情緒的危機の4つの段階とは?

混乱と脅威をもたらすような状況を乗り越えようとする過程で経験することになるのが、情緒的危機の各段階です。こういった類のシチュエーションは、専門家の助けを借りると一番望ましい形で対処・解決することができるでしょう。
情緒的危機の4つの段階とは?

最後の更新: 04 2月, 2021

情緒的危機の各段階を経験するのは、心のバランスを再び取り戻そうと試みる過程においては当然のことと言えるでしょう。危機的状況というのは一晩にして解決されるものではなく、完璧な解決策を見つけられるようになるまでには一段ずつステップを登っていかねばならないのです。

情緒的危機の各段階には、いろいろな反応が内包されていて、それらの反応は正常な反応の仕方に合致こそしているものの、原則として最も適切なアクションというわけではありません。これらの反応のおかげで私たちは状況あるいは反応を強引に打開せずに済み、自分の介入が不必要な時には物事を自然の流れに任せておけるのです。

この種の危機を経験している人物が受けている影響はかなり多大なため、感情だけでなく認知や行動の面にもダメージが生じます。そういった状況下では、明晰な思考を行ったり、解決策を見つけたり、あるいは他人を助けたりするのが困難になってしまうのです。それでは、情緒的危機の各段階がどういったものなのかを見ていきましょう。

危機が人の人生を磨き上げる。その危機の中で、人は本当の自分を発見するのだ"

-アラン・K・チャーマーズ-

情緒的危機 4つの段階

1. 麻痺段階、情緒的危機の一つ目のステージ

情緒的危機の一番の特徴は、予測不能な変化が起こるような状況を生み出す、という点です。そしてその変化は人を不安定にさせ、将来を不確実なものにしてしまいます。情緒的危機に陥っている状況とはつまり、主観的なショックを引き起こし、瞬間的に私たちの反応能力に過剰な負荷をかけるような一つあるいは二つ以上の現実が突きつけられている状況です。

情緒的危機の一つ目のステージは麻痺段階で、これは至って健全な防衛メカニズムだと言えます。事実自然界では、自分が危険な状況にいると感じた動物たちは、それが未知の危険だった場合はなおさら、必ずじっと静止するものです。麻痺状態は、主にその状況が突然すぎたために生じる当惑の表れなのです。

2. 不確実性の段階

最初の麻痺段階が終わると次にやってくるのが、苦悩や不安感の存在が特徴的な不確実性の段階です。この段階にいる人物には今何が起こっているのかは理解できているのですが、その問題と向き合うための手段よりも脅威の大きさ自体にばかり意識が向いてしまっています。

そしてこの時、混乱した不安感が生じてきます。これが、方向感覚を喪失したような感覚や感情を具体的に示すことの難しさ、混乱した考え、朦朧とした意識などの症状と密接に関連しているのです。さらに、途方に暮れる感覚があるのと同時に、今起こっている問題に押しつぶされてしまいそうな感覚も存在します。

3. 侵入思考と引きこもりの段階

情緒的危機の諸段階のなかで、この侵入思考の段階は多くのケースで見られるものの、必ず起きるとは限りません。主に、危機の衝撃が特に強い場合に現れやすいものです。この段階の特徴としては、不合理な恐怖心の出現や苦悩の感覚が研ぎ澄まされてしまうことが挙げられます。

このステージにいる人物は自分の殻に閉じこもってしまい、行動を起こそうとしません。代わりに四六時中自身の経験している危機について考えています。そのせいで問題の深刻さが本来より拡大解釈され始め、頭の中は破滅的なシナリオでいっぱいになっていきます。そしてそれに加えて、自分には何も打つ手がないという感覚にも襲われるのです。

すると、いわゆる「侵入思考」が現れます。頭の中に、不快で恐ろしいイメージや考えが意図せず、突如として浮かんでくるのです。そのようなものは遠ざけておきたいと思っているのに、それが叶いません。これは、情緒的危機に対処する過程の中でも最も厳しい段階だと言えるでしょう。

情緒的危機の4つの段階とは?

4. 入念な思案と決意の段階

情緒的危機を、外部からの何らかの介入なしで乗り越えるのは非常に困難です。それは友人かもしれませんし、一冊の本だったりちょっとした助言だったり、あるいはセラピストの場合もあるでしょう。

この介入は、ショック状態から別の状態へ、つまり今起きていることを受け入れ、適切にそれを処理できるような状態へと移行できるかどうかを左右する重大な要因となります。

現在経験している苦痛を表現するためには何らかの外部因子が必要となりますが、大抵の場合それは言語という形態を取ります。話し言葉でも書き言葉でも構いませんが、いずれにせよこれが思考や感情、および認識を整理し始めるための理想的なメカニズムになってくれるのです。自分の置かれている状況を言葉で表現するというのは、その全体像を把握し、現状を理解し始めるために必要不可欠な手段です。

この段階にいる人は、痛みを手放し、意識的に状況に対処し始めなければなりません。それができれば、起こったことについてもっと現実的な考えを固められるようになりますし、それと向き合うためにどんなツールを用いることができるのかを特定することも可能になるでしょう。

それは、個人的なツールや能力でも、外部のものでも構いません。この「入念な対策の思案」の後には「決意」の段階がやって来て、そうなれば健全な情緒状態を取り戻すことができるはずです。

専門家の助けがない状態で、情緒的危機の最初の方の段階に長期間囚われ続けてしまうというケースも多く見られます。こういった場合には心理士のもとを訪れるというのが妥当な選択肢です。危機を乗り越えるプロセスをより早く、そしてより健全に実行するための有意義なサポートを提供してもらえるでしょう。

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人間はたくさんの種類の危機を経験しますが、中には自身の存在に関するものもあります。1960年代に、カジミュシュ・ドンブロフスキという精神医学者が、知能が非常に高い人々に大きく影響を与える、このよくある心理現象を説明しようと「 積極的分離 」という用語を作り出しました。



  • González de Rivera y Revuelta, J. L. (2001). Psicoterapia de la crisis. Revista de la Asociación Española de Neuropsiquiatría, (79), 35-53.