不安を測る心理テストISRA
不安には様々な形があり、また 大きなメンタルヘルス上の問題になっています。不安を検出するツールがなくては患者を正しく診断することはできません。今回ご紹介する不安を測るテストISRAには、他の不安に関するテストとは異なる利点があります。
構造的な特徴から、ISRAでは患者の不安に関し、非常に詳細で全体的な情報を得ることができます。これは、心理セラピーの各段階において非常に有益です。まず、患者の診断や、問題の機能的な分析がしやすくなります。そして後の段階では、治療の効果や進度を測定するのもに役立ちます。
不安を測る心理テストISRA
不安を測る心理テスト(ISRA)は、患者の不安度を評価することができる信頼度の高いツールです。このテストの特徴はその形式にあり、不安の状態と反応に焦点が当てられています。実際、不安の原因となる具体的な状況は22あるとされ、それぞれに対する反応もいくつかあります。
患者は、提示されたそれぞれの状況に自分を当てはめ、自分ならどのように反応するかを考えます。そして与えられた状況に対し、どのくらいの頻度でそのような反応を示すのかについても答えます。次は、一例です。
- 状況:難しい問題の多い試験に挑む、あるいは、重要な仕事の面接を受ける
- 反応:「自分が抱えている問題に気づき、自分の不器用さを人は理解してくれると思う」あるいは「考えすぎることが多く、決断できない」
試験や仕事において、どのくらいの頻度でこのように反応するか(自分の不器用さに気づくと考える、あるいは考えすぎる)を患者は意識する必要があります。状況と反応のどちらもシンプルで明確なため、このテストは簡単に行うことができます。
測定される不安要素
不安を測る心理テスト(ISRA)により、心理学者は問題となる不安要素を識別します。この不安要素は4つあり、それぞれに考えられる具体的な状況が当てはめられています。それでは、測定される不安要素とそれに対応する状況の例を見ていきましょう。
- 批判されるという恐怖や不安。例えば、皆の前で話すこと
- 性的、社会的接触の場。例えば誰かが患者の側にいて、両者の体が少し触れているとき
- 恐怖の場での不安。飛行機や船での移動など
- 一般的な生活の場。約束の時間に遅れるなど
これにより、患者がどのタイプの不安障害か、どのような具体的状況が引き金となるかを理解しやすくなります。さらに医療の専門家は、不安を感じる特定の状況に対し患者がよく行う反応を知ることができます。そしてこれを利用することで、個人に特化した治療の計画が可能になるのです。
不安の表象の3つの種類
この不安テストには、他のテストにない利点があります。それは不安の3つの構成要素を別々に測定できることです。その3つとは、認知(思考)、生理(身体的症状)、運動(行動)です。
ここで、興味深く、また知っておきたいのは、この3つには関連性がないということです。例えば、一人の人で、生理学的不安が強く不安な行動もいくらかみられるということがあります。ISRAでは、この3つそれぞれで反応を選ばせるため、患者はそれぞれの表出の頻度を示すことが可能になります。
- 認知 「自分に対しネガティブに考える」「自分は不器用だと思う」
- 生理 「手に汗をかく」「胃が痛い」
- 運動 「麻痺している」「どもる」
不安を測る心理テストISRAの利点
ISRAは、特定の状況に対する患者の反応を知ることができる完全な方法です。また、一般的な不安の度合いを測り、4つの不安要素の中でどれが一番問題になるかを知ることができます。
さらに、不安の表出のそれぞれの度合いをみて、患者と不安問題に関する幅広い情報を得ることが可能です。そして、このデータを用いることにより、問題の治療にどのテクニックを使うべきか理解しやすくなります。
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Miguel Tobal, J., & Cano Vindel, A. (2002). ISRA Inventario de situaciones y respuestas de ansiedad. TEA ediciones.
Cano-Vindel, A., & Miguel-Tobal, J. J. (1999). Evaluación de la ansiedad desde un enfoque interactivo y multidimensional: el inventario de Situaciones y Respuestas de Ansiedad (ISRA). Psicología Contemporánea, 6(1), 14-21.