

こういった不明瞭な形態の虐待は、強い依存感情や離人症のような感覚、そして自分で自分が制御できないような感覚を引き起こします。ガスライティングの被害者たちは、気が狂いそうな感覚や自身の生活をコントロールできていないような感覚を訴えることが多いです。

3. 過保護

これは本来の「保護」とは全くの別物です。不明瞭な形態の虐待である過保護は、被害者を縛り付ける効果を持っています。つまり、過保護であることは被害者の自律性に有害だということです。さらに、これは育児のおろそかな形態でもあります。

過保護は、明確な境界線を設定する能力の低さに始まり、被害者が主導権を握ることを禁じたり、あるいはいかなる不満をも許そうとしない態度に至るまで、多様な形態で表出します。そういった行為が行われた結果、被害者は恐怖を抱くようになり、加害者に依存し始め、さらにはフラストレーションに耐えられなくなります。ご想像の通り、過保護によって被害者の日常生活には制約が課されてしまうのです。

4. 忠誠を巡る対立

これは、様々な文脈で起こり得る不明瞭な虐待の一種です。とは言えほとんどの場合、子どものいる元夫婦間(あるいは別居中の夫婦間)で生じます。離婚を経験した親たちの中には、何が何でも我が子の無償の忠誠心を自分のものにしようとする人々がいますが、どちらか一方への忠誠心が意味するのはもちろん、もう片方の親への不忠誠です。

そのため、子どもたちの面前で元パートナーの人間性を悪く言ったり、我が子を審判役にしたり、あるいは自分ではない方の親と楽しい時間を過ごしたことに罪の意識を抱かせたりする親が多いのです。

この種の虐待を受けた子どもたちには、不安感が生まれる、身体化が起こる、情緒の安定性が深刻に脅かされる、などの悪影響がもたらされます。

わかりづらく、不明瞭な心理的虐待:4つの形態

不明瞭な形態の虐待:少しずつ悪化していく傷

不明瞭な形態の虐待には、曖昧で一見すると虐待だとわかりづらい、という特徴があります。しかし、起こる頻度はこれよりも目立ちやすいタイプの虐待に比べて多いのです。また、長期的に見ると被害者が受けるダメージもこちらの方が深刻な場合があります。そういった悪影響が、虐待から抜け出した後に悪化する恐れがあるのです。

復習すると、サイレント・トリートメント(無視)は相手の行動を操るために被害者を無視するという虐待行為で、ガスライティングは被害者の自信を失わせるものでした。これらの虐待は恋愛関係にある二人の間で起きるのが一般的で、恐怖や怒り、不安といった感情が被害者に生まれる、という結果がもたらされます。

一方で、過保護および忠誠を巡る対立は親子間で発生することの方が多く、過保護な親たちは我が子の自律性を制限し、無力感を抱かせることに繋がるような過度の保護行為を行います。そして忠誠を巡る対立というタイプの虐待は、我が子にプレッシャーを与えてどちら側につくか選ばせるような親たちによって行われることがほとんどです。

不明瞭な形態の虐待は、岩に滴り落ち続ける一滴の水に例えることができます。つまり、塵も積もれば山となるということわざにもある通り、一つ一つはさほど有害ではないものの、時間をかけてダメージが蓄積されてしまうのです。

こういった、徐々に被害者を蝕むような虐待方式の一番の危険性は、見つけ出すのが困難だという点に潜んでいます。そのため、情報こそが予防のための最も重要な武器となってくれるでしょう。

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