時間の心理学:時間の捉え方はなぜ多種多様なのか?

2020年6月21日
時間の経過は同じはずなのに、私たちの捉え方は場合によって異なってきます。時間の心理学がその謎を紐解き、その捉え方がどのように私たちの行動に影響しているのかを教えてくれるはずです。

時々、時間が経つのがとてもはやく感じることがありますよね。幸せを感じている時などはなおさらそう思え、楽しい時間を過ごしていると時間はあっという間に過ぎ去ります。反対に、退屈な時には時間が経つのがひどく遅く感じられるでしょう。時間の経過は同じはずなのに、私たちの捉え方は場合によって異なってきます。時間の心理学がその謎を紐解き、その捉え方がどのように私たちの行動に影響しているのかを教えてくれるはずです。

善きサマリア人の実験

善きサマリア人の実験は、時間の捉え方が私たちの行動にどう影響するのかについてヒントを与えてくれます。この実験で、被験者である講師たちは講演をするために別の建物に行くよう命じられました。そして一部の講師には移動までにまだ時間はたっぷりあると伝え、残りの講師たちにはすでに予定時刻は過ぎており、聴講者たちを待たせていると伝えます。

移動中、講師たちはボロ布を身にまとった具合の悪そうな人物が床に倒れているところに出くわします。まだ時間の猶予があると伝えられた講師たちのほとんどはその人物を助けるために立ち止まりました。しかし、すでに予定の時間を過ぎていると伝えられた講師の大半は何もせずに通り過ぎて行ったのです。そして皮肉なことに(とは言えそれは偶然ではないのですが)、講師たちが講義することになっていたのは善きサマリア人のたとえについてでした!

この実験の結論は、自分に与えられていると思う時間の長さに応じて、人の行動は変わってくるというものです。急いでいた講師たちは未来のことだけを考えていました。彼らは自分が遅刻しているようだという事実にのみ集中していたため、助けるために立ち止まることができなかったのです。反対に、時間に余裕のあった講師たちは現在のことに焦点を当てて考えることができたため、立ち止まって倒れていた人を助けることができました。

それでは、時間の心理学についてもっと詳しく見ていきましょう。

時間の心理学では、時間の捉え方が私たちの行動に影響を及ぼすことがはっきり断言されています。

時間の心理学 時間の捉え方

時間の心理学が提唱する、時間の捉え方の違い

善きサマリア人の実験でわかったことに基づいて、二人の研究者フィリップ・ジンバルドとジョン・ボイドは時間の心理学をさらに深く掘り下げました。彼らの研究の最大の功績は、多様な時間の捉え方をカテゴリー化したことです。ジンバルドとボイドの両氏は、時間展望には六つの種類がある、としています。ほとんどの人がそのうちのいずれか一つのみを偏って多く持つ傾向があり、いくつかの種類は強いのにその他は弱い、といった状態で分布しているそうです。

ポジティブな過去

「ポジティブな過去」型に偏っている人々は、過去を楽しい気持ちで振り返ります。彼らは記憶を何度も繰り返し呼び覚すことで過去を積極的に思い出そうとします温厚で感傷的かつフレンドリーで、自信がある人々です。概してこういった人々はほとんど不安や抑うつ状態を経験することがなく、攻撃的にもなりにくい傾向にあります。彼らは音楽や古い映画を好み、家族の集まりや集会、集団での祝い事などを楽しみます。そして自分にとって象徴的な価値を持つ昔の思い出の品などを大事に取っておくことが多いようです。

ネガティブな過去

もう一つの時間の捉え方のタイプが、「ネガティブな過去」型です。この型の影響が強い人々に取って、過去は無意味なものと感じられます。彼らは昔あった嫌な経験を排除しようとし、どんな相手にも見せようとしません。こういった人々は友人の数が少ない場合がほとんどで、友人たちはこういった人を不幸せで気分が沈んでいて、不安そうでかなり内気だと描写します。時折大きな不満を感じて自制心を失い、物を破壊する行為に走ることがあります。エクササイズをしたり楽しい活動をしたりしません。また、自らの衝動を制御するのが困難だと考えています。そのため、賭け事に参加する傾向もあります

時間の心理学 時間の捉え方

快楽主義的な現在

また別の時間展望のタイプが、「快楽主義的な現在」型です。このタイプの人は普通、他のタイプよりもクリエイティブで友人も多い傾向があります。エネルギーに溢れ、ちょっとした冒険を好みます。パーティー会場で一番目立ち、他の皆を笑わせられるような存在です。パーティーの心臓であり、魂であると言っても過言ではありません。彼らのモットーは「好きなことならやってしまえ」です。そのため、一つの仕事に長く止まり続けるのは不得意だと言えます。あまりに衝動的過ぎるのです。また、エクストリームスポーツや危険なスポーツに参加することを好みます。

宿命論的な現在

「宿命論的な現在」のカテゴリーに属する人々は、多くの場合自信に欠けています。そしてしばしばこれが原因でうつ状態や不安な状態になります。常に下を向いており、あまり生き生きとしていません。モットーは「なるようにしかならない」です。悲しいことに、このタイプの人はドラッグの使用などの危険な行為に頻繁に関与します。彼らは自分の運命はすでに決まっており、何をしたってそれを変えることはできないだろうと思い込んでいるのです。

未来

「未来」型の時間展望が強い人々もいます。彼らはリアリストであり、だいたいいつも目先の利益と将来的にかかる費用との間で揺れながら思案していますが、未来のより大きな報酬のためなら目先の幸せを拒絶できるようなタイプの人々です。

こういった人々には知人が多くいますが、友人はそれほど多くない傾向があります。結果にばかり意識を向けているため、変化や驚き、あるいは興奮を嫌います。どんなことに関してもプランを立て、たくさんのリストを作るようなタイプです。腕時計をはめている人が多く、中古品に頼って生活しているように見えるでしょう。特徴は用心深いところで、不必要なリスクは回避します。

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遠い未来

「遠い未来」という捉え方を中心にして生きている人々は大抵、宗教との結びつきがあります。このような人々は死後の世界というものを信じており、宗教サービスに日常的に足を運び、信仰する宗教の儀式をプライベートあるいは公式に実行します。ほとんどの場合、自らの衝動をうまく制御することができます。攻撃的になることはなく、自らの行動が引き起こす結果について心配してしまうような人々です。

皆さんはどの時間の捉え方に最も影響されていますか?これらの時間展望の発案者(上述)は、自分がどのタイプか自己診断できる質問票をウェブサイトに掲載しています。ぜひ調べてみてはいかがでしょうか?ただ、自分がどのタイプかは生活のあらゆる要因によって時間とともに変化する可能性があるという点は覚えておいてくださいね。