がん患者を支える

2018年3月9日 in 心理学 0 シェア済み
二つの領域

がんは予知されることなく、私達の前に現れます。この病気は急に私達の日常に入ってくるのです。それは誰もが見たくない病気です。しかし、がんと診断される可能性は誰にでもあります。そして、なんで私なんだろう?なぜ人生にはこんなに苦しいことがあるのだろう?と何百もの質問を自分に問いかけます。がん患者を助けることはとても複雑なのです。

がんは治療が終わっても、その人の精神的・肉体的な健康に影響を与えます。ここで現れる最も一般的な症状は、診断結果やがんに関わることなどから起こる疲労と心理的ストレスです。また、うつや不安、身体の弱体化、そして注意力と記憶の障害もあります。

「一度がんに立ち向かうことが出来れば、その他のことはとても簡単な闘いに感じるだろう。」

-デイヴィッド・H・コッホ-

サポートに生まれる落とし穴

痛みほど唯一無二なものはありません。そして、経験ほど個人的なものもないのです。「ダメージは避けることが出来るが、痛みは出来ない」とあり、感情的、そして身体的痛みは、心で全て対処できるものではありません。そして、そこには矛盾が生まれます。体が傷ついてない時は静寂ですが、心は静寂な時に痛むのです。がんと闘うのは非常に厳しいもので、その病気とどのように直面するかを決める権利を尊重するのは必要不可欠なのです。ですので、敗北や疲労などの気持ちも含んだ患者の感情としっかり向き合えるように支えましょう。

私達は、患者に励ましや慰めを与える為にサポートする意欲を見せます。しかし、それを実際に達成できず、気づかない内に高い期待だけを生み出してしまうことがあります。あるケースでは、私達が相手に愛情を表すことで「楽観主義」的なイメージを相手に与えてしまいます。患者やその家族が持っているような熱意と強さで病気に直面しなければいけないのです。がんはとても辛い経験です。いつも元気づけようと楽しそうな顔を作る必要はありません。痛みや恐怖を残してもいいのです。

サポートをしたり、愛を与えることはとても大切です。しかし、しかし発言には気をつけなければいけません。そうすることで、サポートの極端な例が患者の肩に重くのしかかるのを防ぎます。また、患者を「ヒーロー」に仕立てるのは間違いです。この病気に立ち向かっているだけで十分な負担になっているのです。彼らは私達のサポートが必要で、彼らの痛みに気づき、感情を受け入れて、努力を認めてあげないといけません。そして、彼らに耳を傾けてニーズを満たしてあげるのです。それこそが、私達に出来る最高の支援となります。

同様に、患者の家族にも怒りや疲れ、痛みなどの気持ちを吐き出すスペースを作ってあげましょう。家族として、一緒にその病気に立ち向かっていることを「誇り」に思わなくてもいいのです。もちろん、サポートしてあげることは大切ですが、しっかり息抜きが出来る空間を与えてあげるのです。

髪が蝶で、手に鳥を乗せた少女

生存への脅威

がんと診断されることは、非常に大きなストレスを生み出します。がん患者には主に6つの恐怖があります。それは、死、誰かに依存すること、障害、生活の混乱、不快感、そして、外見への不安です。情報を受け取ることは必須で、ニーズに合った適切な情報を受け取っている患者は、治療過程でより良い管理が出来て、治療により協力的、そして積極的になります。これは、確証の欠如があるほど、不快感が大きくなるということです。

そしてその情報は現実的でなければいけません。一番の目的は病気の処置に関係した疑問を解決することなのです。しかし、そこで確証のない期待や理想を植え付けてはいけません。これは無条件なサポートを示す時に、つい確証をチェックせずに起こってしまいます。いつも何かを言ってあげる必要はないことを覚えておきましょう。相手のニーズを聞いて、尊重してあげましょう。沈黙は理解と愛情を表す一つの方法なのです。

「あなたはがんの被害者、または生存者になることができます。それは考え方次第です。」

-デイブ・ペルザー-

対処のスタイル

時には、愛している人の病気に対する反応を理解することは簡単なことではありません。苦しく複雑な状況に直面した時は、自分の行動を理解することも難しいのです。様々な状況をコントロールすることは私達を疲弊し、何をすればいいのか分からない時は相手の気持ちを汲みとることにストレスを感じてしまいます。私達は他人も自分自身も苦しめたくないのです。

病気の対処法はその人の持つスタイルと一緒に行わなければいけません。このスタイルはその人の思考パターンと性格パターンによって決まります。一般的にそこには5つのスタイルがあると言われています。

挑戦

ある人達は、がんを挑戦として捉えます。「自分がこの人生を管理してメンテナンスしなければいけない、自分に出来ることを決めなければいけない」と考えており、彼らにとって、がんと診断されることも挑戦なのです。彼らは自分のコントロール次第で状況を管理出来る、そして、楽観的な考え方が持てると考えているのです。多くの実用的な情報を求め、何が自分にとって役立つかを探します。

海岸を歩くがん克服者

回避

このスタイルを持つ人は、病気が影響するネガティブなものを否定する傾向があります。「そこまで悪いことではない、大丈夫」と自分に言い聞かせ、恐怖や深刻さを軽減するのです。挑戦スタイルを持つ人と違い、コントロールすることには注目せず、楽観的な見通しを持ち、病気の影響を過小に捉えるのです。このような人は薬物乱用に走る可能性も持っています。

運命

この人達は受身な態度をとります。「全て医者の手に懸っている。」、「神のみぞ知る。」と放棄するのです。彼らは脅威をそこまで深刻に捉えず、自分以外に管理力を託すようになります。(医師や神様)また、彼らは対処法に頼らず、新たな問題を抱える傾向があります。

無力

このような患者は圧倒されすぎて、「私に出来ることはない、死ぬのを待つだけだ。」無力になるのです。そして、彼らはがんを非常に深刻な脅威と捉えるのです。その為、彼らは状況を管理出来ないと感じ、医者などの第三者も信用しないのです。この患者は良い食事や衛生環境などを放棄し、気分障害などを患うことがあります。

不安

この人たちは心配や不安に強い反応を示します。「どんな症状があるのか、自分に出来る事は全て実行しないといけない」と考え、大きな脅威や克服可能か分からない状況に疑問を感じるようになります。また、彼らは未来についてあまり考えられません。その結果、安心する為に絶え間なく情報を必要とします。このスタイルを持っている人は、不安障害などを抱える傾向があります。

「がんは文章ではなく、言葉です。」-ジョン・ダイアモンド-
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不安な女性

生活の質

生活の質を理解する為の3つの基準があります。1つ目の基準は、主観です。一人一人がユニークで、経験や熱意、そして趣向を基に生活の質に価値観を持ちます。2つ目は多次元的であることです。つまり、この病気の広範な影響とその治療法を考慮する必要があるということです。そして最後が一時的でであることです。生活の質は現在の状況に依存するので、状況によって変化します。

生活の質はいつも病気と密接な関係があり、患者は生き残りたいのではなく、生活がしたいのです。これは、患者の持つ活動や規律のレベルも考慮することも意味します。同様に、病気や心理的な状態(不安、うつ、自尊心など)の影響も考慮する必要があります。

また、社会的な面も忘れてはいけません。社会的な関係に満足感を感じることやサポートネットワークを持つことはとても大事です。スピリチュアルな生活も同等に大切です。そして、最後にお金や医療ケアなども大事な要素となります。

患者のニーズを考慮することは必要不可欠です。彼らの価値観や望みを基にした決断を尊重し手伝ってあげることは、彼らが抱えている困難な問題や状況を克服することに繋がります。人生に年月を費やすのでなく、年月に人生を与えることが大切なのです。

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