決して謝らないナルシストたち

魅力的にも見えるナルシストたちですが、彼らは決して謝りませんし、与えたダメージを修復しようともしませんし、間違いを認めることもしないのです。
決して謝らないナルシストたち
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

遠目で見ると、計画性を兼ね備えたナルシストというのは魅力的で自信に溢れ、思いやりがあるようにさえ感じられます。にも関わらず、人間関係のこととなるとナルシストが絶対にしないことがいくつかあるのです。彼らは決して謝らず、与えたダメージを修復しようとせず、自らの間違いを認めようとしません。この分野の専門家は、これは自己中心的で支配的で基本的な共感心のカケラすらない彼らの態度によるものだと述べています。

どんな人間関係においても、それが恋愛だろうとプラトニックだろうと家族間であろうと、意見の不一致や対立というのは当然起こり得るものです。これはごく普通のことですし、気づくことすらなく誰かの気分を害したり誰かを傷つけたりしてしまうこともあります。このような事態が発生した時にベストなのは、信頼を回復し反省につなげるために、心からの謝罪をすることです。二度と同じことが起こらないようにするのがその目的と言えます。

社交的で感情的に聡明な人ほど、可能な限り有効なやり方で謝罪することができる傾向にあります。 感情面が優れていて成熟している人は、誠実に心を開き、償いたいという気持ちを持って謝罪が必要な状況に対処できるのです。

それでは、ナルシストの場合はどんなことが起こるのでしょうか?サウサンプトン大学のヨースト・M・ルーニースンとコンスタンティン・セディキデスによる研究をはじめとするいくつかの研究が、これを完璧に解き明かしています。ナルシストたちは、自らのしでかした悪事に対して必ずしもいつも罪悪感を感じるわけではないのです。

彼らは、心の中で葛藤が起こったり苦痛が生まれるようなことをしでかした時に、これを弁解しなければならないという社会的な圧力を感じているにも関わらず罪悪感を感じないのです。これは、彼らが自らの願望と戦っているからです。

口論する二人

ナルシストたちは謝らない

マスターソン(1981)はナルシシズムが連続体として分布することを我々に気づかせました。つまり、度合いの低い位置に分布している人々は”正常”ということになります。連続体の両端に分布する人々は自尊心が低すぎるもしくは自分でコントロールできないほどの高い自尊心を持っています。一方で、自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれる病状も存在しています。

自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、誇張された自己像を作り上げ、それを守ろうとしてしまいます。こうすることで彼らはなんとか自らの弱い部分や壊れてしまっている自己を守ることができるのです。何よりもまず、彼らは完璧さと高慢さをひけらかそうとします。

ナルシストが犯罪を犯したら何が起こるのでしょう?例えば、パートナーが彼らの敬意の欠如やわがままさを指摘したらどうなるのでしょう?真実はいたってシンプルです。ナルシストはどんなことに対しても責任を取らないのです。もし責任を取るようなことがあるとすれば、それは彼らがかなり熱心に追い求める完璧さのイメージに対する葛藤が生まれた場合でしょう。

決して謝らないナルシストたち

ナルシストは全員からの賛同を欲し、いかなる反論も拒否したがる

アンドリュー・P・モリソンはナルシスティックな性格についての専門家です。『ナルシシズムに関しての基礎的な報告書』の冒頭で彼は、ナルシストがメインのゴールとしているのは「鏡となる」人物を見つけることだ、と述べています。彼らはどんな時でも自らに賛同してくれる人物を欲しているのです。

  • ナルシストは、常に自らの長所を思い起こさせてくれるような人々と関わりを持ちたがります。周りの人みんなに白雪姫に出てくる邪悪な継母の持つ鏡のようになってほしいのです。この世で最も美しいのはあなたです、と毎日女王に伝えていたあの鏡のように。
  • ナルシストに対して彼らの犯した間違いや感情を傷つけられたことを伝えとしても、彼らから謝罪を引き出すのはほぼ不可能でしょう。
  • 彼らに罪悪感という感覚が欠如しているわけではありません。ナルシストに欠けているのは共感心なのです。ですので、彼らはなぜ他の人が傷ついているのか、なぜ不安を抱いているのかを理解できないだけなのです。
  • さらに言えば、ナルシストが人間関係を目的を達成するための手段と見なしていることを考慮すると、彼らにとって他の人にそれが彼らの問題であると伝えるのは容易なことなのです。

ご想像の通り、この種の原動力は容易に恋愛関係を破綻させてしまうでしょう。

ナルシストは全てあなたが悪いのだ、と信じ込ませようとする

ナルシストが謝らないということは分かりました。実はこれがさらに複雑で矛盾した状況を引き起こすのです。

  • 一見そうは見えないかもしれませんが、ナルシスト自身もまた苦しんでいるのです。彼らはいつも不満を感じ、苦い思いをしているのでかなり苦痛を感じています。自尊心が低すぎるが故、常に最大級の銃を手に入れて最上級のトロフィーを獲得できるように努力せねばならないような戦場に自らを追いやってしまうのです。
  • 完璧さや能力や虚栄心を偽装しなければならないせいで、彼らのそのような態度を受け入れてくれない現実世界の壁に正面からぶつかってしまうことがしばしばあります。
  • ある状況下で誰かが謝罪を求めたとしても、ナルシストはそれが相手の責任であるかのように感じさせてしまいます。なぜか?それはナルシストがその状況を理解していないからか、彼らが他の人々とは違う視点から物事を見ているからか、もしくはもし謝ったら他人から弱虫あるいは無知だと思われるという恐怖心があるからです。

ナルシストは自覚もないままにその場の雰囲気をあっという間に覆すことができます。彼らの人を操る能力の高さを忘れないようにしてください。したがって、あなた自身が謝罪を乞うような結果になってしまいかねないのです。

謝ろうとしないナルシストに対してできることは?

冒頭でお話ししたことについても触れておかねばなりません。ナルシストにも、様々なタイプがあります。分布図の最頂点にいる人々は、ナルシストサイコパスであると言えるでしょう。彼らは完璧に有能で正常な人に見えるのですが、感情的に他者を傷つける能力に非常に長けているという面も持っています。

  • ナルシストには特別な援助が必要です。彼らの反社会的推論や自尊心、虚構の優越感、自らの不完全さの受け入れ、そして何より共感心といった問題と上手く付き合っていく手助けとなるようなセラピーの介入が不可欠なのです。彼らには、自分の言動や態度がいかに他人を傷つけているかをしっかりと理解してもらわねばなりません。
  • 毎日のようにナルシストと関わる必要はある場合は、選択肢は二つしかありません。敬意を持って彼らに接するか、一切敬意を持たないかのどちらかです。さらに、彼らが変われるように手助けしたり、専門家のカウンセリングを受けさせたり、もしくは彼らとは距離を置いてしまうという手もあります。

多くの場合、それはナルシシズムのタイプによって変わってきます。この連続体にはかなりのバリエーションが存在しているのです。もし家族やパートナーや友人にこういった傾向がある場合には、彼らが自らの言動が他人に与える影響を理解する手助けをしてやり、適切な援助を求めるよう促してあげてください。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。