美女恐怖症:美しい女性たちを恐れる病

26 9月, 2020
魅力的だと感じる相手と交流せざるを得なくなった時に緊張を感じてしまうのは、いたって普通のことです。では、その緊張が本格的なパニック発作へと変わり、体が硬直してしまったら何が起こるでしょう?これこそが、美女恐怖症の人々が苦しんでいる症状なのです。

恐怖症の世界は限りなく広く多様で、本当に奥が深いものです。昔からあるクモ恐怖症のようなものから、長い単語を恐れる長大語恐怖症というもっと複雑なものまで、様々な種類が存在しています。珍しい恐怖症が多数ある中でも、本日は美しい女性を恐れるという美女恐怖症についてお話していきましょう。

美女恐怖症、あるいは美人恐怖症に苦しむ人々は、魅力的だと感じる女性を恐れてしまいます。ただ魅力的な女性が存在しているだけで、強烈な恐怖心と不安が引き起こされるのです。その女性と直接やり取りすることすらなくても、この症状は起こります。また、その恐怖の対象に対する特別な感情や性的関心の有無も関係ありません。

美女恐怖症の原語である「venustraphobia」という言葉は、愛と美と繁殖力を司るローマの女神「Venus」と、恐怖症を意味する「phobia」という言葉の組み合わせでできています。

皆さんも既にご存知の通り、恐怖症とは強烈で不合理な恐怖のことです。恐怖症を抱える人々は、自分に恐れを感じさせる物事を避けるためならどんな苦労も厭いません。しかし恐怖の対象を避けることができない人の多くは、大きな不安を継続的に感じながら暮らしています。

一般的に、美女恐怖症になるのは異性愛者の男性の場合が多いのですが、同性愛者の男性や異性愛者の女性にも見られる場合があります。また、大人にも子どもにも発症する可能性があります。

美女恐怖症 美しい女性たちを恐れる病

美女恐怖症の兆候と症状

前述の通り、恐怖症全般の、そして特に美女恐怖症の主な症状には恐怖症を引き起こす刺激への過剰で不合理な恐怖心が含まれます。美女恐怖症の場合、その刺激とは彼らが魅力的だと感じる女性です。

この恐怖心には通常、回避行動と多大な不安および苦痛が伴います。また、以下のような症状を経験する場合もあります。

  • 頻脈(心拍が速くなること)
  • 震え
  • 脚の震え
  • 冷や汗
  • どもり
  • 魅力的な女性と近くことに関連する危険性を過小評価するような不合理な思考。
  • 深刻な場合だと、めまいや吐き気、嘔吐さえもが現れます。

多くの恐怖症と同様に、美女恐怖症もこれに苦しむ人物の生活に大きな支障を与えますし、暮らしを制約する恐れもあります。

一度美女恐怖症の発作を経験すると、それが予期不安を悪化させてしまう場合が多くなります。つまり、魅力的な女性と遭遇しかねないあらゆる状況を避けようと、他人全体を生活から排除するほどにまで、極端な回避行動をとる可能性があるということです。

美女恐怖症を引き起こす原因は?

美女恐怖症の発生源は完全には明らかになっていませんが、本質的に複数の原因が存在するようで、幼少期のトラウマ的経験の結果であるとも考えられています。

その経験というのは、親の離婚からネグレクトをしたり無関心だったり虐待をするような母親と共に暮らした経験に至るまで幅広く、後者の場合その人物は美しい女性を痛みや苦痛、不快感と結びつけるようになります。

美女恐怖症を抱える異性愛者の男性や同性愛者の女性たちに関しては、シャイな人々や自尊心が低い人、あるいは劣等感を抱いているような人物が多いです。

こういった人々はしばしば、バカにされる恐怖や辱しめを受ける恐怖から、魅力的な女性たちと関わることに恥ずかしさを感じます。異性愛者の女性の場合、その美女恐怖症は競争心に由来している可能性があります。

美女恐怖症の治療

あらゆる恐怖症の治療として最適なのは、徐々に恐怖を引き起こす刺激に触れていくことです。まずは患者に不快感を感じる全てのシチュエーションを書き出してもらい、それをインパクトの少ない順に並べてもらいます。そのあと、リストに書いたもの一つ一つに少しずつ自身の身を晒していくのです。

そうしていくことで、患者はそれらのシチュエーションで感じる恐怖にゆっくりと慣れ始めます。そしてその恐怖が実現することは決してないのだと気づくことができれば、この感情は消えていきます。

もし、いずれかの時点で患者が恐怖心に圧倒されてしまったり、あるいはパニック発作を起こす場合には、その状況からいったん退避するべきです。しかし、それは一時的な退避にしなければなりません。セッションはできる限り早く再開する必要があります。

専門家は、強烈な恐怖心を感じている状況でも使えるようなリラクゼーションテクニックや呼吸法を患者に教えるように、とアドバイスしています。こうすることで、ただその場を離れる代わりに用いることのできるコーピング戦略を彼らに与えられるのです。しかしここで大切なのは、これらのテクニックが回避行動を隠すための手段になってしまわないようにすることです。

さらにセラピストは、自分はかなりの危険に陥っている、と患者が信じる原因の不合理な思い込みや認知の歪みを的確に指摘してあげねばなりません。こういった思い込みには認知療法で対処したり、その恐ろしい状況についてもっと理性的に考えるようサポートすることで対応できます。このためには、彼らの思い込みが正しいかどうかを判断するのに役立つ具体的な証拠を探させることが有効です。

関連する疾患の治療

美女恐怖症による制約が大きくなりすぎて、社交不安障害が引き起こされてしまった場合は、こちらの疾患も治療しなければなりません。恐怖症単体を治療するだけでは不十分です。

また、これは患者がうつ病を発症してしまった場合にも当てはまります。このように並存疾患が存在する場合、患者のクオリティ・オブ・ライフを向上させる唯一の方法は両方の疾患を治療することなのです。

“恐怖心はいつも、実際よりも物事を悪い形で見ようとする”

-ティトゥス・リウィウス-

美女恐怖症:美しい女性たちを恐れる病

考察

私たちは今、人間の姿形が賛美の対象となり、ほとんどの人が満たすことのできないような高い美しさの基準が存在する世界を生きています。身体的な魅力は、成功を示す最も重要なシンボルの一つと見なされることが多いですね。こういったプレッシャーが、例えば魅力的な女性は同じくらい魅力的なパートナーを見つけるに違いない、といった思い込みの数々を生み出しています。

自分自身を理想的な美しさと比較すると多くの人は落ち込んでしまいますし、自尊心を傷つけられてしまうこともよくあります。しかし私たち全員が、自らが持つ独自の素質を尊ばなければなりません。自分では不完全に思えるような特徴が、他の人が私たちを褒めるポイントであるかもしれないのです。

身体的な美しさは永遠に続くものではないということを覚えておかねばなりません。一方で、年老いて白髪頭になり、若々しい美しさは過去のものとなってしまったとしても、私たちの心と魂は変わらないまま残っているはずです。