科学者を驚かせたチベットの僧侶たち

09 7月, 2020
チベットの僧侶たちは、フィクション映画の中で繰り返し取り上げられるテーマです。一般的に彼らは超自然的な美徳を持っているのだと考えられていますが、驚くべきことに、ある科学者たちは彼らの持つ普通では考えられないような能力を発見しました。
 

ハーバート・ベンソンは循環器の専門医で、ハーバード大学医学部の名誉教授だった人物です。1960年代の間、彼は東洋文化の研究にかなりの時間を費やしました。当時はちょうどチベットの宗教や文化が迫害を受けるなど、一部の人々にとってチベット僧と関わることは不安の種でもありました。そのため、彼は深夜になるまで待ってから36人のチベット僧侶たちをこっそりと自身の研究室に忍び込ませたのです。

ベンソンは、彼自身の好奇心から、チベット僧侶に関して一般的に語られる物語のうち、どれが単なる迷信でどれが真実なのかを知りたいと考えていました。その頃エンターテインメントの世界ではブルース・リーが一世を風靡していましたが、それに留まらず、超越瞑想とは超人的な特質を持つ人々が行うものである、と考えられていました。ただ、ベンソンは科学者であったため、科学で証明できないことは何も信じないというスタンスを取っていました。

しかしその夜の発見は彼の人生を永遠に変えてしまうことになりました。事実、その3年後に彼がそのことについて記した著書『リラクゼーション反応』はベストセラーとなっています。それだけでなく、これまでとは異なる新しいタイプの治療法も生まれることとなりました。これは、プラシーボ効果には高い治療効果があることから、信じることで病が癒える、とするものです。

科学者  ベットの僧侶

ベンソンが見たチベットの僧侶たち

ハーバート・ベンソンと彼の研究チームが発見したのはまさに、チベットの僧侶たちは科学の主張とは食い違うような能力を持っているという事実でした。

例えば、トゥモというヨガ技法を実践していた僧侶たちは、最低17度まで自身の手と足の温度を下げることができました。これまでのところ、科学ではこの現象を説明することはできていませんが、『ハーバードガゼット(ハーバード大学の公式新聞)』にはこの実験およびその次に行われた実験についてのレビューが記載されています。

また、チベット僧たちには自身の体で濡れたシーツを乾かせるくらいまで体温を上昇させる能力がある、とも推定されています。それだけではありません。ベンソンは、シッキムと呼ばれる技法を用いる上級瞑想者たちが、代謝のスピードを最低で64%にまで抑えることができることも発見したのです。

理論的アプローチ

アントニオ・ナリニョ大学のアナ・マリア・クロン教授の執筆した『Ciencia y Meditación(訳:科学と瞑想)』という論説文には、チベット僧たちの伝統に影響を受けた超越瞑想による生理学的、心理学的、そして社会学的効果に関してこれまで行われた研究の数は500ほど存在する、と記されています。

 

また、このテーマに関する最初の研究結果が1970年代に『サイエンス』誌にて発表されたことにも彼女は触れています。その中で研究の実施者が指摘しているのは、僧侶たちに普通とは異なる意識の状態が見られた、という事実です。

科学では、夢を見ている状態と深い睡眠状態、そして覚醒状態という三つの意識状態の存在が知られています。しかしどうやら、僧侶たちは休息状態と警戒状態を同時に組み合わせた第四の意識状態に入ることができるようなのです。

1971年、様々な知能に関する概念の生みの親でもあるダニエル・ゴールマンは『アンストレッシング』という論説を執筆しました。その中で彼は、第五番目の意識状態の存在を仮定して論じています。この意識状態下では、休息状態と警戒状態だけでなく行動までをも同時に起こすことができるというのです。

科学者 チベットの僧侶

スワミ・ラーマ

チベット僧やその他の超越瞑想の実践者たちが持つとされる超人的な能力に関することは、事実とフィクションとの境界線上にあるような種類のトピックです。したがって、神話や伝説が溢れる中でもしっかりと裏付けられた情報が見つかることもよくあります。とは言え、いつでも簡単にどれが事実でどれが迷信なのかを見分けることができるわけではありません。

その一例が、『ヒマラヤ聖者とともに 偉大な霊性の師と過ごした日々』の著者であるスワミ・ラーマのケースです。この調査書では、チベットのヨガ行者や僧侶たちには数時間の間動かずにじっとしている能力や空中に浮遊する能力がある、と記載されています。

しかし、これが事実であることを示す証拠はありません。ただ、メニンガー財団が彼に対して行なった研究が複数存在しています。

エルマー博士とアリス・グリーン博士が、彼の「力」に関する研究を行なっています。その結果が示していたのは、ラーマは覚醒している状態で睡眠時と同じ脳波を生み出すことができる、というものでした。また、拍動を止めることなく17秒間心臓からの血液の送り出しを意識的に停止させる能力があることも示唆されています。

当時メディアもこの現象について取り上げていましたが、それ以上の調査や探求はありませんでした。いずれにせよ、この研究の結果についてはエルマーとアリス・グリーンの『ビヨンド・バイオフィードバックという書籍の中で発表されています。

これらの不思議な力は単なる洗練されて創意工夫にあふれたペテン的行為に過ぎないとも考えられるでしょう。しかしあるいは、ひょっとしたら頭脳には驚くべき力が秘められており、人類はその存在をこれから発見していくことになるのかもしれませんよ。

 

Giuffra, L. (2009). El Monje y el Psiquiatra: Una conversación entre Tenzin Gyatso, el 14o. Dalai Lama, y Aaron Beck, fundador de la Terapia Cognitiva. Revista de Neuro-Psiquiatría, 72(1-4), 75-81.