「不信」にまつわる神経科学とその影響

2020年7月16日
専門家によれば、人間の文明が人々の不信感による影響を受けることは頻繁にあるそうです。人々はもう社会制度やそこから得られる情報を信用していません。特定のグループの人には特にそれが当てはまります。脳レベルで見ると、その全てが非常に具体的なタイプのストレスとして発現しています。

「不信」にまつわる神経科学では、人間の脳には危険や脅威的な刺激を検知する能力が先天的に備わっているということが示されています。そして実は、このメカニズムは近年もう少し進化しているようなのです。フェイクニュースをはじめとした特定の現象の数々が、不信による影響を強め続けています。

しかし、人類がどんどん何かあるいは誰かを信用しなくなってきているというのは真実なのでしょうか?その可能性は十分に高いでしょう。これによるメリットなど存在しないとしてもです。もちろん私たちはしっかりと地面を踏みしめて歩き、真実と嘘を選別するためのフィルターを持っていなければなりません。しかし、自分の生きる世界に対して確信が持てないことほど悲しいことなどありませんよね。そのような状態ではただ、他者との距離が遠ざかってしまうことになるだけです。不信感を抱いていると、社会制度を信じられなくなったり、陰謀論に傾倒するようになっていきます。

さらに、不信感が募っていくと心の健康状態も悪化します。これについて認識できている人はほとんどいません。人間の脳には危険や脅威を検知するメカニズムが備わっているとはいえ、他人との社会的な繋がりが実質的には優先されます。人類は、生存のために、そして交流したり笑ったり泣いたり何かを共有したり、そして建物を建築したりするために集団化しなければならない群居性の生き物なのです。

不信による影響は、ストレスを感じてしまうことと、他人と関わるのをためらわせるような壁が生まれてしまうことです。人間という生き物は、協力することで最大の力を発揮することができます。しかしそれは、前進に向けての共同作用と一機構としての信頼関係が組み合わされない限り実現できないのです。

“困難な状況にいる人間からの助言など決して信じるな”

-イソップ-

不信 神経科学 影響

「不信」にまつわる神経科学と影響

不信にまつわる神経科学とは一体どういったものなのかを理解するために、例を挙げてみましょう。例えば、少なくとも一回もフェイクニュースに騙されたことのない人などいるでしょうか?誰かから文章が送られてきて、あなたはそれを読みます。内容に驚き、あなたはそれを本物だと考えて別の人に転送します。するとすぐにこれが偽物の情報だったことが判明し、あなたは騙されたように感じるのです。そのため、非常に苛立たしい思いをすることになります。

しかしこのような事態がさらに何回か起きると、変化が見られます。あなたは疑い深くなり、受容性を失っていくのです。なぜなら、心の深い部分で何かが変わってしまったからです。

同じようなことが、人間関係においても起こります。誰か大切な相手から信用を脅かすような行為をされると、あなたは怒りや苛立ちを超えた、ある種ナイフで刺されたかのような感覚を感じる場合があります。ここであなたが本当に経験しているのは、心の痛みなのです。

これら二つの状況から、感情が脳レベルで変化していることがわかります。そのため、ネガティブで不愉快な感情によって弊害を受けてしまうのは気分や機嫌だけに留まりません。

あなたは行動までをも変化させる場合があります。これは、ニュースを信じることに関してより注意深くなってしまい、主にこれ以上失望するのを回避するために人々を信用できなくなるためです。確かに、これだけ聞くと特に問題は無いように思えるかもしれませんが、不信にまつわる神経科学は一体何を指摘しているのでしょうか?

信用と不信とでは、影響を受ける脳の部位が異なる

脳には、信用するための部位と疑うための部位がある点についてお話ししていきましょう。前者は前頭前皮質という、高度な思考を処理したり、注意力や塾考、演繹、識別、共感などの実行機能が処理される領域に存在しています。

  • 誰かあるいは何かを信用することで、オキシトシンといった強力な神経物質が脳内に放出されます。これは、人間にとって最も超越的な現象の一つだと言っても間違いではないでしょう。他人を信用することは心地良い行為なのです。
  • また、不信にまつわる神経科学からは、この状態はもっと原始的なメカニズムに由来しているということが示されています。人間がこの状態を経験すると、扁桃体と大脳辺縁系の他の領域が活性化します。
  • 脳が不信を経験すると、ストレスを経験した時と同じようなことが起こります。コルチゾールが放出され(これにより批判的な感覚や深く考えるための感覚が失われます)、共感が起こるような状態になるのです。

不信感を抱くと、人は注意深くなります。しかし一部のケースでは、熟考や推論の能力が無くなったり、広い視野で物事を見ることができなくなったり、柔軟性が失われてしまう場合もあるのです。さらに、信用できない対象を遮断しようとして攻撃的な行動に及んでしまうことすらあり得ます。

不信 神経科学 影響

「不信感が溢れる世の中」において取り組むべき部分

実際に、あなたも不信が支配する文化のなかで暮らしていて、読んだり聞いたりしたことを信じるのが難しい、と感じていらっしゃるかもしれません。しかしこの記事の冒頭で述べたように、このような捉え方はただ悲しいだけでなく、あなたにとっても社会全般にとってもかなりネガティブな影響をもたらしてしまいます。

そのため、これを逆転させる必要があることを、不信に関する神経科学では指摘しています。脳は不信感をストレスと同じように経験するので、それによる大きな代償を払う羽目になってしまうのです。周囲の人や日々のニュース、国の党首、そして公的機関を信用できない状態により、あなたは常に不安と苦痛を感じる状態に陥ってしまいます。そして四六時中自分を守ろうとする姿勢でいなければならなくなるのです。

不信による影響への対応

  • 信用しない対象は、特定の状況や人物のみに限定しましょう。主に、すでにトラブルのあった相手やあなたを失望させたり騙したことのある相手のみにしてください。不信感を一般化するのはやめましょう。
  • 「全か無か」のアプローチで全てに対処できるわけではありません。人も社会も完璧なわけではなく、誰にでもミスを犯す可能性はあります。また、一度誰かに見捨てられたからといって、それが彼らのいつものやり口とは限らないのです。
  • あなたが信用しなくなると、他人もあなたを信用してくれなくなります。つまり、信用するという行為は他人に対する最も真摯な態度なのです。
  • 同調圧力に屈しないようにしてください。周りの人から不信感をたきつけられたり、耳や目や心を閉じて物事や人々を遮断するよう奨励されてしまうことは多いかもしれません。しかし、自分自身で考えるようにしましょう。

最後に、困難な状況下では、互いに信用し合うことほど重要なことはありません。信用する心は人間にとって酸素と同じくらい大切なのです。信用し続けられるのはあなたしかいません。思い切ってもう一度チャレンジしてみてください!