勇敢さとは、物事を自分の手で実現する力

28 10月, 2020
勇気を持つことで、人は恐怖など存在しないかのように振る舞うことができます。勇敢さとは、最悪な状況の中にあっても物事を成し遂げる力なのです。したがって、勇敢な人々とはすなわち幸福や自由を勝ち取るために変化を起こそうとする人のことを指すのでしょう。

どんなものを持っていれば、人は勇敢になれるのでしょうか?勇敢な状態とは、恐れがなく、決断する力や物事を実現する力が備わった状態を指します。

心理学では何年間にも渡ってこのテーマに関する研究がなされてきました。興味深いことに、勇敢さとは物事を引き起こす力というシンプルなものである、というのが関連学者たちの総意です。勇気を持つとは、困難な状況下でも、つまり他の人であれば諦めてしまうような状況にあっても、ポジティブな変化を生み出せるということなのです。

ポジティブ心理学の推進者であるマーティン・セリグマンも勇敢さについて語っています。セラピーが行われている間、最も治癒効果の高い要因として働くのが勇気であると彼は述べました。さらに、勇敢さは遺伝や教育、環境によって決まったり育まれているという点についても指摘しています。

多くの親たちは、人生に対する積極的な態度をゆっくりと子どもに教え込み、目標にたどり着くためには恐怖心を捨て去らねばならないということ覚えさせようとします。しかし幼少期にそういった教えを得られずに不安定な大人になってしまった人や、あるいはトラウマ的経験に苦しんだ過去のある人々には、残念ながらこの勇気が不足している場合が多いです。

その理由のために、セリグマンは勇敢さをセラピープロセスの間の不可欠な要因と位置付けているのです。専門家とセラピーに取り組み、過去の傷を克服する努力を重ねた後、患者の心には勇気が芽生えるはずです。そして変わることができた患者は、自分自身の目標の見つけ方を確実に学べていると言えます。つまり、自らの人生を変革させるモチベーションを手にすることができるのです。

こうなると、患者は自身の生活の主導権を握っているという感覚や、自分は安全な場所にいるのだという感覚をより強く感じられるような新たなステージへ到達することができます。

勇敢さ 物事 実現する力

勇敢さとは、望みを実現する力

一部の学術文献では勇気とは恐怖などの感情に対する幼少期の悪戦苦闘の結果として湧き上がるものだとされていますが、神経生物学的立場から言うと、これには扁桃体がもたらす影響の調整が関わっています。扁桃体とは、感情の中でも最も強烈な類のものを扱っている脳領域です。そして、これが活性化すると私たちは考えを巡らせることができなくなり、思考を支配されてしまいます。

また、勇気を持つことには前頭前皮質などの領域の強化も関わってきます。つまり、意思決定や深い思考、計画立て、そして恐怖や苦痛などの影響を受けずに外部環境からの刺激へ注意を向けること、といった機能に関わる領域です。実は、現在参照可能なこの種の行動に関する研究結果のほとんどが軍事関連の分野からの情報であり(Neria、Solomon、Ginzburg、Dekel、2000年)、非常に危険な状況下で英雄的行動をとった兵士たちの逸話から来ています。

リスクのある状況でも素早く反応するよう訓練を受けた若者の多くは、「私はただ冷静さを保ち、行うべきことを行っただけです」と言うそうです。しかし、一般人の場合はどうなのでしょうか?軍事訓練を受けなくてもヒーローになれる人などいるのでしょうか?

オックスフォード大学でUhri KugelとCatherine Haussman両博士によって行われた研究からは、非常に興味深いデータが明らかになりました。これについて詳しく見ていきましょう!

勇敢さはロマンチックに描写されることが多いが、実は認知スキルである

勇敢さとは、自分の手で変化を促して物事を実現する力のことです。さらに、苦境に立たされている中でも自身の目標に集中できる能力のことでもあります。ドラゴンと戦う映画の中のヒーローのようになる必要はないのです。勇気とは、誰もが学び、取り入れることのできる認知スキルであることが最近の研究で明らかになっています。

これは基本的に、恐怖心がある状態においても自らの意志を焚き付けて不確実性や疑念を見据え、それを踏まえて前進し、行動を起こすことで成り立っています。このような行動は、以下のような取り組みを行うことで獲得することができるはずです。

  • 不安感への適切な対処。自らを縛り付ける行動パターンを認識できていれば、行動を起こすために精神をリセットすることができます。
  • 心の動きに敏感になる。自らの感情との繋がり方を把握しておくことで、感情を変化させて自分の利益のために活用できるようにします。
  • 自分の価値観や生きる目的、そして個人的な目標が何なのかを覚えておくこと。
  • 勇敢さとは物事を実現する力である。大胆に挑むことで、望んだ目標を視覚化するための具体的な能力を鍛えることができます。
勇敢さとは、物事を自分の手で実現する力

勇敢さとは、より満足度の高い人生を送れるように希望を実現する力

Franco、Blau、Zimbardo(2011年)は、勇敢さを「個人的なリスクがあるにも関わらず向社会的に振る舞うこと(他人を助けたり他人の役に立つための行動)のできる力」と定義しました。しかし現在、この定義には批判的な見方が出てきています。なぜなら、勇敢さが常に他人を救うためだけに生まれるとは限らないからです。主に自分自身のために勇気が必要になる場合もあるはずです。

マーティン・セリグマンはすでに、セラピーを効果的なものにするためには患者が自らの勇敢さを目覚めさせなければならない、と指摘していました。これを言い換えると、患者は恐怖心や制約、不安を克服するために決断力を強めなければいけないということになります。こうすることでパワーがみなぎり、希望するものすべてを成し遂げられるようになるのです。そして自分自身に適した、満足感を与えてくれるような変化を推し進めて行けるはずです。

人間は信念と希望を糧にして生きているのだ、と言う人々がいます。しかし、真に現状を変革させるには行動を起こす以外に道はないのです。勇敢さとは、自分や他人にとってポジティブなことを促進するための情動や思考、そして感情が混ざり合ったものです。そのことだけは頭に入れておいてください。

  • Uri Kugel, Catherine Hausman, Laurie Black, and Bruce Bongar (2017) Psychology of Physical Bravery Psychology of Physical Bravery- Psychology, Social PsychologyOnline Publication Date: Jul 2017DOI: 10.1093/oxfordhb/9780199935291.013.36
  • Neria, Y. Y., Solomon, Z. Z., Ginzburg, K. K., & Dekel, R. R. (2000). Sensation seeking, wartime performance, and long-term adjustment among Israeli war veterans. Personality and Individual Differences29, 921–932. doi:10.1016/S0191-8869(99)00243-3