苦しみから解放されるための仏教心理学

2018年6月6日 in 好奇心 0 シェア済み
仏教僧

苦しみも人生のうち。ただし私たち人間は、どうすればいいのか、その苦しみにどう対応すればいいのかわからないまま、自分の殻の中に閉じこもってしまいがちです。そんなときは、ここで紹介する仏教由来の心理学が良い処方箋になるかもしれません。

辛い時期を乗り越えるときに一番の助けになるのは周りの人たちからのサポートです。彼らは、落ち込んだ気持ちを盛り上げてくれたり、次の一歩を踏み出すための援助をしてくれたりします。でも、もし親しい友人や家族が周りにいなかったら、どうすればよいのでしょうか?そんなときは、仏教心理学を参考にしてみてください

仏教とは、人の苦しみから逃れる方法を解いたもの

仏教というと、東洋の宗教としてのイメージが強いですが、今から2500年前に仏教が生まれたときは、宗教というよりも哲学、心理学的な理論としての色合いが強かったのです。実際、(ブッダとして知られる)禁欲的な修行僧ゴータマ・シッダールタは、仏教とは心の科学であると述べています。

ブッダは、人々に苦しみから解放されるための方法を解くために学び場を開きました。そして、自分の感情を理解しそれを受け入れるための考え方を、理論的に解説しました。

大仏

四聖諦-苦の原点を見つめる

仏教心理学の原点となる考え方に「生きることは苦しむことである」というものがあります。これは一見なんだか悲観的ですが、非常に的を射ていると思いませんか?この考え方をもとにブッダは「四聖諦」を解きました。ほとんどの仏教の教えはこれらが元になっていると言えるでしょう。仏教の座禅もこの考え方が根本にあります。

  • まず、生きることは苦しいことである。
  • その苦しみには理由がある。
  • そして、苦しみは解決することができる。
  • そのためには、八正道(正しい生き方を実践するための8つの徳目)に従うことだ。

苦しみを解決するために

辛い状況と向き合い、苦しみから解放されるためには、まずその原因を理解しなくてはいけない、と仏教は言います。自分の苦しみの原因が突き止められて初めて、私たちはそこから抜け出すことができるのです。そして、いかに不安や落胆が的外れなものか気づくことができるのです。

「人生の10%は何が自分に起こるか、残りの90%はそれに自分がどう反応するかで決まる。」

Stephen R. Covey

仏教心理学によると、私たちは人生の真理から目を背けてしまう習性があるそうです。具体的には、私たちは(生きていると直面する)人生のあらゆるステージについて別の角度から解釈することができず、それが苦しみを引き起こしているというのです。

「苦しみの原因は欲、執着、そして無知である。そしてそれらは克服できる。」ブッダ

水の中で鏡に映る女性

八正道-苦から逃れるための正しい生き方

先に述べた四聖諦で出てきた「八正道」とは、安定した心で健やかに生きるために必要な正しい生き方を示したものです。これは、よく法輪という車輪のような形をしたシンボルに例えられて説明されます。ここでは、八正道が解く8つのルールを3種類のカテゴリーに分けてご説明します。

  • 知性面
    正見(正しく見る)、正思惟(正しく判断する)
  • 道徳面
    正語(嘘や悪口を言わない)、正業(盗みや殺生をしない)、正命(道徳に反する仕事をしない)
  • 規律面
    正精進(努力をする)、正念(禅などを通して冷静に現実を見る)、正定(正しい集中力を保つ)

この8つの生き方は、1つずつステップを踏んでできるようになるというよりは、できれば全て同時に意識して日常生活に取り入れられると良いでしょう。

幸せの定義についての誤解

誰もが幸せになりたいと思っていますが、人によってその意味は異なります。みんな違う「幸せ」の定義を持っているのですある人は仕事で出世することに生きがいを感じ、別の人は欲しいものを手に入れること、また別の人は得意な分野で有名になることを人生のゴールにしているかもしれません。幸福の定義は無限に存在するため、自分自身に課した目標を実現したとしても、絶対に満足することはないのです。

そして、自分の願望の1つが実現しても、また別の何か、そしてまた別の何かを求めて人は生きています。こうして私たちは少しずつ終わりのないループに自分自身をのめり込ませてしまうのです。つまり、人間は「幸せ」というものに対して、間違った望みを持っていると言えるでしょう。

執着を手放すために

仏教心理学では、その間違った欲が(人やもの、考え方などに対する)執着という形で、生きる上での大きな障害を生みだしていると分析しています。そして、その執着こそが、苦しみの原因なのです。

何かに執着しているとき、私たちは周りの人やものがあたかも「自分」を構成する一部のように扱っており、自分のアイデンティティーを失っている状態にあります。別の言い方をすると、自分はどんな人間で、生きるために何が必要なのかがわからなくなってしまっているのです。

仏教では、この執着を手放し、正しく自分を理解する方法を示してくれています。その考え方のコツを掴めて初めて、自分の成長や心の安定に本当に必要なものを見極めることができ、はっきりとした視界の中で生きることができるのです。

仏の顔に集まる蝶

苦から逃れる具体的な方法

仏教では、自分自身への理解を深め、苦から逃れることができるために、座禅を通して現実を正しく見る訓練を積むことを推奨しています。具体的な方法は宗派によって様々ですが、ゴールは同じです。それは、現実への認知と心の安定を最大限に極めることです。

仏教の主要な宗派について簡単にご説明します。

  • 上座仏教:瞑想の方法とその心理学的な効果について理論的に解説する
  • 座禅:心の安定と現実を正しく理解するための知性を向上させることを目的としている
  • チベット仏教:仏教ではもっとも象徴的、神秘的な宗派で、自分の心のメカニズムを理解することで現実を深く理解する方法を解く
  • 真宗:献身、謙虚さ、感謝などを通し、洗練された精神の持ち主になることを目標にする

仏教では、まず自分の感情を広く受け入れることをすすめています。自分の感情をまず認識し、表現し、そして受け入れてください。全てが人生の一部に過ぎず、全てのものがいつかは移り変わってしまうものです。ですから、自らの人生を無理にコントロールする必要はないのです。

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