影の元型ーあなたの心の暗い部分

12 4月, 2019

カール・ユングの分析心理学によると、影の元型は、あなたの心の「暗い部分」を表すのだと言います。自分のもっとも原始的な部分が収められている、心の激動的な下位世界です。利己主義、抑圧された本能、「無許可」の自分など、あなたの意識的な心が拒絶する部分です。自分の中の深いくぼみに埋まっています。

この概念について聞いたことがあるでしょう。影の元型は良く知られており、心理学者は今でも対立に関して話す時に用います。フラストレーション、恐怖、不安、怒りを抱える時に時々経験する、内なる衝突の感覚です。

「光の像を想像することではなく、暗闇を意識することによって、人は啓発される。」

-カール・ユング-

ユングが元型の研究を通して形作った概念は、すでに私達の社会で、歴史的、文化的に示されていたことを忘れないでおきましょう。影や暗い部分に関する考え方は、よく見られる二面性の一つです。小説「ジキル博士とハイド氏」を書いたロバート・ルイス・スティーヴンソンも刺激を受けています。スティーヴンソンがこの小説を書いたのは、当然、ユングが元型における影の理論を発展させるずいぶん前のことでした。

教育や社会の倫理規則が「悪い」ものだとして教える全てが、あなたの影の一部をつくります。ところが、この内なる動きを非難すべきもの、または、危険だと捉えることはよくありません。このような考え方は、逃げ出そうとしている「ハイド」があなたの内側にいると信じさせてしまうかもしれないからです。

影には異なるタイプがあるとユングは説明します健康、癒し、個人的自由を達成する方法の一つは、これらに気づき、立ち向かうことだと言います。

元型における影

 

影の元型―人間の暗い部分

影の元型は、フロイトの潜在意識の概念と近いものです。しかし、それとはまったく異なるユニークな面もあります。これらのユニークな面が、ユングの考えを豊かにします。次第に、非常に冷めていったフロイトとユングの知的な関係を忘れてはいけません。ユングは精神分析学の父を「悲惨な人物、偉大な人…しかし、私は彼の治療法に賛同しない」と言っています。

ユングは独自のメソッド、分析心理学を発展させました。心理療法士と患者の関係が不均衡であることや寝椅子を拒絶します。ユングは、会話を基盤としたセラピーを好みます。セラピーでは、元型が存在する無意識や心の構造を探るべきだと考えます。すべての元型の中でも、もっとも治療的価値があるのは、間違いなく影でしょう。では、この元型の特徴を学びましょう。

 

影、良く知られているが、抑圧された存在

  • 「影」は、ユングがフリードリヒ・ニーチェから取ったものです
  • 誰もがもつ隠された人格を示すものです。外側からは、私達の多くが、いい人、親切な人に見えます(自分はそうだと信じます)。しかし、抑圧された部分があります。それは、暴力、怒り、嫌悪が隠れることのある内的な本能です。
  • 影の元型は、個人に存在するだけではありません。集団(派閥、宗教団体、政党)などにも存在します。これらの集団は、いつでも、人間性に対する暴力行為を正当化するために暗い部分を示すことができます。
  • 影が抑圧されればされるほど、破壊的、陰険、危険になります。ユングによると、私達がそれを抑圧すると、それ自身を反映させ、神経症や精神病の形になって外に現れると言います。
  • ユングは、元型における影を2つのタイプに分類しました。ひとつは、個人的な影です。小さなフラストレーション、恐怖、自己中心性、一般的なネガティブさがもつ、誰もにあるものです。もうひとつは、非個人的な影です。悪のもっとも典型的な要素を含み、大量虐殺、冷酷な殺人などがあります。

「残念なことに、人は、全体として、自分が想像したりなりたいと思う自分より良くないものである。誰もが影を抱え、それが個人の意識的な生活に具現化されなければされないほど、それはより暗く、濃いものである。もし、弱点を意識していれば、常にそれを正すチャンスがある。さらに、絶えず、その他の関心に触れており、いつでも修正されることができる。しかし、それが意識から離され抑圧されていると、正されることはない。また、無意識の時に爆発する可能性がある。すべてにおいて、もっとも新しい試みを妨げ、無意識の障害物を作る。」

-カール・ユング-

ユング

 

自分の影と向き合うには?

元型における影の理論に興味が沸きましたか?魅力、比喩的本質、ある種の神秘があります。この図には、伝統的にタブーとされたものが投影されています。私達の興味をそそる人間の性格の陰険な面や悪を示しています。それでは、この理論の中で、私達の日々の生活に活かせることはあるのでしょうか

答えは、「イエス」です。ユングは彼の記録や著書の中に記しています。人生でのタスクは、自身を完全に受け入れ、「影」を人格の中に統合することだと言います。こうすることにより、それを認識し、向き合い、働きかけることができるのです。それを無視し、無意識下に置いておくと、幸せになる機会やバランスが奪われます。

「影」と呼ばれるこの概念にどのようなものが含まれるかを忘れてはいけません。そこには、恐怖、過去のトラウマ、自分の毒となる失望、躊躇したために叶わなかった夢があります。これら内なる悪魔をすべて隠しておくと、それはより強烈になります。黙らせておくと、コントロール不可能になります。好きではない、同意できない自分の像を人に投影することになるでしょう。

自己成長や精神的健康は、これらの影を光へと持ち込む力に左右されるということを忘れてはいけません。勇気ある努力をすることにより、繊細で価値ある癒しが得られます。そして、平穏、幸福が見いだせるのです。