ヤーキーズ・ドットソンの法則:効率と覚醒

· 2019年4月7日
ヤーキーズ・ドットソンの法則は、効率と覚醒の間には直接的な関係があるということを示唆しています。この法則では、高い覚醒レベルでは、ある程度まで個人の効率を高めてくれることが確立されています。

ヤーキーズ・ドットソンの法則は、効率と覚醒の間には直接的な関係があるということを示唆しています。心理学者のロバート・ヤーキーズとジョン・ディリンガム・ドッドソンは、1908年にこの法則を確立しました。

ヤーキーズ・ドットソンの法則では、 効率は生理的・精神的覚醒と共に向上しますが、それは一定の点までであるということを確立しています。興奮レベルが高すぎると、効率は下がります。この法則によれば、覚醒と効率を高める一番良い方法は、常に警戒状態に置くような課題を行うことです。

実験では、ヤーキーズとドットソンは、電気ショックによって、ネズミに迷路を攻略させることができると発見しました。しかし、衝撃を与えすぎると、効率レベルは下がって、ただ逃げようとするようになります。この実験では、覚醒レベルが目の前にある課題に注意を注ぐことを手助けするものの、一定の点までであるということが証明されました。

ヤーキーズ・ドットソンの法則

ヤーキーズ・ドットソンの法則の一つの例が、テストの前に感じる不安です。最適なストレス度であれば、テストに集中して、情報を覚えていることができます。しかし、不安を感じ過ぎると、集中する能力に影響します。これによって、情報を覚えておく能力が阻害されます。

もう一つのヤーキーズ・ドットソンの法則の良い例は、スポーツの効率です。スポーツ選手が重要な動きをしようとしている時、理想的なレベルの興奮度(アドレナリン分泌量)は 、効率を上げて、成功へと導いてくれます。しかし、アスリートがストレスを感じすぎていると、これによって時間がかかりすぎてしまうかもしれません。

理想的な興奮度は何で決まるのでしょう?この質問にはいくつかの答えがあります。課題によって、理想的な興奮度は異なるからです。

ライン

例えば、活性化水準が低いと、効率度も低下します。もし比較的簡単な課題を行っている場合、活性化水準に幅があってもやりくりできます。

コピーを用意したり、家事をしたりというような簡単な課題は、活性化水準の高さや低さにあまり影響を受けません。しかし、より複雑な課題の効率は、その高低さに影響を受けやすくなります。

人の興奮度が低すぎると、課題を進めるのに必要なエネルギーがないように感じるかもしれません。しかし、興奮度が高すぎても問題になり、集中力が欠ける可能性があります。

反転U型

ヤーキーズとドットソンが説明していることは、しばし、高まる興奮度と共に上昇し減少するベル型のグラフで表されます。これは、ヤーキーズ・ドットソンの法則が反転U型としても多くの人に知られている所以です。

課題の違いにより、カーブの形は変わります。簡単ですでに学んだ課題であれば、関係は単調で、興奮度と共に効率度が上がります。しかし、複雑で未知、あるいは複雑な課題では、覚醒と効率の関係が反転する点があります。つまり、興奮度が上がると、効率が下がるということです。

ドッドソングラフ

反転U型の上部は、興奮によるエネルギー効果を表わしています。その一方で、注意、記憶、問題解決などの認知的プロセスにおける覚醒(またはストレス)によって、下降していきます

反転U型によれば、適度なプレッシャーによって、人は最高の成果をあげることができます。圧力が強すぎたり、全くなかったりすると、その効率は場合によってかなり下がります。

グラフの左側は、人が挑戦に立ち向かっていない時、一生懸命課題に取り組む理由がない時、やる気のない注意力に欠けたふるまいで何かに取り組む時を表しています。

グラフの半分は、人が最大の効率度で活動している時、一生懸命取り取組もうとしているものの、あまり圧力を感じすぎていない時を示しています。

グラフの右側は、圧倒されて圧力に屈し始めている時を表わします。

影響力のある4つの要因

反転U型モデルは、状況に左右され人によって異なります。実際、このカーブに影響を及ぼす4つの影響力のある要因が存在します。技術度、性格、不安傾向、課題の複雑さです。

個人の能力度は、目の前にしている課題の効率に影響します。自分の能力に自信を持っているかなり鍛えられた人は、たくさんのプレッシャーがかかるような状況に適切に対処できます。しっかり習熟した答えを持っているからです。

さらに、人の性格もプレッシャーの扱い方に影響します。心理学者は、外向的な人の方が、内向的な人よりプレッシャーにうまく対処すると信じています。それゆえに、内向的な人はプレッシャーがない場合の方がより良い成果を出せると言えるかもしれません。

不安に関して言うと、本人の自信も状況に対処する方法に影響します。自信のある人とは、圧力がかかっていても落ち着いていられる傾向にあります。不安な人に比べて、自分自身の能力に疑いを抱いていないためです。

最後に、課題の複雑さも、効率に影響する要因です。コピーを刷ることは、エッセイや臨床報告書を書くことに比べたら難しくはありません。しかし、課題の複雑さは、人によって感じ方が変わります。

階段
最後に

100年以上前に発見されたヤーキーズ・ドットソンの法則は、今でも活用されています。実際、これはまだ研究されている分野で、特に仕事やスポーツの効率に役立てられています。

1950~1980年に行われた研究では、高いストレス度と高まったやる気や集中の間には相関性があることが証明されました。しかし、これらの研究では、この明白な原因に関しては確立されていません。

2007年、この相関性は脳のストレスホルモンの分泌に関連しており、記憶効率テストの際に測定された場合、このホルモン値はヤーキーズ・ドットソンの法則に類似したカーブを描くことが、研究者によって示唆されています。さらに、この研究では、ストレスホルモンがヤーキーズ・ドットソンの法則の原因であることを示唆しつつ、良い記憶力と効率のポジティブな相関性を証明しています。

  • Anderson, K., Revelle, W., & Lynch, M. (1989). Caffeine, impulsivity, and memory scanning: A comparison of two explanations for the Yerkes-Dodson Effect. Motivation And Emotion13(1), 1-20. doi: 10.1007/bf00995541
  • Broadhurst, P. (1957). Emotionality and the Yerkes-Dodson Law. Journal Of Experimental Psychology54(5), 345-352. doi: 10.1037/h0049114
  • Lupien, S., Maheu, F., Tu, M., Fiocco, A., & Schramek, T. (2007). The effects of stress and stress hormones on human cognition: Implications for the field of brain and cognition. Brain And Cognition65(3), 209-237. doi: 10.1016/j.bandc.2007.02.007
  • Yerkes RM y Dodson JD (1908). “The relation of strength of stimulus to rapidity of habit-formation”. Journal of Comparative Neurology and Psychology. 18: 459–482. doi:10.1002/cne.920180503.