考える力を身に着けさせる:指導と学習について

従来型の教育は、日々の社会的課題に対処するためのリソースを使い果たしてしまいました。今日では情報が山ほど溢れているため、私たちは信頼の置ける情報源を特定し、それを活用して知識を得る方法を学んでいかねばなりません。
考える力を身に着けさせる:指導と学習について
Laura Gómez Domínguez

によって書かれ、確認されています。 教育者 Laura Gómez Domínguez.

最後の更新: 21 12月, 2022

従来型の教育は、暗記が第一の目的とされる体系的で機械的な学習プロセスに基づいたものでした。しかし現在では、多くの研究により種々多様な教育および学習方法が提唱されています。この教育革命が掲げる重要な目標の一つが考える力を身に着けることであり、事実私たちも少しずつその変化を目の当たりにしつつあると言っていいでしょう。ここでは主に、生徒が自分たちの力で情報を見つけ、それを批評的に理解できるようになるためのツールを生徒に与えることを目指しています。

将来的に生徒たちが優れた分析を行ったり、効率的に問題を解決したり、的確な意思決定をしたりできるように、これまでの学習プロセスを変更し準備をさせることが重要です。これにあたって、考え方を教えたり学習したりするためにはまず、私たちの行動全てが思考に基づいたものであることを思い出さねばなりません。このことは、子どもや若者たちに考える力を身につけさせ、暗記だけに頼らせないようにするために大切なのです。

考え方を指導し、学習させることの重要性

生徒たちに思考法を指導するための教育モデルが採用されている学校はほとんどありません。従来型の学校では、因習的なツールや手法、そして短期的な効果しか生まない教育技法が用いられ続けているのです。教師は、生徒たちに方程式を解かせたり、最大でも数日間しか覚えていられないような文章を暗記させることにほぼ全ての時間を使ってしまいます。

しかし、理解させることに重きを置き、回答ではなく疑問や質問の価値を重視した思考を用いた新たな問題解決法の創出を土台とする方法論にシフトチェンジする教育者たちも出てきています。ただ、これを実現するには指導の手順やツールを刷新することも必要です。

考える力 指導 学習
どう思考すべきかの指導と学習について

思考ベース型学習(TBL)の構成は?

現時点までに、多くの教育機関が一歩は前進したと言えるでしょう。ある意味で、従来の方法論がほぼ本質的な意味を持たない繰り返し学習ばかりを重視していることを認識したのです。基本的に、このような指導モデルは批判的思考や内省的思考の実践を含まないために効果的とは言えません。

思考ベース型学習(TBL)は、より意識的で詳細な学習を提供します。事実、これにより学習者は新たな情報の扱い方を変更することができるようになるのです。教育業界で最も影響力の強い人物の一人であり、この教育メソッドの考案者でもあるロバート・スワーツは、TBLを、いかに創造的かつ批判的に思考すべきかを指導する方法論であると定義づけています。

また、この方法論が頭に浮かんだのはボストンで歴史の授業に参加している時だった、とスワーツは説明しています。その授業の中で教師は生徒たちに二つの異なるストーリーを提示し、どちらを信じるべきかよく考えるよう伝えました。その瞬間スワーツは、子どもたちは今まさに自分が読んだものが信頼に足る事実として受け入れて良いものなのかどうかを決断する学習をしているのだ、と気づいたのです。結論として彼は、この観点が全てのことに採用できることを発見しました。

この能動的な方法論は指導する内容以上の面にも及びます。一つには、生徒たちに確実に思考の仕方を学ばせ、現実世界で起きる問題を解決させる機会を持たせます。次に、既成概念に囚われずに考えることを奨励し、様々なトピックについて自分たち自身で調査をさせるのです。このやり方の場合、学習プロセスは暗記ではなく、学習内容を内在化できるかどうかで変わってきます。

教室での共同思考

考え方を学ばせるためには、教師がファシリテーター(学習を容易にさせる人物)として振舞わねばなりません。生徒たちが問題や事例、そして計画などを解決するにあたり、その案内役とならねばならないということです。こうすることで、授業中も能動的な姿勢を保つことを生徒たちに促します。

思考を指導し、学習させるためにはグループワークが必須です。要するに、あらゆる思考は協調して行われた時に最も効果的になるということです。周囲の者たちと考えやアイディアを共有することでチームワークが促進され、今度はそれが熟考の助けとなり、全ての類の学習を共有することにつながります。

考える力 指導 学習

考える力を伸ばし学習させる:質問を作ることの重要性

対話は、知識を得るための必須資料です。紀元前5世紀にはすでにソクラテスがその有用性に気づいており、産婆術と呼ばれる問答法を生み出しています。ソクラテス式メソッドでは、質問や疑問は思考を発達させる手段である、と見なすのです。それを踏まえると、教室内で投げかけられる質問は、生徒たちに回答しようとさせるための、また新たな疑問を思い浮かべさせるための刺激として機能すると言えます。

さらに、生徒の持つアイディアを構築する能力や応答を統合させる能力、そして統合された考えを理性によって弁護する能力を向上させる上でも質問は役立ちます。そしてその結果、生徒の自主性も高められるのです。すると突然生徒たちは未知の分野を開拓するのに十分な自信を感じ始めます。これに関しては、優れた教師であれば、各状況においてどの質問が最も適切かを把握しているはずです。

シックス・ハット法

エドワード・デ・ボノは、様々な観点からの問題分析あるいは解決を容易にするためのテクニックとして、シックス・ハット法を考案しました。これは水平思考と創造的思考を刺激する思考法で、平行思考が促される上、従来の推論に代わる方法として機能します。

シックス・ハット、つまり6つの帽子は6通りの思考の象徴です。それぞれ異なる色をしており、その色が思考の方向性を示し、個人は問題に直面した際にそれを利用することができます。このテクニックでは、各参加者はそれぞれの帽子を被ったり脱いだりするのを思い浮かべ、今自分が用いている思考タイプを指摘するのです。


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