生きている意味を見失ったら?:苦しみを越えて

2019年9月7日
生きている意味を見失ってしまった時こそ、自分自身の真の道筋を見つけるために、内なる自己と向き合って変革を遂げるチャンスです。

人生には、疲れ果ててしまい、自分自身にある”大きな”問いを投げかけてしまう時期が何度か訪れます。なぜ私はここにいるの?私の人生の目的は何?私がしていることは正しいことなのだろうか?死んだら何が起こるのだろう?これらの問いの具体的な中身は人によって異なるにせよ、生きていれば誰もがこのような実存的危機を感じたことがあるはずです。

実存的危機は、人生のどの時期に起こってもおかしくはありませんし、裕福な人でも貧困な人でも経験するものです。物質的豊かさとの関連はありません。

この危機は、物事が制御不能になっている、と感じた時に生じる傾向があります。それは絶対の確信を持っていた事柄が突然不安定になってしまうという感じです。その他の危機的状況と同様に、実存的危機も苦しみを伴います。しかし、その危機の中から意味を見出し、痛みや苦しみを乗り越えることも可能なのです。このことについてもう少し詳しく掘り下げてみましょう。

“もはや状況を変えることができないという事態に陥った時、私たちは自分自身を変えるよう試されているのだ”

ヴィクトール・フランクル

生きている意味を見失ったら?:苦しみを越えて

実存的危機とは?

実存的危機とは、自分自身の存在意義について問いかけてしまう瞬間のことを指します。いつ起こるかは予測不能で、人生観に影響を与えます。こういった瞬間が訪れると、最も強い信念の基盤ですら揺るがしかねないような問いかけをしてしまいます。

実存的危機に陥ると、たくさんの思考や感情が溢れてくる傾向があります。つまり、認知の面や感情面にかなり強い影響が出てくるのです。それほどたくさんの新たな感情や知覚に向き合うと疲れ果ててしまいます。だからこそ、多くの人が実存的危機はネガティブなものだと考えるのです。

さらに、実存的危機がアイデンティティの危機に関わっていることも多々あります。一体自分は何者なのかという疑問を持ち始めた時、同時に生活に関わるあらゆるものやあらゆる人々を疑い出してしまうのです。

実存的危機に気付くには?

実存的危機の主な特徴が、空虚感を感じることです。これはこの危機にだけ限定される感情というわけではないのですが、非常によく見られます。以下のような症状によっても、自分が実存的危機に陥っているかどうかを判断することができますよ:

  • 意味を見失う。人生の方向性がない。私生活にも個人的な世界にも意義が欠けてしまっている。
  • 不安感。不安を感じてしまい、生死や善悪などについて問いかけてしまう。
  • 感情面の不安定さ。行き場のない思考や感情に支配されてしまう。
  • 自分の感情に対処することができない。何をすべきなのか、自分が何者なのか、あるいは物事の目的などがわからなくなってしまい、自らの責任を受け入れられなくなったり意思決定するのが困難になる。
  • 不満感。
  • 不眠の症状。

もちろん、症状は人によって異なります。一人一人が固有の存在ですので、この経験もそれぞれ異なるものになるのです。さらに指摘しておくべきなのが、実存的危機は鬱などのその他の精神疾患とともに現れる可能性があるという点でしょう。とは言え、実存的危機に陥ったからといってそれが必ずしも鬱に繋がるというわけではありません。

この危機を有効活用しよう

実存的危機はかなりの疲労を伴うものではありますが、自分のために有効活用することも可能です。全ては、それまでとは異なる観点から物事を見るということなのです。自分自身の潜在能力を見積もり、良い方向に進めるよう活用していかねばなりません。

オーストリア人神経学者で精神科医のヴィクトール・フランクルは、実存的危機をこのように見なすことを推奨しています。彼は、人には困難な状況を乗り越え、苦境を克服する能力があるのだ、と提唱したのです。そのためにはまず、この実存的危機という状況について、そして自分の存在という全般的な意味について知る必要があります。

フランクルは、ロゴセラピーという心理療法の創始者です。このセラピーでは、人間を動かす力は生きる意味の探求なのだ、と主張しています。また、彼は人それぞれが独自の存在であり、比較することはできないので、つまりプロセスも個人によって異なるのだ、と考えました。

生きている意味を見失ったら?:苦しみを越えて

ヴィクトール・フランクルのロゴセラピー

このセラピーは、人生の目的を解明する手助けとなりますので、その結果生きている意味も見つけやすくなります。カギとなるのは、苦しみを乗り越え、実存的危機を自分が何者であるのか探求し、前進するためのチャンスと考えることです。

ロゴセラピーは歴史が古く、常に効果的なセラピーであり続けてきました。現代の心理学・心理療法におけるロゴセラピーの一例として、イラン人学生と鬱に関するこちらの研究が挙げられます。

また、ロゴセラピーは、自分はこの感情の怒涛の襲来の犠牲者である、という考え方を止めることにも役立ちます。代わりに、この機会を自らの困難から立ち直る力を強める機会として捉えることができるのです。つまり、苦しい状況を乗り越える能力を身に付けることができるということです。

視点を変えることができれば、それまでは見落としてしまっていた概念や考え方、そして資質などに気づくことができるようになります。さらに、この危機は生きている上で避けがたいものであると受け入れられれば、苦しみを平静心に変えることもできるかもしれません。

微塵も恐れることなく実存的危機を乗り越えることはほぼ不可能です。ですから、無駄に抗おうとして消耗するのではなく、受け入れる努力をし、探求し、なぜこの危機が起こったのかについて、また、これを克服したら自分はどこへ向かうのかについて解明しましょう。

実存的危機は人生の一部です。対処法を学ぶのは個人的によって異なるプロセスとなりますが、これを学習の機会と見なすのは全ての人にとって健全な戦略であると言えるでしょう。最も重要なのは、かつてないほど強い自分になってこの危機を抜け出せるよう、苦しみや疑問を超越することです。

  • Gengler, J. (2009). Análisis existencial y logoterapia: bases teóricas para la práctica clínica. Psiquiatría y salud mental, 26(3-4), 200-2009.
  • Frankl, V. (2015). El hombre en busca de sentido. Herder Editorial.