アクティブ・エイジングって何?

24 5月, 2020
アクティブ・エイジングは、歳を取ってからの生活に対する新たな考え方です。この中では、私たちが失っていくものとそれをどのように回復していくかだけでなく、シニアが持つ経験とその多大な価値について語られます。このように多くの功績を残していくシニア世代を、どのようにケアして守っていけばよいのでしょう?

人はそれぞれ違った歳の取り方をします。そこで世界保健機関(WHO)が勧めているのが、文化、社会、遺伝、育った環境などを考慮に入れた、この「アクティブ・エイジング」という考え方です。では、それはなぜでしょう?

この記事では、歳を取るとはどういうことなのか、そして歴史の中でその考え方がどのように進化していったかをご説明します。また、この考え方を取り込んだ社会への具体的な提案についても見ていきましょう

アクティブ・エイジング

年齢の取り方の歴史

年を取ることに対する考え方は、歴史を通して変化してきました。

  • 古代ギリシア:プラトンは、高齢期を前向きなステージであると『国家』の中で述べています。しかしアリストテレスは『弁論術』の中で、これを弱さと慈悲のステージであるとしています。これに加えて、高齢者を疑い深く気まぐれで、自己中心的でひねくれているとも特徴づけています。
  • キケロ:彼は高齢期を理解と理性の時期だとしています。さらに、歳を取ることに対して準備していくことの大切さも語っています。
  • ホラティウスホラティウスは、高齢期には様々なものに順応していかなければならないため、人生の黄金期とは言えないと提唱しています。
  • 中世:このころトマス・アクィナスは、高齢とは退廃の同義語であるとしています。
  • ルネサンス:この時代は、死からの逃避が特徴的です。更にこのころには、高齢者は衰退していっている存在だと考えられていました。高齢者がごまかしや奇術のエキスパートだと言う人もいました。
  • 19世紀:加齢について初めて科学的な研究が行われるようになり、高齢期に対する考え方が変わり始めます。
  • 20世紀:第二次世界大戦後、科学者たちは高齢者人口の増加に気が付きます。医療体制と技術の進歩のおかげで様々な感染症が克服され、人の寿命が大きく伸びたのです。

現代の老化

欧米で現在老化と言えば、介護職の人と高齢者を除けば、あまり気にされないものになっています。欧米諸国が高齢者で溢れているのは、社会が人々に若くいることを勧め、様々な製品、運動、美容整形などを使って、みんなが老化を防ごうとするからでしょう。

さらに、死について語られることがあまりありません。まるで死を認識するのが怖くて、話さないようにしているかのようです。また多くの国で高齢者が疎外され、ほとんどの人が家族から離れて老人ホームに住むようになっています。別の言い方をすれば、昔は高齢者の経験を尊重していたのが、今ではそれを完全に見くびるようになってしまったのです。多くの人が、自分もいずれは歳を取るということを考えたがりません。

しかしアジアでは事情が違います。例えば日本では、その知恵や知識から高齢者は尊重されています。ですので人々が敬意をもって高齢者に接するのです。

アクティブ・エイジング

WHOによると、アクティブ・エイジングは人々の健康を3つの側面から最善の状態にすることから成っています。

  • 身体面:体の健康に関係するあらゆることが含まれます。
  • 社会面:人々が作り上げるコミュニケーションです。例えば、険悪な環境にいると生活の質に影響してしまいます。
  • 精神面:私たちの感情的・認知的な部分です。

ポイントは、これら全てを考慮するということです。それは、高齢になってからのクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)と生産性を高め、健康に長生きできるようにするためです。

これはつまり、アクティブ・エイジングが健康を統合的に捉えることを強調していることを意味します。予防が生活の質改善に役立つことを考慮し、個人が経験する人生の全ての段階を含める考え方です。

アクティブ・エイジング

なぜアクティブ・エイジングが大切なのか

人々のウェルビーイングを様々な面から改善すると言う意味で、アクティブ・エイジングは私たちに欠くことのできない概念です。このためには、様々な部門に社会が働きかける必要があります。

  • 健康:介護・予防の両側面から考慮する。
  • 経済:高齢者が経済的に安定できるようにする。
  • 教育:病気の予防と精神を活発に保つこと。
  • 仕事:歳を取ったからと言って働けないというわけではない。

このために自分でできることが様々あります。自分の新しい生活システムを作り上げて、それに順応することです。高齢期とはとても包括的な概念であり、それぞれが出来る仕事も様々です。

それに加えて、アクティブ・エイジングは交通機関、居住環境、社会公平といった面を変えていきます。高齢者が社会に提供できることをきちんと評価し、彼らのニーズを満たす努力をすることで、より機能的な人材を社会に取り込んでいくことが出来るのです。

アクティブ・エイジングは全ての人々の問題です。社会の様々な部門が協力して、高齢期にある人々の生活を改善することです。今何歳であろうが、いずれはみんな歳を取ります。もし全ての人が協力できれば、アクティブ・エイジングは現実のものとなり得るのです。

Kalache, A., Plouffe, L. / Voelcker, I. (2015). Envejecimiento Activo. Un marco político ante la revolución de la longevidad.

Organización Mundial de la Salud. (2015)Informe mundial sobre el envejecimiento. Recuperado de: www.who.int