どう感じるべきかわからないのはどうして?

感情は大抵の場合、外部要因に対する自動的な反応として生じますが、常にこれが当てはまるわけではありません。時には、どう感じるべきかが自分でもわからないということもあり得ます。本記事でその理由を解明していきましょう。
どう感じるべきかわからないのはどうして?
Elena Sanz

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz.

最後の更新: 21 12月, 2022

ほとんどの人が、感情の扱いには手を焼いています。自身の感情を表現するのが難しいと感じる人がいる一方で、感情を制御したり過剰反応をしないようにするのが非常に困難だと感じている人もいます。しかし、中にはもっとややこしいジレンマに悩まされている人々もいるのです。こういった人は、「何を感じるべきか」がわかりません。あなたもこの感覚を抱いたことがありますか? もしそうなら、あなたは気が狂ってしまったわけでもひとりぼっちなわけでもないということを知っておいてください。

とは言え、そもそもなぜこのようなことが起きるのでしょうか? 感情の持ち方がわからない人がいるという事実は、多くの人にとって信じがたく思えるかもしれません。何と言っても、感情というのは自動的に湧いてくるものですよね? しかし、この感覚を実際に経験したことがある方であれば、私たちの言わんとすることがおわかりいただけるはずです。

感情が湧いてきてくれないので選択肢が存在せず、反応したいと願いながらもどの方向に向かうべきかわからず無力感を感じる…。このような状態は非常に複雑です。しかし、大抵の事柄と同様に、これも機能不全的な学習の結果であり、私たちにはこの状態を変えることができますし、変えるべきだということを知っておかねばなりません。

どう感じるべきかわからないのはどうして?

どう感じればいいのかわからない:なぜこの状態が生じるのか?

毎日の生活の中の様々な状況において、私たちはこの奇妙な感覚に遭遇する可能性があります。例えば、学期末試験の成績を手にした時、赤点にならなかったことを喜ぶべきなのか、あるいは点数の悪さに不満を抱くべきなのかわからないという感覚がそれに当たります。そしてどう感じるべきか知るために、多くの場合周囲に手がかりを求めようとします。周りの人々は自分を祝福してくれているのか? 他の人たちにとってはそれほど大したことではないのかもしれないな? みんなはもっと良いあるいは悪い成績を取ったのだろうか?

また、このような状況は誰かからひどい扱いを受けたり何か傷つくようなことを言われたりした時にも生じます。自分は不当な扱いを受けているとわかっていながらも、悲しむべきか怒るべきかがわからないのです。相手のそばから立ち去りたいのか、もしくは物事を丸く収めるために話し合いたいと思っているのかもわかりません。

なぜ自分自身の感情がそれほどわからなくなってしまうのでしょうか? このような状況を頻繁に経験しているという人が、自分自身から切り離されてしまっているのは明白です。これはもはや、自分が何を感じているかわからないという状態ではありません。「感じる」という権利が奪い去られている状態なのです。こういった人々は、大人に成長していく過程で一度も親から「どう思う?」「どう感じる?」と聞かれた経験がなく、むしろ周囲の人々の様子に基づいて反応の仕方を決めていたのでしょう。

両価型愛着

どう感じるべきかわからない場合、それはおそらく、他人のために自分と自分自身の感情とを引き離す術を身につけてしまっているからでしょう。これは、親と子の間で両価型の愛着が形成されている時に生じる現象です。

両価型愛着が形成されるのは、親の感情パターンが予測不能な時です。このような親は我が子の欲求に同調することもあれば、別の時には受け身な態度だったり無関心だったり、あるいは迷惑そうなそぶりを見せることがあります。その結果、子どもは自分の手で制御することのできない予測不能な愛情環境の中で成長していくことになるのです。

加えて、両価型愛着により、子どもは他人に対して過剰なほど注意を払うようになります。そして大人へと成長していくにつれ、それが「自分に対する他人の期待に応える」ことへの欲求という形で表出します。「私が怒ったら、または悲しんだら周りの人々はどう思うだろう?」、「どの選択肢を選べばあの人たちに賛同してもらえるのだろう?」といった具合です。

自尊心の低い不安定な人々はよく、この種のパターンの犠牲となります。人を喜ばせようとしたり、周囲に馴染もうとしたり、あるいは正しいイメージを投影させようとする行為は、最終的に自分自身の重荷となるような無意識的行動の一部です。

どう感じるべきかわからない

どう感じるべきかわからない時は何をすれば良い?

まず、自分自身を責めてはなりません。自分を自分自身の感情から切り離し、外部世界にばかり注目するという行為は、あなたがずっと昔に生き延びるための方法として必要だったものなのです。ただし、現在あなたは完全に成熟した大人であり、だからこそ自分自身を優先させてこれ以上他人から拒絶されたり批判されたりするのを恐れなくて済むようにならねばなりません。感情の抱き方がわからないのであれば、それはあなたが自分自身に対して自由に感情を持つことを許してこなかったからなのです。今こそ自由な「感じ方」を学ぶべき時が来ています。

そのためには、自身の価値観や主義を知るところから始めると良いでしょう。あなたにとって絶対不可欠なものは何ですか? 自分自身や他人に関して、どんな基準を持っていますか? こういった問いかけは、どう感じるべきかを知る上で、そして誰かが自分の価値観や主義と反する行いをした時に自分がどう行動したいのかを知る上で、きっと役に立つはずです。

また、恐怖心を脇に捨て去ることも重要です。ここには、他人からどう思われるだろうという恐怖だけでなく、他人が自分の元から去って行くことへの恐怖も含まれています。周囲の人々というのは、怒りに反応する時よりも悲しみに反応する時の方が熱心になってくれるものです。そのため、本来心の奥底には怒りがあったとしても、あなたは悲しげで従順な人物を装ってしまうかもしれません。しかし、また別の時には、実際には怒りを感じていないにも関わらず、怒っているかのように振る舞い、自分を強く自信があるように見せようとすることもあり得ます。

他の人々のことは忘れて、あなた自身が本当に感じていることに耳を傾け始めましょう。最初はおそらく難しく感じるでしょうが、次第に自分自身と繋がれるようになっていきます。あなたには感情を持つ権利があるということを忘れないでください!


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