夜食症候群とは?:その症状と治療法について

2019年9月6日
夜食症候群について聞いたことはありますか?この記事では、夜食症候群とは何なのか、そしてその治療について説明していきます。

夜食症候群は、摂食障害あるいは睡眠障害のどちらかに分類されます。どちらのカテゴリーに属するかは、患者が過度な食事をしてしまう時に覚醒しているか寝ている状態かで変わってきます。どちらの場合でも、夕食の後あるいは真夜中に、ハイカロリーで炭水化物の多く含まれた食べ物を好んで膨大な量を過食してしまうという症状があります。

ドイツの研究者、ズワーン、ミュラー、アリソン、ブレイラー、そしてヒルバートは、2014年に夜食症候群(NES)に苦しむ人は人口の1.5%に上り、深刻な健康被害を与えている、と推測しました。この記事では、NESの症状、原因、治療法についてさらに詳しく見ていきます。珍しい病気ではありますが、注目する価値があるほど深刻なものなのです。

夜食症候群(NES)とは何か?

アルバート・スタンガード博士は、1955年に世界で初めて夜食症候群(NES)について触れた人物です。精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)は、この病気をその他の特定される食行動障害または摂食障害(OSFED)というカテゴリーに分類しています。睡眠関連摂食障害はこれに似た病気ですが、その違いはNES患者は過食中起きているのに対し、睡眠関連摂食障害の人々は寝ている間に食べてしまう、という点です。

夜食症候群 症状 治療法

睡眠中に食べ物を食べたり自分のしていることに気づいていない場合は、それは夢遊病の一種として扱われます。これはレム睡眠中に起きる現象で、かなり深い睡眠サイクルを持つという特徴があります。この障害を持つ人は、身体だけが覚醒し、自分では気づかないまま衝動的に何かを食べてしまうのです。一見起きているように見えるかもしれません。彼らには冷蔵庫を開けたり、何かを噛んだり飲み込んだりすることができるからです。夢遊病患者のように、彼らには自分がしていることが全くわかっておらず、次の朝目覚めても何も覚えていないのです。

しかし、夜食症候群の場合は、その人物は症状がでる間常に起きており、自分のしていたことを全て覚えています。また、強迫的な食事の場合もありますが、それはいくらか自発的なものです。

夜食症候群の症状

夜食症候群は、夜間あるいは就寝前の強迫的な過食が頻繁に起こることによって簡単に診断がつきます。つまり、食物依存症のように見えるのです。たとえ食べたくないと思っていたり、体重を減らそうと努力していたとしても、彼らは夜になると過食してしまいます。自らの問題について認め、認識するのは、その人にとって容易なことではないとはいえ、彼らはこの行為をしている間、覚醒していて自覚もあるのです。

一方で、睡眠関連摂食障害はこれよりももっと診断が難しい病気です。友人や家族の誰かがその人物の睡眠中の過食に気づくか、自分自身で理由がわからないのに体重が増えて気づく、という場合が大半です。また、冷蔵庫から食べ物が消えていて、誰も食べた覚えがないという場合に気づくこともあります。しかし、この問題を抱える人々は食べている間深い睡眠状態にあるので、自分が問題を抱えていることには非常に気づきにくいのです。

どちらの場合も、特徴的なのは夕食後あるいは深夜の過食、そして強迫的なパターンの食事です。心理学者は、その他の心理的問題や精神医学的問題の可能性を排除して初めてこの診断を下します。

NESや睡眠関連摂食障害を引き起こすものは?

NESの場合、患者はうつ状態や不安から抜け出すために食べ物を利用します。彼らにとっては食べることが自らの問題に対処するコーピングメカニズムなのです。これは食物依存症に繋がってしまうだけです。NESを抱える人々は、食べることへの緊急性を感じてしまい、何かを食べるまで落ち着くことができないのです。

睡眠関連摂食障害(SRED)は、一方で、その人物が起きる時に発生する問題によって引き起こされます。彼らは覚醒する準備が整っていないにも関わらず起き上がってしまい、随意運動のシステムが活性化してしまいます。次にこれが、歩行、発話、食事といったやり慣れた行動を”自動化”させてしまうのです。このせいで、SREDを抱える人の大半が自分たちの行動に気づきません。彼らは過食をする間、自分が何をしているのか、あるいはどうそこまでたどり着いたのかわからないまま起きているということでしょう。

何れにせよ、この摂食障害は肥満傾向の人々により多く見られます。彼らには大抵ホルモンバランスの問題(メラトニンとコルチゾール)とセロトニンなどの神経伝達物質の不均衡を抱えています。これにより、特定の薬品によってこの障害を効果的に治療することができる、と様々な研究で示されています。こういった研究では、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)メラトニン(睡眠ホルモン)、そしてストレス応答を減少させる薬品が調査されました(ザップ、フィッシャー、デューシェル、2017年)。

一般的に、睡眠パターンや概日リズムの乱れが夜間の過食に繋がってしまう傾向があります。これらの障害の原因に関する研究はあまり多くはないのですが、専門家たちは不安障害やストレス、肥満、そして概日リズムの乱れなどの要因が原因である可能性が最も高い、と見なしています。問題自体ではなく、感情面にフォーカスしてしまうコーピング戦略もまた、強迫的な過食に関連しています。このタイプの摂食障害への心理的介入には、こういったコーピング戦略への対策も含まれるべきでしょう。

夜食症候群 症状 治療法

夜間の摂食障害の治療法

NESもSREDも、集学的治療アプローチが必要となります。患者の体重を減らすために栄養士が関わり、必要な薬を処方するために精神科医が、そして行動・感情・認知のレベルで問題と向き合えるように心理療法士が携わることになります。体重増加による身体への影響が単なる副作用ではないということを念頭に置く必要があります。この障害を抱える人々は、高レベルな不安とうつ状態を患っています。この問題を克服するために、彼らには心理学的な治療が必要なのです。

一方では、過食サイクルを打ち破るのに役立つような対策もあります。冷蔵庫や寝室のドアをロックする、あるいはベッドから起き上がってしまった時に目を覚まさせるような仕組みを作る、などといった対策が効果的です。

また、摂食障害が問題な場合、患者には不眠症対策のセラピーが必要でしょう。それは、食事が睡眠を手助けするからです。もし就寝前に食べることが許されなくなると、彼らは寝付けなくなってしまうかもしれません。いずれにせよ、夜間の摂食障害に苦しむ人々はこれを克服するために生活全体を変える必要があるのです。

de Zwaan M., Muller A., Allison K. C., Brahler E., & Hilbert A. (2014).Prevalence and correlates of night eating in the German general population. PLoS One, 9(5):e97667.

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Journal of Medical Case Reports, 11:275.