兵士が患う病:心的外傷後ストレス障害

05 1月, 2020
個人が成長するためには、ある程度の耐え得るレベルのストレスを感じるのは正常であり、不可欠ですらあります。しかし、このストレスが対処できないくらいの高いレベルに達してしまうと、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症してしまう場合があります。これはまた、兵士の病としても知られています。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)という用語は、1980年代に導入され、このとき初めて、アメリカ精神医学会の診断分類ガイド(DSM-ⅠⅠⅠ)にも含まれました。それまで、いわゆる”兵士の病”の定義やカテゴリーはしっかりとまとめられていなかったのです。

第一次世界大戦後、医師たちは兵士が患った戦闘体験のストレスに関わる病気を”努力症候群”と名付けました。そして第二次世界大戦後には、これは”外傷性戦争神経症”と呼ばれるようになります。

ベトナム戦争の際には、その呼び名は”戦闘ストレス反応”から”成人期適応障害”、そして”ポストベトナム症候群”へと変わっていきました。ベトナム戦争後、社会的圧力により専門家たちはこの概念を再定義するのを余儀なくされました。それがPTSDという用語の起源です。そしてPTSDは、不安障害グループの中の主要な診断形態と認識されるようになりました。この記事では、PTSDを兵士が患う病として、軍隊的枠組みの中で見ていきます。

兵士が患う病 心的外傷後ストレス障害

兵士の病、PTSDの定義と起源

人間誰しもが、生活の中でストレスフルな状況やトラウマを残すような状況を経験するはずです。しかしそのストレスが特定の性質の、強度の強いものになると、精神構造に突如として全体のバランスを乱すような影響を与えてしまいます。また同時に、個人の適応能力や防衛能力が阻害されます。つまり、あらゆる面で対処できないような、適応するための反応ができないような状況に陥ってしまうのです。その結果、精神的外傷を与えるようなストレスが猛威を振るい始めます。

兵士の病、又の名をPTSDという状態の原因は、精神的外傷を引き起こすような経験や環境です。PTSDは、個人の精神や身体状態を深刻に脅かすような外傷性ストレスに晒されることで進行します。また、恐怖心への主観的知覚や、前述の状況への対応能力の欠如も関連しています。

以下のような様々な要因が、PTSDが進行してしまうか否かに関わってきます:

  • 精神的外傷の強さや深刻さ。患者の命や心身の健康、そしてアイデンティティを脅かす危険性の高さ。
  • トラウマ的出来事にどの程度晒され、密接に関わっているのか、その度合い。
  • トラウマ体験の繰り返し。ストレッサーに何度も対処しなければいけない場合、PTSDの発症に至るまで耐久力や適応力が弱まってしまいます。
  • その人物が晒されている精神的外傷の種類。

症状

不安、抑うつ状態、罪悪感、そして苦悩などが主なPTSDに一般的な症状です。中でもこの兵士の病に最も特徴的な症状は、四つのカテゴリーに分けることができます:

侵入性記憶:フラッシュバックと悪夢

精神的外傷を引き起こした出来事を何度も追体験する、という症状が非常によく見られます。その情緒および身体への衝撃の大きさは、初めてその出来事を体験した時くらいリアルです。いかなる日々の出来事もフラッシュバックを起こす引き金となり得ます。特に、それがトラウマと何かしらの関連がある場合はなおさらその危険性が高まります。

回避行動

常にトラウマを追体験してしまう状態は、かなりの混乱を生みます。PTSDを抱える人々は、その体験を思い起こさせるような人間や場所を避け、トラウマについて話そうとしません。自らの感情を否定し、苦しみを回避するために全てをシャットダウンすることが痛みに対処するための一つの方法なのです。

過覚醒

PTSDを抱える人々は、異常なほどに敏感です。また、常に自衛体制を取っています。彼らは自分は常に危険に晒されていると感じているのです。さらに、過覚醒状態もよく知られた症状です。

認知、気分、そして行動の変化

PTSD患者は、周囲の人々や自分自身に対してかなりネガティブになってしまいがちです。彼らは罪悪感を感じており、ポジティブな感情を持つことができません。攻撃的あるいは暴力的になってしまうこともあります。また、イライラしやすく、無分別で、無鉄砲な態度をとりやすい傾向もあります。

軍人とPTSD

軍隊の特徴のいくつかが、PTSDという兵士の病に関連していたり、影響を及ぼしています。また、以下のような要素が症状を悪化させ、医療の介入を困難にさせる恐れがあります。

  • 軍事訓練。こういった訓練では、過度に警戒心を持つことが要求されます。そのため、PTSD患者が暴力的になった際には非常に危険です。
  • 権威を尊重できないという問題。これにより、当局の変化を受け入れるのが困難となったり、兵士の考える”適切な”経験のない人物を受け入れなくなる可能性があります。
  • 家庭への帰還。軍隊にいる人間が帰省すると、見捨てられたような気持ちや罪悪感、そして絶望を感じてしまうことがしばしばあります。もはや自分は昔の生活には馴染めないと感じてしまうのです。また、戦争で友人たちが亡くなったにも関わらず自分は生き残ったことに対して罪の意識を抱いている場合もあります。
  • 厳しい戦闘の記憶。彼らの経験した残忍な状況の記憶が、絶えずつきまとうことがあります。
兵士が患う病 心的外傷後ストレス障害

臨床介入

軍事関連のPTSDの治療は、精神的外傷の元となる出来事の直後に開始するのが最も効果的です。これは、苦痛や発症し得る関連障害の抑え込みに役立ちます。そのための一般的な手法の一つが、”デブリーフィング“と呼ばれるものです。これが、彼らを統合させ、グループで共有したトラウマへと意識を向けることにつながるのです。

心理教育もまた、不安感などの症状に効果のある重要なツールです。また、戦闘で目にする恐れのあることに備えるためのツールとして、心理療法訓練も役立ちます。

最後に、心理療法で最も大切なのが、個人個人に適した内容であることです。グループで行うものも個人的に行うものもありますが、グループが皆同一の体験を有している場合は、前者もかなり効果的だと言えます。

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