ウィリアムズ症候群:症状、原因、治療法について

あなたはウィリアムズ症候群という病気について聞いたことがありますか?また、この病気が知的障害を引き起こすことをご存知でしたか?その他にはどんな症状が生じ、原因は何なのでしょうか?今回の記事でこれらの疑問を解決しましょう!
ウィリアムズ症候群:症状、原因、治療法について

最後の更新: 06 2月, 2021

ウィリアムズ症候群(WS)は珍しい遺伝子疾患で、発達障害やその他の症状を引き起こします。Puenteら(2010年)によれば、この病気を持って生まれる赤ちゃんは2万人に1人ほどです。

しかしながらGarayzábalとCapó(2009年)は、関連団体の普及活動やヒトゲノム研究の進歩によって発症率はそれよりもずっと高い数字が算出されるようになっており、具体的には約7千500人に1人であろうと伝えています(スペインのウィリアムズ症候群協会からもデータが示されています)。

とは言っても、ウィリアムズ症候群とは一体どんな病気なのでしょうか?その原因は?そしてどのように診断が下され、どうすれば治療できるのでしょう?また、ウィリアムズ症候群の子どもたちには特別な音楽の才能が備わっているというのは本当なのでしょうか?今回はこれらの疑問にお答えした上で、さらに詳しい情報についてもお話しします!

ウィリアムズ症候群 症状 原因 治療法

ウィリアムズ症候群とは?

前述の通り、ウィリアムズ症候群とは、新生児の7千500〜2万人に1人が発症する非常に稀な遺伝子疾患です。そして患者の多数に、心疾患や不安障害、身体的変調(筋固縮など)、そしてその他の症状が引き起こされます。

パーソナリティに関して言うと、この症候群を持って生まれる子どもたちはかなり外交的かつ過度に社会的な行動を見せます。

さらに、この症候群の中心的な特徴としてわかっているのは、特定の認知・発達障害を伴う軽度あるいは中度の知的障害が引き起こされるという事実です。また、ウィリアムズ症候群の人々は独特な顔立ちをしていることでも知られていますが、これについては後ほど見ていきましょう。

ウィリアムズ症候群の症状

知的障害

軽度あるいは中度の知的障害が引き起こされ、視覚的・空間的課題(パズルを解く、絵を描くなど)を行うのが困難です。さらに、精神運動スキルの欠損も見られます。

強調しておくべき興味深い側面としては、音楽のスキルや反復による学習能力、記憶力などは普通ダメージを受けないという点が挙げられるでしょう。事実、ウィリアムズ症候群の子どもたちの特別な音楽的才能を確認した論説や研究もいくつか存在しています。

心疾患

ウィリアムズ症候群の患者に起こり得る中でおそらく最も深刻な症状は、大動脈弁上狭窄症と呼ばれる心疾患(心血管疾患)でしょう。これは、心臓から他の身体部位へと血液を運ぶ役割をしている大血管(大動脈)が狭くなってしまう病気です。

この狭窄症が治療されないでいると何が起きるのでしょうか?そうなった場合、胸の痛みや息切れに繋がったり、さらには心不全にまで至る恐れがあります。狭窄症に加えて、NIH(アメリカ国立衛生研究所)によれば、ウィリアムズ症候群の人はその他の心血管疾患を発症する可能性もあるそうです。

パーソナリティの特徴とADHD

この症候群を抱える人々は外交的かつ非常に社交的でのびのびとしており、熱心でとてもフレンドリーです。人に対してとてつもない関心を抱いている傾向があります。また、この症候群からはADHDや不安障害、恐怖症などが引き起こされることも多いです。

独特な顔立ち

表現型(遺伝子型の形質)のレベルで見ると、ウィリアムズ症候群患者には以下のような顔の特徴が現れます(このうちいくつかは2歳から3歳の頃には明白になります)。

  • 顎が小さい。
  • 唇が分厚い。
  • 額が狭い。
  • 目の周りが腫れぼったい。
  • 鼻が短い。
  • 大臼歯部が十分に発達しておらず、頬が垂れ下がっている。

その他の症状

ウィリアムズ症候群患者は、他にも以下のような症状を示します。

  • 筋肉のこわばり。
  • 近視。
  • 便秘。
  • 脊椎の変調。
  • 腎臓内のカルシウム蓄積。
  • 低身長(他の家族と比べて)。
  • 不随意の、しかし自覚のある尿もれ。

ウィリアムズ症候群の原因は?

ウィリアムズ症候群は遺伝子疾患です。これはつまり、その根源が遺伝物質の中にあるということを意味します。99%の症例で、7番染色体上の特定の領域から遺伝物質が失われていることが病因となっていて、具体的には、7番染色体にある25以上の遺伝子のコピーが存在しない時、この病気が現れます。

欠損している遺伝子の一つに、エラスチン生成を担うものがあります。エラスチンとは血管やその他の組織を縮ませることのできるタンパク質です。そのため、この欠損によって皮膚の弛緩、関節可動、血管の狭窄といったウィリアムズ症候群の症状のいくつかが引き起こされます。

ウェブサイト「Medline Plus」によれば、大半のケースで、この病気に固有な遺伝子変異は胎児の元となる精子あるいは卵子のどちらかでのみ生じます。一方で、そのようにして変化した遺伝物質を有する人物が子を持つと、その子には50%の確率でその遺伝子変異が受け継がれるそうです。

診断方法

現在、最大95%のウィリアムズ症候群が、分子法によって診断可能になっています。中でも最も一般的な手法の一つが「蛍光 in situ ハイブリダイゼーション」と呼ばれるもので、これは、蛍光物質で標識した染色体上の目的領域にあるDNA断片に、医師が試薬を適用するという手法です。

一方で、ウィリアムズ症候群の症例を診断する際には、腎臓超音波検査、血圧測定、あるいはドップラー超音波検査と組み合わせた心エコーといった相補的な検査が行われる場合もあります。

治療

ウィリアムズ症候群には治療法がありません。しかし、症状や病気のもたらす影響の一部には、治療が可能なものもあります。心理学的レベル(発達障害や認知障害、そしてこれらの障害がもたらし得る情緒面の問題への働きかけ)もしくは理学療法レベル(例えば関節硬直へのアプローチなど)の治療が行われるほか、その他のタイプの治療も用いられます。

Morris(2017年)は、ウィリアムズ症候群についての論説の中で様々な治療オプションを提唱しています。今回はその中から医学的・外科的治療をいくつか紹介させてください。

心理学的レベルで言うと、Morris(2017年)は以下のような対応策を推奨しています。

  • 学習の問題に対処するための特殊な教育プログラム。
  • 行動障害や不安障害に対処するための介入プログラム。

最後に、その他のタイプの治療法には以下のようなものが挙げられます。

ウィリアムズ症候群 症状 原因 治療法

ウィリアムズ症候群:あなたは1人ではない

毎年多くの家族が、我が子がウィリアムズ症候群であるという現実を突きつけられています。一番辛いのは、何の警告も無しに突然その診断が下されることでしょう。そのため、こういった家族たちは始め、路頭に迷ったかのような無力感に打ちのめされがちです。ウィリアムズ症候群の子を持つ家庭の人々の頭の中には、常にたくさんの疑問が浮かんできてしまいます。

したがって、この新しい現実に向き合う上では適切なサポートが欠かせません。心理士やカウンセラーに助けを求めても構いませんし、病気の関連団体や、同じ状況を経験している他の家族との出会いの場を提供している組織などに頼るのも良いでしょう。

多くの国々にウィリアムズ症候群協会が存在しており、そこでは患者の家族をサポートするための多種多様なプログラムが用意されています。例えばオリエンテーション、カウンセリング、心理学的サポート、家族ミーティング、家族向け講座、そしてその他のサービスが受けられるので、家族は自信を持ってこの現実と向き合えるようになるでしょう。

したがって、必要であればためらわずに助けを求めるようにしてください!


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Garayzábal, E. & Capó, M. (2009). Aspectos comunicativos y lingüísticos en niños con síndrome de Williams con edades comprendidas entre 0 y 8 años. Madrid: Asociación Síndrome Williams.
  • Morris CA. (2017). Williams Syndrome. GeneReviews. Extraído de: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1249/.
  • Pober, B. R. (2010). Williams-Beuren Syndrome. The New England Journal of Medicine, 362:239-52.
  • Williams syndrome. (2014). Genetics Home Reference (GHR). Extraído de: http://ghr.nlm.nih.gov/condition/williams-syndrome.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。