“愛の魔法使い”メーディアの神話

23 5月, 2020
メーディアの神話は古代の話の中で、もっとも美しい話のひとつです。メーディアは、愛や悪意から自分の運命にリスクを背負うことをいとわない魔法使いです。自立のモデルであり、不道徳な女性でもあります。
 

メーディアの神話は魔法使いの話で、主人公のメーディアは、決断力をそなえ、情熱に動かされる自立した女性です。メーディアが神話の中に初めて出現した時、彼女は女性らしさとは正反対のものを象徴していました。メーディアの神話が興味深く影響力が大きいのは、これが理由になっているのかもしれません。

メーディアの神話によると、メーディアは太陽神ヘーリオスの孫です。また、父親はコルキスの王アイエーテース、母親は海神の娘ニンフのイデュイアです。父親のいたコルキスには、金の毛の翼をもつ羊の毛皮、魔法の金羊毛がありました。

魔法使いメーディアは叔母であるキルケーから魔法を学んだようです。偉大な力の持ち主で、敵を動物に変える魔法の薬に関する知識を持っていました。また、薬草や医学の知識があり、病気を治すこともできました。

魔法使い メーディア 神話

恋するメーディアの神話

イアーソーンとアルゴナウタイがメーディアの父の国コルキスに金羊毛を求めて来た時、メーディアの神話は始まりました。女神ヘーラーとアテーナーは、道中この旅人を守り、また事がうまく運ぶよう女神アプロディーテに手助けするよう求めました。特に、王の娘であるメーディアにイーアーソンに恋を指せ、目的を達成させる手伝いをさせるよう求めたのです。

 

アプロディーテは、息子のエロースに得意技を使うよう頼みます。エロースは断りますが、母親から贈り物を与えられると説得され、魔法使いメーディアの心臓に矢を射ることを了承しました。矢が当たったメーディアは、イアーソーンに恋をし、自ら彼のミッションの遂行を支えます。

コルキスの王はイアーソーンに、いくつかの試験に合格したら金羊毛を与えると約束します。最初の試験は、口から炎を吹く牡牛を使って畑を耕すことでした。その直後、守護女神の助けもあり、イアーソーンとメーディアはヘカテの聖域の森の中で出会います。そこで英雄イアーソーンは、メーディアに助けを求めます。そして彼女と結婚して彼の故郷であるギリシャへと連れて帰ることを約束しました。

 

メーディアの助け

メーディアの神話によれば、メーディアはイアーソーンのために、炎を吹く牡牛に対して不死身になれる薬を作りました。さらに、突然現れた兵士に勝つためにも手助けしましす。また、金羊毛を守っていた龍を眠らせました。こうして、英雄イアーソーンは、課された試練を乗り越えたのです。

数年後、二人は有名なアルゴー船で出発します。父親の追跡を逃れるため、メーディアは同船していた弟アプシュルトスを殺害します。父親が彼の遺体を探すのに時間がかかるよう、アプシュルトスを切り刻み、海にまきました。こうしてメーディアは追究を逃れたのです。

その後、二人はイアーソーンの故郷イオルコスに到着しました。現地の人々は彼らを歓迎し、祝福しました。メーディアの神話によると、二人は結婚し、魔法使いメーディアは、イアーソーンの父を若返らせます。それは、彼が約束を守ってくれたお礼でした。ペリアースの娘、王位から追放されたイアーソーンの父親の兄もまた、父親と同じように若返りを望んでいました。

 
メーディア 神話

悲しい結末

しかし、メーディアは若い娘を騙し、ペリアースを若返らせるどころか殺害してしまいました。これにより夫婦は追放されてしまいますが、コリントスの王クレオーンに暖かく歓迎されました。メディアとイアーソーンは、その地で幸せに暮らし、2人の子どもをもうけました。しかし、イアーソーンは王の娘グラウケーを好きになり、妻から逃れる方法を思案し始めます。

イアーソーンとグラウケーの婚約を認めるようなふりをし、魔法使いメーディアは、王女にドレスを送ります。メーディアの神話によると、王女がこのドレスを身につけると、火がついたと言います。そしてこの炎は王を巻き添えにし、宮殿全体を燃やしてしまいました。後に魔法使いメーディアは子ども達を殺害し、アテナイへ向かいました。そこで王アイゲウスに歓迎され、二人は結婚し、息子メードスが生まれました。

数年後、メーディアは、アイゲウスの息子テーセウスが王位を継承しないよう、陰謀を企てます。テーセウスではなく、メードスが王になるよう謀ったのです。しかし王がこれを見破ったため、メーディアは魔法の雲に乗って逃げ出しました。そしてコルキスへと戻った彼女を、人々は許します。メーディアの神話によると、この魔法使いが死ぬことはなく、今もエーリュシオンの野で暮らしていると言われています。

 
 

García Gual, C. (1971). El argonauta Jasón y Medea. Análisis de un mito y su tradición literaria. Habis, 2, 85-107.